わたしの影は揺れながら
誰も知らない夜道を歩く
永遠に追いつかない
「 一人前 」に向かって
意地悪な細い指は からまって
けれど、丁寧な受け答えはリズムの緩和を生みます
赤いボールペンと蛍光ペンで
傾向と対策の四角い構築物を塗りたくり、
はさみで三角形の砕片に断裁
酩酊したは ....
駆け込めば乗れたかもしれない電車「危険ですから」我は見送る
この手から生まれた飛行機 美しくなくてもいいけど飛べその翼で
また一歩一歩と近づく頂上は私の目指す場所だったろうか
少年は ....
壁のむこうから恋人同士がぎゃーぎゃーわめいてて
こっちは南Q太とか読んでる
このひとの描くおんなのこみたいのと付き合いたいです
現在
現代の若者は個室持ち けど
安もんばっかでいちいち壁 ....
人が生まれる
前のことを
死んだ
とは言わない
人が生まれて
生きたから
死んだ
と言うのだ
今日も定刻通り
汽車が来る
昼夜を問わず、働いているあたしたちは
お天道様と一緒に
寝起きしているおさるさんより
少しだけ不幸せなのかな
凍えるような寒さが緩み
やっとぽかぽかしてきたら
今度は花粉症が猛威を ....
類人猿の
波打ち際で
太陽は沈まない
沈まない太陽の
その向こうに
地平線はあった
もう帰る家が
ありません
湧き上がる温かい気持ちをその気持ちをそのその
また吹き上がるものを大切に包んでは静かにあなたの
手をほどきはらはら、頭上から落葉が降ったのです
ガラスでできた手指が滑らかにすべり
....
タモリさんがサングラスを外して
ニュースの現地リポーターへ転向した
昼の番組はロウ人形で声は出ている
万事不都合は消えていた
そうですね、
そう言えばうちの九十になったお ....
壊れた光を抱き
小さな別れが灯り
足もとに背にまとわりつき
押しのけても押しのけても
指が沈むほどやわらかな
淡くやさしいうたを唱う
ひとつはひとつだと言う
それでも ....
もう何がほしいというでもなく
この手を伸ばしたところで
ただ風の音が吹き過ぎるばかりです
( 飢えた狼の輪郭は透けて・・・ )
「ここは、なんにもない場所です」
そう呟いて落とし ....
生後5ヶ月の娘が/ひとりで立っている/やっと寝返りをし始めたばかりの体/よちよちの力で/机の足に抱き付いて/本能が遊んでいるのだ/生きるという/意味を問い掛けながら/危ないからと/いつもは止める妻も/ ....
なにもない
そんなきがするときがあります
べつにしゃかいのこととか
そういうことをいっているのでは
ありません
そのなんといいますか
せつめいがむずかしいのですが
とにか ....
夢の中に落とし物をした日の朝
猫になっていた
仕方がないので
夫を会社に送り出してから
家事は明日にしようと決め
日向ぼっこをして過ごし
夜になったので眠った
明日はせめて、猿になりたい ....
売れるような指ではなくて、マニアックな人がこれいくら?いくら?と聞いてくるだけ
ただそんな彼女を羨んでいたんだよ?「ごめん」でこの世からいなくなるなんて
「似てる」 ....
すな、空のように口ずさんで
空のむこうにセスナがみえた
夕くれなずむ砂浜の色が
遷移していくさまにみとれて
セスナが制御を失っていくさまを
子どもと手をつないでみていた
神がく ....
わからないものに質問しても
たぶん答は得られないので
秋の初めの風のように
いくぶん鋭い金属質の響きで
愚かしくみえる沸騰には
整った和音で対応すること
冷笑じみた混乱には
....
雪がとうとう
本当のことを話すと云うので
待ち合わせをした
溶けては困るというので
真夜中だった
だるまにしてくれないと話せないというので
なんとか作った
少ない雪では小さくしかできなか ....
人の筋肉や血管、関節の微細なフォルムを抽象化して、服は生まれた。服はほかにも着ている人の性格を抽象化する。気分を抽象化する。家族関係を抽象化する。ついでに着ている人の恋人まで抽象化してしまう。服はとて ....
海鳥が羽ばたいて行く
波音が声も表情も攫ってしまう
ここを離れれば全て遠のいてしまいそうで
時計は腕から外して仕舞った
すこしでも時間を忘れられればいいと
そう思っていたから
....
気がつくと私は青い海の部品の一つで
どこまでもどこまでも沈んでいく
重力をなくした体は
潮をはらんでふやけたまま
これは落下、と呼ぶのだろうか
そうか 海の底は青くなんてないんだ
こ ....
ノックをしてみる
と、きちんとノックが返ってくるので
僕は待ってる
春になって数回目の風が吹く
見上げる空の青さも
鳥の羽ばたきも
風にさらされている皮膚も
本当は多分
言葉でしか ....
はじめての海
林の隙間から見える
とてつもなく高い
大きな大きな青い海
あれは空だよ
父さんと母さんは
笑ってたけど
あれこそが海だった
死ぬまで忘れない
神様がホームに立つと
いつのまにか
列車がやって来て
旅は始まる
次の駅は
あなたです
芽吹きの季節とはいえ
冷たい風が菜の花を揺らし
川面を颯爽と走る
光が流れていくのを
ただぼんやりと見ていた私は
纏わりついた髪をすき
静かに歩み始める
荷物は案外少なかった
....
禁忌は真っ白にほどけてゆく
きらきらと
あたりいちめんにひかる黄砂
爛れてゆく頬に
焦げ縮れてゆく髪に
明るくかがやくプルトニウムをかざろう
これで終わりなのだから
やり直すこともな ....
i.
カリフラワウアの花嫁たちが
ボーダーのフリルをはためかせている
周りで射精しているのは男たちばかり
ii.
歩いて三歩のコンビニで
強盗たちが揺らすのは
ひもの ....
あのとき落とした
こころは月と交差して路上で
あざやかに
ジャックナイフ
通りすがる
とろりとした少年の
心臓を刺すよ
少年は
きれいな目をしている
不思議
私もきれいな目をしてい ....
羽のように舞うコートのすそ
風をあつめて
僕らはかろやかに昇っていく
あの唇に触れたい
と思う
真昼の摂氏8度
あの手に触れたい
と思う
真昼の月をなぞる指先
その歌声があんまり甘く優しいから
自惚れてしまいそうになる
わたしのために歌っ ....
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