速度が燃えている
千切られた紙が空中に乗り
方位を失っているのだ
気紛れで開けた窓から、風
陽光だけが揺られず、ベランダに線を引っ掻く
じわりじわりと来た
それが春だった
爪先ひとつ ....
そこはいつも夜で 小鳥が深い森にさえずっている。
聞こえるかい?ねむる森の奥で
のびやかにさえずっている声が。
…ここはそこなんだ。ぼくらは飛んだんだ。
月の照 ....
きみは彼を
愛している、きみは彼を愛して
いる、
きみは彼を愛している、非
相似に
ただひとつの時間が
あるために、
それは
愛している、彼はきみを
巻き込んでいる
....
空に 浮かぶ
心臓の ひとつひとつ は燃焼して
その光の 落穂 から 聞こえる リズム
確かに 囁き 唄う
あたしは あの声を 聞いていた
一 ....
人間の心臓には
部屋がいくつあるのだろう
あたしは今日も 生まれたんだ
小さな部屋の中に
身体の中で
赤く
動いて
....
お腹が空いて動けないよぉ
「どないしてん?」
あっ アソパンマン
「まいど アソパンマンでっせ」
お腹が減って動けないんだ
「ほな 救急車呼んだるわ」
えっ あの ....
ソメイヨシノ
はクローンです
と理科の池野先生が言った
そこの桜も
不忍池のも
ポトマック川のほとりのも
同じように咲きます
その花達は
実を成すためではなく
咲くために咲 ....
さあ始まりだ
戦国武将のように心に号令をかけよう
かかれ〜〜っ!
新たな生活を突き進むんだ
そして俺は歌う 夢中で頑張る君へエールを♪
俺は送る たとえ君がレオパレスに住まなくても
君は夢 ....
季節のかわり目は
いつもどこか淋しい
風が吹くたびに
しがみついていた桜の花びらは枝を離れ
雨が降るほどに
やわらかな景色がその色を増してゆく頃
たとえば新しい教科書の
空欄に名 ....
冬の吹雪と
春の桜が散る様子は
趣が似てるように思う
そんな時僕は
大の字になって寝そべり
雪と桜に埋もれて
何か大きなものとひとつになるまで
ずっと、そうしていたものだ
積も ....
きみがきみであるような
ところで、きみは
もっとも近くに
きみとは他なることができる
かもしれない時を
もっている、そのために
きみがきみと交わしてきたことは捉えがたいもののなかに
....
地球を回転椅子にして
神様は座っている
なんて話を
誰がしてくれたんだっけ
私は病気で
もう二週間、家から出ていない
青空が暗い
いいからその尻をどけてくれ
ひと ....
ひとひら
ふたひら
黒い水辺の
むこう岸
藍色の闇に
ふわりと浮かぶ
燈籠のような
花明かり
ひとひら
ふたひら
うろこのような
....
六月の空から降りしきる
無数の梅雨のうたごえに
色づいてゆく青の紫陽花
八月の日照りに
干乾びた姿晒す
{ルビ木乃伊=みいら}の紫陽花
「生 ....
( 今宵も高田馬場に
( {ルビ詩=うた}を奏でる風が吹く・・・
鉄腕アトムのメロディーが
少年の夢のように
駅のホームに流れると
何処か遠くの山々で
満開の桜の幹に隠 ....
ねえ君は
どうしてそんなに喋り続けるんだい
何かから逃れるかのように
何かを一時でも忘れたいかのように
その身体を
いま/ここに繋ぎ止めるために喋り続ける
軽くなる言葉
....
{引用=何十年か一度
季節が歪むと
東西の桜前線が逆転し
北から桜が咲きます
これを
紫桜前線と呼ぶのです}
{ルビ『紫桜前線』=しざくらぜんせん}
そんな記述を
小学 ....
すかすかの
からっぽ
からっ ・ ・・ ぽ
あたしいままで なにやってきたんだろ
ただ とどこおりなくすごして
ただ のぞまれるすがたとかたちをもとめられて ....
柳の慈悲に手を払う
今私の道の側に
不器用な目で在る柳
振り返らず歩き去り
月に伝言を頼んだ
いつか必ず立ち止まり
枝をつかむその日まで
ただ見つめてと
春の雨に隠された怖れを彼女は見ている
幾つものしずくに映る逆さまの世界を
彼女は見ている
からだの動かし方は知らない
時代がかった衣装の代えもない
おひな祭りというものが過ぎて
誰かさ ....
とべない鳥がなくように
誰かのそばでうたっていたい
とべない鳥がなくように
誰かのうたをうたっていたい
とべない鳥とわらわれて
とべない鳥とからかわれても
誰かのそばでうた ....
飛び立つ後ろ姿を
どこかで見た
朝
の記述を
探して
黒く浮かぶ
記憶の島を探し
脳内を辿ってゆく
鳥
ほの明るい
Cellの海の
上空に浮かび
....
波が、体をおして来る
水の体でおしてくる
だからぼくらもおしかえす。
でもまた波がおし返す
夜になって波がきつくなり、
ぼくらは帰って朝になる
朝になると、弱くなり、
夜のつかれを休ませ ....
覗き込んだら 電脳朧月
深夜のコーヒー もう何杯目だろう
君のすべてを零と壱に分解して
新しく未来に何を残せていけるのだろう
知りたくない情報も鼓膜に突き刺さる
最近の音 ....
学生たちが
そこここに円くあつまって
華やいでいる
どうしたら
あんなふうに笑えただろう
そういえば、もう
何年も卒業していない
花壇のすみで
孤立無援だった球根さえ
新しい黄緑 ....
魚を丸ごと
皮も内臓もぜんぶ食べた
それは
ゆうべのことだ
目覚めると
私の骨が泳いでいる
なんたるこった
私を食べてしまったのは私だろうか
どこをどうやって
....
トンネ 暇
では ル内 渋 余
会 で 滞 の
都 も ....
公用車で県東部から県北部へ
ロングドライブ
昼下がりの街道は
ストレスもなく流れて
時速50キロで次の現場への道を
トレースする心地よさ
集荷場のある集落を抜けると
広い谷戸 ....
背もたれが
椅子を飲み込んでいく
水槽の言葉で人は話す
たとえ古くても
あなたが好きだ
いつも日なたに
消えてなくならないから
またひとつ閉めらる
ガラスの窓がある
そして代 ....
黒頭巾ちゃんは、電車で2駅の場所にあるケーキ屋へ、クリスマスケーキを注文するためにお出かけしました。
もちろん、普段の黒頭巾ちゃんは緑の頭巾を被っていますので、黒頭巾だと見破られるようなことはあ ....
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