ダーウィンはロンドン動物園の小さなジェニーがお気に入り
彼女は言葉を理解しおやつをおねだりし公爵夫人に自分の可愛いドレスを
見せびらかしたり本当に人間の子供のようだった

1832年にビーグル ....
よく視ていなさい
憎しみを

あれは
にわかに
輪をなします

よく視ていなさい
憎しみの輪を
外れた者が
行く先を

そこに
あなたはいましたか
それとも綺麗な
 ....
【命の島】

瀬戸内の生温かい風の中
虫篭を編む 
白いビニール製のストローを器用に組み立てて
円錐状の虫篭を編む
昔は 葦だので編んだらしい
ストローの語源は ワラだと言う ....
ときどきは会いたいね
ところで思うんだけど

藍色の自分がいて
それは愛にもなれるし
遇いもつかめる

2音素のaiという母音は
子音を携えて色を変えてゆく
それがあなた

 ....
地面とじかに触れ合う春は
たった一つの落し物をした
そのたった一つの落し物が
みるみるうちに散らばっていって
こんなに豊かな花々になった
花々は凍り続ける
大気が花々を許すその日まで
 ....
まず魂のくせを矯正します
今世のくせも後で清算する予定ですが...
とりあえずお世話になった想いの数々に手土産のひとつももたせて
さっと湯通しをします

その際肩をおもみしても構いません
 ....
あかるい雨の夜に



空を見あげて

ボウッと明滅して加速して
加速して
それから、加速して

笑って、鼓動を数えて、目を細めて

空へ

飛び立つ
タンクローリー
 ....
会社をたたむと決心して以来
もののたたみ方に注意するようになった
これまで自分でたたまなかった布団を
たたんでみたりするようになった
いつもはそこら辺に放り投げている
パンツや靴下もたた ....
 
 
私腹を肥やした市長と
新人の試験監督が
芝の敷き詰められた校庭で
シーソー遊びをしている
紙魚は紙幣を食べつくし
新月の夜に
湿った子音になる
質問が締め切られると
至福の ....
この次 煌いたら
流せそうな 気がした

煌くのは 涙 のみならず
流すのは 思い出 のみならず

限界まで 待って 舞って
ポイントを 決めて

シャッターチャンスを
狙うんだ
 ....
朝日はね
特に良く晴れた日の朝日はね
そりゃあもう別嬪さんで
たったひとりで見ていると
もったいないような
独り占めできてうれしいような
不思議だね おれは
新しい朝と結婚したくなっちま ....
何かを 言い訳にしないと
完璧すぎる あなただから
見つめられなかった
息が 苦しすぎて

大きく 深呼吸をした 刹那
地球が グラン と 回って
私は グラスの中の 氷になった
 ....
 
 
水ようかんの沈む海を
泳いできました
手作りの名前を
握りしめて
どこから来たのか聞かれても
お母さん
としか答えられませんでした
今日という日がまた溶けて
明日だけが
 ....
長いスロ-プを滑り落ちてくる記憶の思いがけなさに
ふと足をとめて目の前をよぎる影を追えば
短くなった日時計は正午でとまったままうたたねをして
またあの回廊へといざなってゆこうとする

この場 ....
牽かれていく二すじの偏光
孤独な少年の手なぐさみ
自転車にまだ補助輪があったころ
ぼくは愛されていたかしら
いなかったかしら
初夏の予感が初めて来たとき

駅前通りに二匹の妖精 ....
お年寄りの入浴介助前に 
同僚のU君が着替えた後はいつも 
僕の下の引き出しが閉まらないまま 
脱いだ衣類が、もりあがっている 

引き出しを開けるたび 
骨が折れるが 
日頃の僕にも気 ....
そこに
握り締めていたものが
怒りだったのか
憎しみだったのか
恐れだったのか
あるいは優しさだったのか
まるで思い出せない

たとえ
プライドの端を踏んづけられても
握らない ....
街の底の暗がりに
今日もジッと上目遣い
月の光の届かない
煉瓦倉庫の一角で
人を脅す生業(なりわい)の
舌なめずりで誇りもなく
動くことすら億劫で
知性の欠片は今何処
物欲食欲性欲と
 ....
思い出の箱を
春の野に
夏の朝に
秋の鳥に
冬の霰に隠してる

栗鼠のように
大切な食料

びっくり箱のように
色彩が溢れないように

暗証番号つける
秘密のファイルのように ....
 
 
休日のオフィスでひとり
コピーをとってる
何度とり直しても
文字や記号は
羽をはやし逃げてしまうから
白い紙だけが高く積まれていく
明日までに終えなければ、
と思う
明日が ....
風に
正義を負わせるな
風に
味方を尋ねるな


雨に
慈悲など求めるな
雨に
素顔を尋ねるな


真っすぐに立て
力の限り

言い訳の一切を
支えにかえて
 ....
あるひめざめたら
さびしいにんげんが
さびしいにんげんのあしを
ひっぱっていた

高級なこどくが秤にのって
じぶんの重さをはかっていた
うしろすがたをみるとかみさまだった

あるひめ ....
 
 
下着の縦と横が 
垂直に交わる 
そのようなところが 
指定の喫煙所
煙にまみれ 
自転車はすべて 
曲がっている 
下着は優しい 
縦と横があるから 
指は縦をなぞり  ....
音楽も断ち、ネットも断ち、ひたすら大気を眺め、大気の中を歩いていく。この木も小屋も春の花々も鳥たちも、すべては大気の装飾物。ひたすら大気の動きと色と広がりに滲みこんでいく。私は装飾物になるには若干重す .... {画像=080302220223.jpg}


おいらは鈎にぶらさがったあんこうさ
口からいっぱい水を呑まされて
ぶらさげられて
身を削ぎ落とされる

皮も
鰭も
胃も
腸も
 ....
真夜中3時の夜風をスプーンで掬う 鳥の意識のように白い 
力つきた鼠になって 虹色の夜をまだ信じているんだろう
かすかに触れる月の落ちる音が 
僕をいっそう奮い立たせては 
深い微睡みの湖に映 ....
不器用なのだ

皆と一緒に
綺麗に泳げないから
海底の泥の中で
ぶつぶつと独り言を
溜め込んでいる

腹が減ると
ぬめったアンテナを
おずおずと立てて
雑魚をおびき寄せては
 ....
 
 
砂漠にさくらが咲いた
砂漠中の魚が集まってきて
あたり一面、銀色に輝いている

わたしが目を閉じると
さくらは散り
砂は空へと帰っていく

そして魚たちはみな
記憶の届か ....
笑わせたい 人が いて
目の前で 笑顔が 見れて
自分も 笑えて

そんな 日々が
毎日だったなら

眉間の 皺も
消えて しまうでしょうに

刻み込む その前に
気付けることも ....
この川を もすこし下ったところにあるのが 静物園
果物や骸骨が 額に収まっている花のように静かな生き物の館
ガラス張りの館の角は どこも ゆるやかに丸く
おたまじゃくしの卵のように静謐
 ....
あおばさんのおすすめリスト(15345)
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