夕暮れの風が民家の風鈴を鳴らし、
茜色のまなざしで今日をねぎらうように、わたしの頬を撫でてくれる。
その涼しさに、ほっとして深く息を吐く。
庭先には、萎れた朝顔が脱ぎ捨てた服のように垂れ下がり、 ....
3分間で出来上がるカップ麺はあるけれど

3分間で出来上がる世界など存在はしないだろつ

もしそんなものが存在していたら

もうインスタントワールドは

たちまち売れてみんなが神になる ....
祖母が倒れた晩
私が寝ていた土蔵の屋根から
人魂が立ったと聞いたのは
ずいぶん後のことだ

祖母のねんねんこの中から
見つめていた風景の記憶は
溶け残る雪がへばりついた
色のない晩冬の ....
水面下で寝息をたてるわたしに
おはようのあいさつは
いつもキスだった

大切はいつも
抱えていたつもりで
放り投げていたかもしれない

川のあたりできれいな石を探すようには
見つから ....
花垣線に乗った。
駅長さんを呼んでみたが、
もうずいぶん前から、この駅は無人だった。

乗り換えの駅に到着した。
次の電車が来ないので、
改札を通って、待合室で待った。

強風のため、 ....
田植え前の伊那谷は
全ての田に水が張られ
まるで大きな湖のように
風がきらめきになり遥か渡っていく

いなごを追い、桑の実を摘み
駆け回った子供の頃が懐かしい
濃紺から薄墨へ幾重にも幾重 ....
たとえば、目の前に
誰もいないことにして黙りこむのは簡単なのに
誰かいることを認識するのは存外むずかしい

いないふりをするのは比較的楽なのに
いることを知らしめるのはあまりにむずか ....
届かないと思っていた扉の取っ手は
いつの間にか腰の位置になっていた


背が伸びて視野が広がる
遮っていたものに追いつき追い越し
世界の大きさに少しずつゆびが触れる


もうすっかり ....
誰もいない道を歩きながら

自分の事について 考えていた

近くに 白い煙が上がっていて
とても綺麗に 思わされた

そうして 頭の中に巡らされていた
なかなかでも、手にできずに
 ....
どこかにいってみないかと
問いかけることのない自分に
人がいる
問い続けない誰かでなく

いる けれど 消えた全体の
言葉の破片を散らしてみる
忘れられるまで 自分の
行く 体に

 ....
白い部屋の
白い窓辺のあなたに
向日葵を届けたい


朔の闇夜の月を
輝かせるほど
明るい向日葵を贈りたい


七色の虹が
黄色であふれるほど
たくさんたくさん贈りたい


あなた ....
「倒れかけた鉄塔」という唄を 
口ずさんで、歩いていた。 

道の傍らに、全身は枯れながら 
太陽の顔を燃やしている 
向日葵達は 
只 
夏空を仰いで 
密かな合唱を、奏でていた。  ....
放課後、屋上に呼び出され
どこにいるのかと見渡したら
彼女はコンクリートにうつ伏せていた
近づくと、目を閉じた横顔のまま
私の輪郭を引いてくれないか、と
きっぱりと言った

よく解ら ....
{引用=地上では
夏を散らす風
恋しくて水面をみあげた
なぜかしら
感じたことのないものを
わたしは知ってる


水面には
ひかりの乱舞
銀が背に降り積もり
手のひらの ....
 
 
薬が切れて震える父を
抱えてベッドに寝かせる
布団のしわなどが気に入らないと眠れないので
抱き起こし、位置を変えてまた寝かせる
そんな作業が延々と続く
父にとって毎日の睡眠とは
 ....
テキーラの瓶は空いた
そろそろ腰を上げようか

この二週間 考えていたことは
フィジカルとスピリチュアル
どちらが強いのか
対極なのか
延長なのか

マラソンは肉体をいじめ
苦しみ ....
剣とペンも使いようで

早く抱きしめてあげてくださいと

好きな色のリボンを渡した




{引用=即興ゴルコンダより}
クリームで前が見えないけれど
世界には青が降っている
炭酸を抜かないで
誰かの声を聴いた僕は夢中になって世界を振った





勢いよく噴出した青を二人の子供が飲んでいた
子 ....
いつしか雪が降りだして
夏なのにね おかしいね
僕は悲しい顔をして
君が帰ってくるのを待っている

僕のほうが先に死んでしまうよ
犬だものね 当然だね
玄関のタイルの冷たさに
柔らかく ....
小さな水口から
待ちかねたように水がほとばしり
山吹とコデマリの花びらを散らして
春色に染めていく

かたわらでは
田植えの準備が賑やかで
初めて田に入る子供が
父から苗をもらっている ....
風吹き渡る
夏の風景を焼き付けるため
できるだけたくさん
花の名前を覚えようと思う

この道を行けばどこの辻に出て
そこには誰が住んでいて
何を思っているのか
そんなことも覚えていよう ....
 
 
土曜の朝から
日曜の夕方まで仕事をして
家に帰ると
妻と息子が家の前で
途方に暮れて立っていた

買い物に行こうとして
鍵をかけて抜いていたら
鍵が折れてしまったのだと言う ....
隣の部屋の老婆が
拾ってきたのであろう西瓜を
妹は器用に食べ進め
その残骸を
彼女は私の枕元に置き去り
遂には
そこから芽が生えてきて
いつしか
私の寝床たる場所は ....
作文書きます。

 自分の原風景は間違いなく 富ヶ谷の家の隣の空地だ。そこには子供の時のことが全部詰まっている。その空地に面して土手がある。土手と呼んでいるが、松壽町のお屋敷の敷地の一部で、入って ....
(輪郭)

こんこんと湧き上がる花の火の
みみへ伝わる振動が
つれてゆく
うまれたての湖の静寂

くちびるの隙間から
こぼれてゆく言の葉が
切りとるいっしゅんは
つめたい石に閉じ込 ....
夏の空が広く見えるのは
余計なものが流されているからだろう


小学生の頃の一番の友だちは
国語の教科書と学級文庫と図書室の空気
頁をめくったときの薄っぺらい音と
綺麗に並ぶ印刷の文字が ....
厚く



熱の積層する
太陽の谷間で


流水を浴びたいと


切望の淵



地虫は揚力を手に入れて

夏の途中、



蒸す草いきれは陰を追い



木々の葉をひるがえす

風もなく

 ....
野の花に
名前などあるはずがないと
思うようなあなたなのに
振り向いて欲しいのは何故

ここにいる、ここにいる、と
声を限りに叫んだとき
それを感じ、立ち止まってくれたのは
「花を愛す ....
ゆく雲が
君を求めてのばした蔓から
ふわりと咲いた雪の花びら
彼方を白く染めるものの 
ひとつひとつの小ささを
ひとつひとつの儚さを
まるく含んだ湿り気が
花の波に匂いたつ
 ....
 意味不明なことをわめき続けることに疲れた



幼い頃、ぐずっていると「言わんとわからんがい」と言われ
言わなくても分かる関係に憧れたけど
やっぱり黙っていては何も伝わらないことに失望し ....
あおばさんのおすすめリスト(15345)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
帰路- 夏嶋 真 ...散文(批評 ...21*09-8-24
インスタントワールド- こめ自由詩1509-8-24
祖母が倒れた晩- 西天 龍自由詩3*09-8-23
いいわけ- かんな自由詩12*09-8-23
小説『花垣線』- オイタル自由詩5*09-8-23
伊那谷- 西天 龍自由詩3*09-8-22
でんわ- 因子自由詩3*09-8-21
わたしのうた- あ。自由詩24*09-8-20
浸かる空- 番田 自由詩109-8-20
やってくる- 番田 自由詩109-8-20
向日葵- 夏嶋 真 ...携帯写真+ ...18*09-8-20
夏の終わり_- 服部 剛自由詩609-8-18
輪郭- RT自由詩1309-8-18
こい- 夏嶋 真 ...携帯写真+ ...16*09-8-18
祈り- たもつ自由詩2109-8-17
【完璧山への登山口】- つむじま ...自由詩2+*09-8-17
安全ピンなら安全ですから- AB(な ...自由詩109-8-16
アレジオン- e.mei自由詩3609-8-15
人生の大半は君を待つことに費やされた- 瀬崎 虎 ...自由詩12+*09-8-14
水口- 西天 龍自由詩8*09-8-14
花の名前- 西天 龍自由詩3*09-8-14
愛鍵- 小川 葉自由詩709-8-11
舞台裏- 山中 烏 ...自由詩4*09-8-10
空き地- ……とあ ...散文(批評 ...10*09-8-10
(輪郭)- ことこ自由詩8*09-8-9
かげおくり- あ。自由詩24*09-8-9
夏の戸陰- オリーヴ携帯写真+ ...2309-8-9
花の色- 西天 龍自由詩4*09-8-9
- 夏嶋 真 ...携帯写真+ ...35*09-8-8
積み上げられた石- within自由詩9*09-8-7

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