王様は旅の途中だったようです

お付きの者たちはみな逃げてしまったのだそうです

王様のいびきがものすごいので
ただ歩くだけの旅がつまらないので
王様一人でも大丈夫そうなので
実際悪人に ....
               

玄関へのアプローチはバリアフリー
歳経ればひび割れるコンクリートより
割れ目を隠すタイルが良いと  
ベージュとエンジの市松模様
両 ....
花の中ボブとマイクと巻く歌仙 彼らの声を聞いていた
夢みたいだ
夢だった

僕の顔には唾が引っ掛けられて
薄ら笑いだけしか持ち物がなかった
うまくやったつもりで
声は遠ざかる

誰かが今死んだね
ささやき合 ....
鉛筆で、ノートのページに横線を引く。
上に白い入道雲を描く。
太陽は紙の外側にある。
雲と横線の間にもう一本、水平線。
横線と横線の間にあるのは、青い海で、
白く波打つのは風があったから。
 ....
部活帰りに彼と一緒になった

「今日は疲れたから引いて帰ろうよ」と言われ

何だか嬉しくて自転車を降りた


ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-

   部活仲間 ....
もしもおまえがひとりで
いけないんなら
おれがおまえといっしょに
いってやってもいいよ

もしもおまえがひとりで
うたえないんなら
おれがおまえといっしょに
うたってやっ ....
ほんの一瞬
暖かな風が吹いた。
「良く来たね。」と歓迎をするかのように。

茶色に広がる裏手の木は緑色に染まり
父が眠る墓石を優しく包んでいる。

「お父さん。行って来ます。」

ぴ ....
一枚の写真を眺めると
緊張した面持ちの5人家族。

この日は主役の末娘が
口をへの字にしてレンズの中心を見つめている。

(少しでも良いから笑えばよかったのに。)
20年後
写真を手帳 ....
日のあたる西の縁側。

誰かの気配を感じて
はっ!と振り返る。

そこには胡坐をかき
半纏姿で茶をすする在りし日の親父が
にこりと笑って手を振っていた。

「元気でやっているか?困っ ....
聖者などに、なれない僕は
凸凹だらけの人間です。

凸凹だらけの僕が、あの日
凸凹だらけの君と、出逢い
凸凹だらけの息子がおぎゃあっと生まれ
歩み始めた、日々の凸凹道。

青春の日、僕 ....
花だけが見送るバンドワゴンかな 【空】


ねぇエトワール  たんぽぽの君に エトワールって名前をつけたよ
君の 中芯は 中空に在るよ
精一杯 背伸びする風の最果てを
つかめぬものを つかもうとしている

 ....
ボディブローのように
じわじわ効いてくるのは
僕の中にも君が居るから

君の中にも居るらしい僕の片鱗を
君がこよなく憎むように

その嘲りは抗い難い誘惑

拒むにしても
逃げるにし ....
三軒隣りの家まで
全て巻き込んだような どでかい虹に
たっくさんの夢を
詰め込んだら 

吐き気がした

ねぇ 御母ちゃん 
もう お腹いっぱいだよって
呟くけれど 許してくれな ....
「くもがねてるから、しーっ」

沈んだ空は暗くて
何にもないけど
何でもある
小声でお話をしよう
キャベツくん
いもむしれっしゃ
おたすけこびと
そんなものを抱いて

「あめがふ ....
視界にはたくさんの目がある。
開いた画面に浮かぶ目玉は、
口になって牙を剥き出している。
口になった牙を生やした目玉が
私の目を喰らおうとする。

瞬きひとつでページをかえると、
今度は ....
北風ピューピュー
吹き荒ぶ中

マッチ売りの少女よろしく
声がする

はだけたTシャツは いりませんか
歯だけですか?

違います
ちょっと 持ち歩いていた時に 損傷したのです ....
若い頃は良かった
なんて言わない
思わない
今が一番
いつだって
これからだって

とかなんとか言ってみても

こんな春のいい陽気に
年頃の娘たちが
きれいな足を惜しげもなくさら ....
終ぞ桃に口づけせずに終わるは秋
こまゆみが 幾ら美しく ぶら下がっても
北風に吹かれちまえば それで御仕舞

お前の推しメンは誰なんだと
おしめを外せぬ赤子に尋ねても
ぎゃあと泣くだけ ....
頻繁に人にであうでもない
この生活にあまり不満はないのだ

ベランダの脇の雑草がどう伸びようと
有る意味僕のそとの世界のできごと

疲れている意識もなるべく解消しようと
優しい母や鬼嫁も ....
難しいことを求め得る人ほど
しあわせなきょうだけを享けている
たやすいことにすら見放されて泣く人ほど
みつめている三つがある

それはさまざまな三つであり
泣く人の数だけあり
泣く人を泣 ....
田崎さんちの某を思い起こすよな色彩について
論じる気はなくて詩ができること考えるの明日
面倒なことは全部ぜんぶ明後日に先送り出して
三、五メートル巻尺オレンジの帰還を待つだけ
行ったり来たり渋 ....
天にはひとつの
(視えない手)があり
私は、全ての恐れ・震え・野心を
不思議な手の上に、置く。

この胸に乱れた炎は
いつしか――闇に溶け去り
静かな青い火となる。

そうして私は、 ....
色彩の論より証拠はるの山

いろとりどり鳥とりどり春のやま

ふきわたる風の色彩におう春

いろいろなんです。いろめきなんですね

なんとなく春はなんとなくくる(う)み ....
花盛り青信号に気づかない 宏大な界が突然開ける

視界右上奥に
空の濃く暗らんだ青が微かな裏光りを帯び沈黙して在る

視界中央仰げば
巨大な白雲無数、それぞれの意図を持ち漂い溢れ流れている

視界正面遠く近く
 ....
近所にスーパーができたので
ひとりぼっちで買い物に行った
自動扉を中に入ると
アナキストとすれ違った
笑ってやれ アナキストを

さあ 渡ろうじゃないか
どこへ
どこへともなく
いつ ....
【無口】


山高帽の男の顔は見えないが
どこにでもある石を缶詰のように
開けようとしている

男にだけにわかる匂いを閉じ込めたのは
誰なのか
日記帳の文字の旧字体が
机 ....
父と呼んだ人の欠片が
ぎゅうぎゅうに詰められている。

(押し込まれんで、良かったなあ。)と
遺骨の橋渡しを終えて帰ってきた。

五年前の秋口。
同じ場所で迎えた祖父との別れ際。

 ....
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近所にスーパーができたので- オイタル自由詩316-4-10
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嘘吐き。- 梓ゆい自由詩116-4-7

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