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背骨を震わせる雨は上がり、軒下の猫は子を舐める。
都市に流れる網の目の血管は下に、下に。皮膚を潜っ
て深く。地球は幾度、吐こうとする。
閉ざされた、大勢の人が並んで歩くノイズの重なりは
....
日曜の休日、遮断機は私の手をとって踊る。
黄色と黒の手を肩にかけようとするがスルス
ルと抜けてしまう。誰もが寝静まったころに
始まった踊りはいよいよ激しさを増していく。
心音の高まりは ....
辛い労苦を涙ながらに語る便器を横目にお子様
ランチ鳥肌。無料サービス吐き気。
敬語使うのおかしい鳥肌。中途半端英語に涙。
たった7年で死ぬ無念鳥肌。
24時間説法。無理解のバーゲン。血 ....
隣家の騒がしい犬も眠る夜、どこぞと知らぬ方から赤子の甲高い
鳴き声が聞こえて、消灯した部屋で体を固めながら耳を塞いだ。
模範のような鳴き声になぜか、祝福されない子のように孤独を打
ち消したいがた ....
都に一人、男が落ちる。衣擦れもないほど肉落ち、
ほつれかけたボタンを抑えて襟を正す。連れだった
猫はきれぎれのアスファルトの隙間に埋まったカス
を舐める。
長雨のくせに息を割る乾燥した外は ....
重機で見事にさら地となった公園で、工業油臭い軍手、いくつ
か拾って胃に石を詰めた。冷たい朝は、練りこんだ軟膏もひど
く騒ぐだけで、隣人は笑う。
幼児は、水溜りに浮かぶ歪んだ己の顔を見て泣く。 ....