目から涙が
流れるのを見ている
左耳を枕に押し付けて
横たわって
右目の目頭から
左目の目尻から
梅雨の日のガラス窓
流れて渇いて
それを部屋の中から眺めているような
す ....
新宿の高層ビル群のすぐ裏手
ありふれた住宅街が広がる
(歩いている)
かつては丘陵地帯だったであろう
上り坂そして下り坂また上り坂
(立ち止まる)
雀の声烏の声
ヘリコプ ....
スーパーマーケットの
牛肉コーナーに牛がいる
豚肉コーナーには豚がいて
鶏肉コーナーから鳩が逃げた
野菜コーナーを
案山子が何も言わずに
見つめている
店長と人妻店員が不倫した
....
薄く繋がる皮膚の下に
どこまでも空は広がっていた
その空の下には
同じくらいの大きさの街があった
その街で確かにわたしは
皮膚の持ち主だった
だから夕べ
知り合いの人たちに
なるべくた ....
・
痣のある猫がいて
部屋の中に僕といる
・
ベランダで風に
煙草を吸っていると
くるぶしに柔らかい体が触れる
・
敷きっぱなしの布団に座 ....
公園の桜
宇宙と相談する
僕は居眠り
夢を見てる
花が咲いてる
蝶々もいる
君は命を身篭る
もうすぐ春
宇宙の忘れ物
休日の昼過ぎ
先月から通い始めた
自動車学校へゆくと
校内のすべての車は停車して
教習コースの道に並ぶ
紺ブレザーの教官たちが
にこやかにキャッチボールをしていた
長 ....
今年はじめての風邪をひいて
布団の中でまるまっていたいのに
僕は先生なんて呼ばれたりしているので
待っている子供たちのために教室へ行く
ところで
そこの教室の窓はとても大きい
僕が ....
近頃、世の中すっきりしないことばかり
それなのに火に油を注ぐように、また一つすっきりしないものが現れた
「糖質ゼロ」
どこがすっきりしてるんだ? 俺はちっともすっきりしない 釈然としない
糖質 ....
開かれ行く道を見ている
その空白を
その荒れ地を
その土ぼこりを
空白の上
冬枯れの青い空は広く
この空白が埋められるには
まだ暫くの時間が必要に見える
空白の背景に埋もれる高 ....
あのね、さっき
この泥棒猫って
言われたのよ
古典的なセリフに
笑っちゃった
あなた
冬眠中ですか
(愛は、冬ですか)
寝息を立てる
かすかに開いた口から
舌を引き抜こうかしらと
....
あ
なんか違う
って感じが
ぐるりと
腰の辺りで動いた
スーパーマーケットのど真ん中
わたしは脂汗を流して
立ち止まる
夢見が悪かった
何度も叫んでいた
悔しい
憎らしい
....
飛ぶ鳥はとても軽いのだということを
わたしはときどき忘れる
飛ぶために鳥が捨て去ったものの重さを
わたしはときどき忘れる
鳥の骨は細く軽く
すきまだらけで脆いということを
150kg超 ....
階段は夜よりも昼のほうが暗かった、上下左
右に伸びた立体駐車場が、がりがりと音を立
て始めている、埃のかたちをした日差しは鉄
柵で刻まれて、誰もが忍者かシマウマのよう
なシルエットになっていた ....
タイトルに「あなた」なんて使って気恥ずかしいのですが、
なんかそういう気分なので(笑)。
さて。
蘭の会(http://www.orchidclub.net/)の「ふみばこ」というコーナーに ....
これではない、
これではない、と言いながら
なにも指し示すことができず
しかしそれは確かにあるのだと言う
散り敷いた花びらかきあつめ
その手をかかげあげても
ばからしいと言う
見 ....
{引用=わたしはすでに
わたしそのもの}
自ら望み
生まれてきたわけでもなく
自ら選んだ
両親と国と時代でもなく
窓辺に置かれた鉢の
枝葉を広げた小木のように ....
娘が
私の誕生日にプレゼントをくれた
そういえば
最近娘とは会話もしていなかった
細長い化粧箱
包装紙をやぶいて中を見ると
ドライバーが一本入っていた
娘は
私がそれを ....
春が黙っている
鳥の声だけが響いている
遠くで何かを売る車の音が聞こえる
ひさしぶりに二階の部屋に行った
冬が黙って死んでいる
そのあたりにも春が訪れている
借りたものは
返さなくてはいけないから
私はあなたから
それを借りる
それは一瞬だけ
私のものの振りをして
手の中にしっとりと納まり
ここにいたいとも
帰りたいともつかない
....
(一)クレイム
クレイムは自分が愛されていないと言うが、愛を得られないことに対する苛立ちの感情に支配された{ルビナルシシズム=自己愛}に満ちていた。つまり逆説的に言えばクレイムは対象を愛していな ....
もつ煮込み屋で
黒ホッピーと
さんまを食べる
このはらわたをねえ
日本酒で食べたらおいしいんだよね
それだったら、日本酒、たのめばいいじゃないですか
そうだねえ
そうなんだけどねえ
....
{画像=071210020823.jpg}
萩原朔太郎の詩に 『 漂泊者の歌 』 があります。
少し長くなりますが、引用します。自分が詩を愛する理由の一つであると同時に、今、自分が詩を書いてい ....
父は毎日仕事で帰りが遅く
平日は構ってもらえなかった
父は日曜日になるとキャッチボールをしたがり
僕はよく公園に連れて行かれた
普段からあまり活発な方ではなかったので
あまり楽しくはな ....
湿度が照らされないまま
気体は説き伏せられている
そんな午後の高度をさぐって
午前が苦しそうにつぶやく
おはよう、と
あれはポストですか
いいえ電信柱です
真っ赤な電信柱
....
夢を見ていた
帰り道を失って
父さんと母さんを探していた
目を覚ますと僕は泣いていた
夢はかなっていた
父さんと母さんの知らない街で
僕は暮らしていた
この間
おかあさんは
50歳になりました。
50歳と言うと
おばあさんです。
電車で席とか譲られます。
私も20歳になりました。
20歳と言うと
大人です。
一人でバスにも乗 ....
喫茶店の席を立ち
ふと足元を見下ろす
椅子と椅子の隙間の床に
鈍くひかる百円玉が
恨めしそうにぼくを見ていた
世界はいつも
ぼくになにかを
云っている
....
昨日の春に殺された小鳥が
庭先に落ちていた。
ばかだねぇおまえ
気まぐれなのが
春なのに
冬の冷気をまとって
凍りついた小鳥の目が
ぴくりと動く
それでも春がすきなのだと
そ ....
ぼくは
腐った野苺を食べてしまったから
おかあさん
さよならです
片耳のちぎれた野良犬が
悲しい目でぼくを見つめているよ
灰色に濁った
その目の奥から覗き見る世界は
ど ....
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