みんなの三連休はオレの三連勤
母子手帳で突く
遠い海の平原で
誰かが眠っていようと
俺の心は目覚めている
世界の起床に合わせて
クジラが潮を吹く時
俺の魂は凪いでいる
この大海の前に全てを供出した
その見 ....
【 桜の散った街を往く 】
立ち止まるしかない 踏切では
たちどころに 遮断機がおりて
多くの人の思いが 通り過ぎる
伝えようとした言葉が
伝えられないときは
立ち止ま ....
存在するということは いつも決まって挨拶だから 時間が渦を巻くところに 僕も決まって挨拶を返す 今日も歴史が生まれましたなあ いえいえ単なる磁場ですよ そうして僕は踵を返し 存在しないということは い ....
水分補給を したいから
空を見上げて 口開けてみる
それじゃ 駄目だよ 笑いつつ
君が 海辺の 砂 投げ付ける
あはははは
あはははは
五回 笑うのは
誤解のないように
次 ....
耳の奥の
遥か彼方から
青い空が
聞こえてきます
それが
歌でした
鳥は少しの記憶
むかしあったのに
触ろうとすると
水にも
よく溶けました
雲がぼんやりと
....
君の耳もとを吹き渡る無常の風を
僕もしっている
ただしそれは知ってしまえばとても優しい
すべての不条理は無常という雨のなかさ
積み残された問題のすべての回答がそこにある
降りしきる哀 ....
足柄山の中腹に
大きな栗の大木が
その巨木の瘤の中
蔓で編まれた黒い籠
籠の中には麻の布
布に包まれ赤子が一人
黒々とした髪を持ち
大きな体に漲(みなぎ)る精気
山の端,やまやま、 ....
僕たちは丘のうえのちいさな雲を思いだす
比企丘陵のなだらかな起伏のうえにそれはほっこり呼吸していた
風が窓辺を訪れて遥かな便りを伝えてゆくのだよ
荒川を挟んで大宮台地と対峙するかのように ....
チクリ チクリ
人の後ろから
心を 射抜く 音がする
子供の頃 怖がった
あざみの花びら
美しいだけじゃあ
ダメなんだと
知った日
小さく 丸まって
押入れの中で
蹲 ....
コーヒーカップを手に取ろうとして
指がないことに気付く
指の付け根には掌もなく
掌の元には腕もない
外では桜の花が咲いていた!
不穏な蜜で大気はべったりしていた!
ワープロを立ち上 ....
空飛ぶ円盤が池に落ちた
脱出した宇宙人は池に溺れた
溺れた宇宙人は池の鯉が食べた
その頃、僕は恋に落ちて
恋に溺れていた
今思えば、身勝手な恋だった
鯉が溺れなかったのが
唯 ....
したを向いていると
ぼたり、ぼたり、服に
投下されていく、くろい染み。
先ほどまで、ぼくのたいないにあったイオンと水分。
ここは電車のなか。
花粉症に紛れて
涙腺が稼働しているのを、こ ....
すべては権力を握った側の都合の良い呼称
そんなものありはしない
ただただ人民があるだけ
それがこの世界だとおもう
なにもかんがえないできみとくもにのろうね
だれもじゃまはしないじ ....
風はいつだって吹いているんだ
君は生まれた街を忘れてはいないか
水はいつだって洗い流してゆく
僕たちは心の地肌を隠してはいないか
この世界は様々な角度に切り取られ
柔らか ....
木の皮に こもった熱が
少しづつ 雪を溶かし
陽射しが 波紋のように
幹の根元を まるくあゆむ
溶けた雪は水となり 土にしみ込む
しみこめない水は 雪の下をたぱたぱ流れ
水の膜 ....
{引用=「草枕旅ゆく君を愛(うつく)しみ副(たぐ)ひてぞ来し志賀(しか)の浜辺を」(万葉集 巻四566)}
或る女は旅に連れ添い
まだ若い馬にまたがりシカの浜辺へ
青々としたうつくしみの心でもっ ....
子供達がてをふりながらさってゆく
老いた道化師は泣いた
彼らはもうサーカスを振り向かない
ガランとしたテントだけが残される
1918年の秋はからっぽだった
1928年には不安が流 ....
まひる、白い、アスファルトのうえ
くるくるまわり、昇っていくむしの群れ。
らせんを描き、そらへはしごをかけていく。
きっと遥かな静寂に届くまで(たとえば、海王星の近く、とか)。
暢気に渦巻 ....
雨は
大丈夫だから
たぶん
このまま
*
きみと 花の咲くおとを
ききたいな
ふたりで
おだやかな骨格をもつ
春の日だまりに なりたいな
ささやかな い ....
蝶を呑んだものの肌に
蝶が現われ
真昼の終わりまで
話しつづけている
小さな音の
まわりだけの冬
鳥は追う
羽を忘れる
石の径の影
曇のなかの声
....
父は執念深く、母の敵の妖怪変化を追っていた
けもの道も途切れ、茨に裂かれながらも、なお小高い山を登っていた
いつの間にか、ボロボロのシャツは血だらけになっていた
上りきると峠には家族 ....
本を読み 本に読まれる 前のめりで啜る珈琲 もう何杯目?
おっちゃんらおばちゃんらみな話好き 知らぬ間に 関西語のレッスン
一度きり言葉を交わし 約束もないまま別れ 言 ....
浮遊する
幾つもの
所有物
空から
流れたのは
何
失くしてしまった
証拠など ないのに
寂しく 呟いては
涙 流した
倒れた 瞬間に
投げられた タオルも
ぐっし ....
回すハンドル
ワークは踊る
きちんとチャックは
コーリャコラ
締めてアラヨノ
出来上がり
削ってなんぼの
どっこいしょ
切粉も愛しや
....
想いの花咲く季節なら
じめり気の有る梅雨は避けたい
されど紫陽花 美しく
一輪挿しで 満たされたい
葉に積もる 一滴
きらきら光る 太陽が
掌の上 すっぽりハマる
心と心 繋 ....
俺にも誰かと付き合うという機会はあるもので、大抵相手のその寝顔を見ながら夜を明かした。俺は眠れないことが多かった。
寝たいか。と、問われればイエス。
俺を殺せ。が、アンサー。 ....
先生が僕を卑怯者と呼んだ
その名前はおでこに貼りついて
やがて
僕の皮膚になった
月日が過ぎて
周りが誰も気づかなくても
僕の耳には
先生の声が時々聞こえた
先生 僕は先生のよ ....
あまりにのびた
はなもさいた
かわいそうと
おもったが
せんていした
はをあつめ
りょくちゃと
にだしてみた
すばらしく
かおりたかく
つみ ....
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