初めて指輪を贈った人は
彼女ではなくて
母だった


『ビューティフル・リング』



僕は7歳で
母に連れられて
縁日の夜店を廻っていた
ふと
屋台に並んだ
ガラス玉の指 ....
空耳のどしゃぶり
ガード下にこだまする

立ち止まる黒猫の
瞳はブラックホール

目が合えば僕は
吸い込まれていく


夜を開く赤のカーテン
その向こうへ黒猫は走り出す

加 ....
一度だけ、神の存在を感じた事がある。その日私はホテルで恋人と過ごしていた。
その時私はコカインを吸っていて、恋人は隣で微かな寝息を立てていて。
私はぼーっと仰向けになって、定かではないが、恋人 ....
今朝のおまえの目が
あんまり緑だから
どうしたって聞くと
やっぱり風邪だ

普段体調がいい時は
緑に茶色が散っている
水の底に見たブナ林のような
おまえの目

それが濃い緑に張 ....
真夏日、沿岸部には波浪注意報が発令され
世界中の溝口さんが落下していた
親戚の少女は大きな中華鍋を持って
兄と一緒に家を出て行く
重い、と言うと兄は悲しそうに首を振った
牛の死体を引 ....
 加藤だ、
 おまえだ、
 セスナ飛ばしたろが、
 ちゃんとしまっとけ、
 って言ったろが、
 加藤、おまえのことを言ってるんだ、
 黒沢、おまえは振り向くんじ ....
今日も太陽が
東の空から昇った

弱いけれども優しい
冬の光が
私の窓にも差してくる

生きてて良かった
新しい朝を迎えられて良かった

ありがとう
優しい恵みを


   ....
いつも寄り道せずまっすぐ帰るあなたが
今日、突然に、隣駅で降りたのはなぜ?
缶コーヒー1杯分の小銭も節約するほどのあなたが
急に、ここでブレンドを頼んでいるのはなぜ?

いつも我慢強くあの人 ....
皿の上には電灯があった
鶏肉がなかった、と
きみは言った
どうやって食べるのか聞くと
説明書をくれた
そのとおりに取り付けてみる
電灯はきゅこきゅこ音をたてた
飛べやしないのに
 ....
がっこう帰りの夜
よだかのホシをよんだ。
ママはくもんしきのテストにいそがしくかえりはおぼつかない。ともだちはとっくに先に帰った。と思ったらがっこうかばんのなかに紅い絆創膏とまっかなガーゼが入って ....
昼、明るい、朽ち果てるイーゼルの四つ脚の金具の染み、緑青色の欲情をし
見渡すアトリエの壁と壁掛けのカレンダーの中で枯れるお花畑、ハレルヤの
印字されたバターケーキやレターセットの束による啓示が頭に ....
牛に頭を潰された男が
漂う台風の夜
ごおおおおおおおお
大きな顔がわたしたちを
破壊していく
巨大建築物の
ユウワク
屹立してわたしを
待つ

なぜ
登るのか
それは
そこにビルが
あるから
 落葉の中を走る鳥は
 悲しい鳥だ
 飛べないかはりに
 足は太く節くれ立つて
 駝鳥の足のやうだ

 このしつかりした足で
 枯葉を大仰に鳴らして
 進むのだから
 化け物が暴れ回 ....
君は

一部始終見ていた と言う

誰かに伝えるまでは

眠れない と




遠くの方ではもう

百合のにおいがする


(僕もだよ)





 ....
 
そんなことありえない
って言いながら
しゃがんで花火をする

ローライズの腰から
見えちゃってる果汁100%
まだ溶け合わなくていい




{引用=fromAB}
ちゃんと季節は夏至まで巡ってきたと言うのに
太陽の奴いったい何処に居るんだか
朝寝坊を誤摩化しているのか
おつきさんと夫婦喧嘩でもして
目の周りの痣を見られたくないからか
この頃ちっとも姿を ....
空のいろには 届くはずもなく
だからこそ
仕方のないほどに
空のいろを 
瞳に宿しながら
きりんは ゆっくり緑を{ルビ咀嚼=そしゃく}している

その
長い長い首の得る高さは
 ....
世界中のさざ波が
私に寄せてくる

さみしいです
さみしいです


私は
この場所からも動けずに

結局
生きることは
さざ波なのだ、と
私は思う

かなしいことも
 ....
駅前の商店街で産まれ育った
近くには八幡神社があって
お祭りの時には店の前の広い道路は
歩行者天国になった
ふだん車の往来が激しい道路を歩くと
何だかくすぐったい気持ちになって
誰 ....
陽の光がまぶしい
ドラキュラの生活
クーラーの下
詩を書く

お茶を飲む
テレビを見る
寝転がる
いびきをかく

時だけが徒に
流れる
空しい思いが
通り過ぎる
この路地裏の
アスファルトのひび割れは
どこかの埠頭の 
それと 
似ている

相槌を打ってもらえる筈が
ここにあるのは
頬を刺す風



見上げる雲の隙間から
一筋の光が降 ....
1.死ぬ瞬間まで死について考えて、考え抜く。それを言葉にする。
それを不特定多数の人に発信し続ける。

 死ぬ瞬間、と一口に云っても、私がどういう風に死ぬのかなんて分からない。早々に交通事故死か ....
温室の入口にある日章旗の
赤い円を凝視する。
凝視する。
ツと目を逸らすと、
隠された神の緑があらわれる。

それで緑のためには赤が必要なのだと知った。

穴を掘るのは重労働だが
い ....
処女性は半減してゆく、
いちどの行為で半分に、
いまいちどの行為でさらに半分に、
しかしけしてなくなることはないのだ。

雨音を聴きながら少女は肉に舌を這わせる。
それは反応しない。

 ....
簡素な水色のシャツが夏のお気に入りである。
短いスカートから突き出た貧弱な脚。
フラッパーの髪はもつれて乱れている。

秋は青灰色のワンピースが好きだ。
胸にラピスラズリのブローチをとめる。 ....
プルトニウムに 蟻んこが
たくさん つながっています

わたしは
K氏に せかされて
夢の中でも
詩を ひねっている

魔女狩りパフォーマンスは
もういいかげんにしたらいいのに
世 ....
立ち位置を、探している。
いつまでも見つからない、
足の踏み場を。 

もしくは、
消えてしまった君の幻を
抱きしめる、
世界の中心を。 

人波の川が流れゆく
この街の中で、 
 ....
夏休みにしか帰らない
実家の銭湯には
青い富士山の変わりに
緑のペンキが色あせ
ボロボロに古びた
一匹の龍の壁画が
どん と
風呂場一面を支配している



田舎のせいか
夏場 ....
地平線を隠してしまうときの
きみのつま先が好きだよ

肩甲骨を両手でまさぐりながら
そう 僕は小鳥も気がつかぬほどに
ちいさくつぶやいた

地平線が見えないなんて
くだらない永遠なんか ....
あおばさんのおすすめリスト(15345)
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青のために- 佐々宝砂自由詩406-6-21
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