気がつくと、俺は漂流していた
大洋のど真ん中に、俺ひとりだった
広い海は恐ろしいほど青く、そして黒かった

小さな板切れに横たわっていた
頼りなく波間に揺られながら
自分が置かれている状況 ....
 
 
朝、目覚めると
四十歳になっていた

王選手が
七五六本目のホームランを打った
ポスターが貼られた
四畳半の部屋で眠っていたのに

昨日は小学校から帰って
庭でスキー遊び ....
生まれたときから
屈託のある顔をした君は
赤ん坊のくせに徹底していて
怒り出すと
……いやっ
興奮し出すと
顔が赤黒くなるまで興奮して
泣いているのか怒っているのか
とんと僕には分から ....
おとなになっても
われない実が
ぽけっとの中でまだ
じっと待っている

かたん
とあごのはずれた人形の
ぽけっとの中で
じっとしている

握りしめるたびに
昨日のことなんかも ....
青灰色に輝く海岸沿いに
小さな赤い屋根の家が立つ
その家には
ブラウニーの妖精たちが棲んでいる


小さな妖精たちは
茶色のボロ着を身にまとい
いつからかその家に棲みついている
 ....
大きな引き出しは
アングリ口を開け
ようこそ、よくできたお客様です。
などと歯の浮いた世辞を言って
そのくせ、舌なめずりの音が
家中に響きわたっている。

それでも人の良いインテリ面した ....
 
 
会いたいのに
会えない人がいる

帰りたいのに
帰れない家がある

戦争を知らずに
僕らは生まれたけれど
争いを避けずに
僕らは生きていけなかった

いつからなのだろ ....
昨夜の雨を吸った落ち葉はぶよぶよと柔らかくなり
いくら踏みしめても何の音も鳴らさなかった
足跡さえも吸収してしまいそうな弾力は
寒さを忘れそうなほどの優しさで失望を覚える


冬はいつだっ ....
くちにだせない
気持ちは
胸に抱いたまま
Moonlight Express

埋めてしまおう、
柔らかな後悔の穴へ
人が静寂の月に行きたがるのは、そのため
そこまでいけば、小さな ....
 漢字の練習とかでさ
 同じ字をずっと書いていると
 突然
 あれこの字ってこんな形だったっけと思うことあるよね

娘がポツリと言う

漢字の書き取りではないけれど
仕事で文字ばかりを ....
ジャングルジムでの遊び方を忘れたのは
威勢が良いだけの雄叫びが、もう通用しなくなったからで
不安定な足場で怪我するくらいなら
帰り道でつまずく方がカッコいいと思っていた
汚れを知らない白いスニーカーが ....
どうして
いい人は
急ぐように逝ってしまうの?

あたしの中には
まだ 父が住んでいて
いつも 問題が起こると
はなしかけている

ときどき 緊急事態のときは
夢に出てきてくれる
 ....
{引用=
順序など何もないのだと
つぶやいた瞬間に重い書物が
飛んできた
角が尖っていて
すごく痛い
世界を何重にも描いても無駄だ
扉という扉の奥には新しい平面がある
息も絶え絶えとい ....
 
 
家電に生まれて
気がついたことがある
わたしには声が無い

たとえば
ファンヒーターは
ファンヒーターであるために
温風を吐き出すことで
せいいっぱいだ

電子レンジは ....
 
 
いつからそこにいたのだろう
しわしわの殻に包まれた
わたしの祖父

甘さと渋さを身に秘めて
日が暮れるまで
縁側の外を見ている

殻に閉じこもりながら
本当は外に出たい
 ....
僕は冷蔵庫みたいに冷え切っていた
僕は寒かった
僕は毛皮がほしかった
腰まであればよかったな
僕は口に煙草をくわえた
その次にしたいことは
いつも定まらなかった

丘の上から
弟が呼 ....
 
 
下着売り場で羽化したセミたちが
越冬のために南へと渡って行くのを
ぼくらは最後まで見届けた

空の遠いところにある白い一筋の線
あれは飛行機雲じゃない
だって、ほら
指で簡単 ....
出勤まえにアイラインを引く
鏡の向こう側で
いつも私の代わりに私を演じてくれているもう一人の私と目が合う
季節外れのプールみたいな彼女の眼球の中央に
黒い硝子の宇宙、
私の魂の出先機 ....
私は立ち止まらない
この道を行くと決めた
匂いの蒸せる深森の内を
怪しげなけものみちであっても
感じるままに行方を選ぶ

暗がりを畏れて
夜は月を探す
闇の海原は私を奪ってゆく
私は ....
 
 
夜更け
冷たくなった台所で
誰かがじゃんけんしてる

声は聞こえないけれど
それは
たしかに聞こえている

誰もいない台所で
聞いている
じゃんけんに
勝ったものは声 ....
 
 
深夜の冷たい台所で
古くなった冷蔵庫が自分で自分を解体していた
もう冷蔵庫であることに
いたたまれなくなったのだ
時々痛そうにはずしたりしながら
それでも手際よく仕事を進めていっ ....
ひとつだけ言わなくてはいけないこと
わたし
実はクローン人間なのです


誰に造られたのかわかりません
右肩にあったはずの製造番号
体を洗うごとにかすれきって
わたしが偽物か本物な ....
黒ずんだ木の床にそっと頬をよせる
インクと機械油の匂いが染みついた床は
使いこまれた年月を
なめらかな感触でつたえてくる


古い印刷工場をリノベーションしたと
誰かが言ってたっけ
そ ....
お兄ちゃんは
アッキー
妹は
あっちゅ

ふたりとも
「あ」から
はじまる

あっちゅの
舌たらずを
利発で達者な
女の子にかまわれて

いつのまにか
ついていたあだ名
 ....
{引用=
君は遅れてやってきたんだね
背中に大きな月を背負って
いい匂いがするな
樫の匂いだ
子供のころから
これを嗅ぎたかったな
鋭い爪で
僕の肌を刺したら
波みたいに後悔しよ ....
{引用=


名前を忘れてしまった
町を
通り過ぎて2日
私は水を汲んだ
水の中に
幾億の雨粒



唇が
だんだんと開いて言葉を発見する
発芽されたばかりの種のように ....
 
 
 
 
 小学生の頃
 
 うちのネズミ捕りにかかった
 
 一匹の親ネズミを
 
 
 母親は
 
 バケツに水をためて
 
 ネズミ捕りごと沈めた
 
  ....
世界は二頭の象が支える巨大な円盤ではなく
真空に浮かぶ球体にかろうじて貼りついている
ざらざらとした薄い膜に過ぎない
と知った日から君は
旅に出る必要がなくなってしまった
それなのに
果て ....
 
 
立ち食いそば屋で
夕飯を食った

客のほとんどは
お酒を飲んでいて
立てなくなると
ざるそばを食って
次々と去っていった

素数について
話している客がいた

立て ....
階段を降りて
坂道を下ったら
ともだちがきえていた
目の前を
横切る電車に
乗っていったのだった
老夫婦が手をつないで
それを見ながら
歩いていた
Aを語るB
Bを語るC
Cを語 ....
あおばさんのおすすめリスト(15345)
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