「 あさって帰る、戸締り頼む。」 

親父の書いた太い字の 
メモはテーブルに置かれ 
日頃にぎやかな 
家族みんなは婆ちゃんの 
米寿の祝いで熱海に行って 
ひっそりとした家の中 
 ....
産まれたのは透明な冬
冥王星のなまえをもらった



彼女は海に飛び込む
後姿は蝶の背骨
白い指で息を止めても
朝はきっと来ない
細い髪がやわらかくゆれる
スローモー ....
墓に酒を傾ける
世間の片隅でありつづけた君に
酒で石が黒くひかる


夜明けに
しらじら壁を見上げた
死ぬとはどういうこと



墓に酒を傾ける
羽虫がいっとき酩酊している
 ....
窮理の唄


どーん、どーん
どん、どん
賢き童は申し候
賢きの、賢きの童は
拍子とり,一巻のくすしい唄を
うたい候
髭の相者はおわしせば
髭の相者の髭ひとひねり
窮 ....
{画像=071102135328.jpg}

秋を絞り採る作業を
定数で合わせようすると
声が出ないことに気がついた

黙っていろ、という事なのかと思い
あめ玉を舐める

れーろ、
 ....
この橋の下には
黒い川の流れがあったはずだ
すべてを押し流そうとした
鉛のように重く黒い川の流れが

燈篭流しの燈篭が流されていった
誰かが投げ捨てた麦藁帽子は橋桁で朽ち果て
パンパンに ....
music は
あなたと 二人で聴く為のもので
包丁 は
私の腹を割っさばく為にある訳 じゃなく

詩 なんてやってなければ
詩 がなければ あなたとも  ....
                        6 瓶

とうとう
見つけられなかった

盗撮カメラの場所は
写真のアングルからすぐにわかった
居間と浴室
無線LANとモバイル端末
 ....
「渋いんだろ」
「全然渋くない」
「見た目まだ青いもん」
「人を見た目で判断しない」
「柿だし」
「渋くないから」
「渋くて渋くてたまりませんていう顔してるし」
「向かいの奥さんも渋 ....
美しが丘5丁目の
Y中学校脇の坂道の頂上で
朝日を、夕焼けを、月を、
もう10何年も眺め続けた
朝日は時に足取りを重くし
夕焼けは時に涙を流させ
月は時に孤独を連れてきた
それでも今日も ....
 紙屑に身を潜めるモルモット。君みたいだ―
種をかじるように活字にかじりついている。
消化不良で重たくなった身体は、輪の中で駆け巡らせて
(それで解消しようがしまいが)息をするのも
ままならな ....
潜り込めこの家に
この家に潜り込め

何故かって


遺伝子の記憶
羊水の細波、
原初の叫び
意識の拡張。




潜り潜り潜り潜り込め
この家に。

何故かって、
 ....
 
ピッチャーの投げたボールが
輪郭をあやふやにして
雲の形になり

やがてひつじになって
待ち侘びていたバッターと
いっしょに頁から退場していく

指が擦り切れるまでめくり続け
 ....
私は眼鏡をかけてよく負ける、無重力を味わうかのように。
鳩尾に鈍痛が走るように、断腸のように、そのように。私の泣かない場所が、
糸巻貝のなかで爪を噛んで噛んでいる。私という肉はすぐに罅割れ、れ ....
パラパラ漫画の
途中のひとこまが足りなくて
ぎこちない様子は
まるでぼくの人生のようだ
足りない日記の一ページのことは
思い出せないけれども
思い出せないふりをしているだけで
ほんとうは ....
ほねつぎから帰った祖母が 
我家の壊れたインターフォンに 
「故障中」を貼ってくれと 
ガムテープをさしだした 

腰を痛めて休養中のぼくは 
マジックで「故障中」と 
力強い字で書いて ....
秋の空は澄んでいる
そう思ったら
澄んでいたのは
わたしの方だった

あのひとは今
春なんだな

そう思っても
わたしの気持ちまで
春になるとは限らない

ふとポケットに手を入 ....
雨の日にモーツァルトの{ルビ弾=ひ}く 
ピアノの単音を背後に聞きながら 
今頃声をかけあい 
ひとりの老人を介護する 
同僚達を思い出す 

{ルビ忙=せわ}しい職場を離れ 
こうして ....
月曜日
わたしには仕事などない
だけど、うちにばかりいると叱られるから
とりあえず、仕事に行くふりをして
たんぼの畦道をよろよろと歩いた

畦道は細くなったり
太くなったりして
歩きや ....
往生際にしゃがみこみ
手鏡に覗く ためらいが
すうーっと横を 過ぎる気配      /よぎる

「いいのです」と 言いたいけれど

知らぬ存ぜぬ通せば
あきらめて 腰をあげるかとも
想 ....
日蝕があった
月蝕があった

地震があった
飢饉があった

父方は山賊
母方は海賊

ロケットが飛んだ
ロボットが呼んだ

冬が来た
春が来た

氷河が溶けた
島嶼が消 ....
去年の今日。
2006年の10月26日 昼過ぎに、祖父が他界しました。
祖父が亡くなって、ちょうど一年になります。

祖父が亡くなったとき大阪にいました。
知らせを受けて、
すぐ帰ったので ....
ベランダと猫



ある事情のために
彼は夏の終わりの
しばらくの間
川の近くにある
見晴らしの悪い
アパートで
猫と暮らした


そのアパートの中で
生活、という
よく ....
  砂糖は山盛り三杯
  白くなるぐらいミルクを入れて
  少しぬるいぐらいの温度で
  こんなコーヒー僕はまさか飲めないよ
  甘党で猫舌な君のためさ



     あたし ....
棚の上に置かれた 
小さい額の中は 
去年の祖父の墓参り   

過ぎた日の 
こころの{ルビ咎=とが}を忘れたように 
墓前で桜吹雪につつまれ 
にっこり並ぶ 
母と祖母 

雲 ....
一日というものが 
こわいほど 
早くに暮れる 

きっと人生は 
序章から終章まで 
風にめくれる無数の{ルビ頁=ページ}を 
一瞬のひかりでつらぬく 
一冊の本 

一日の終わ ....
バス停の近くで生まれ
バスを見て育った
バスを見ていないときは
他のものを見て過ごした
見たいものも
見たくないものもあった
初めての乗り物もバスだった
お気に入りのポシェットを持って
 ....
部屋の白い壁に虫の卵が無数に生みつけられている。
卵は、こげ茶と灰色の縞模様のふわふわの米粒状で、9つずつ規則正しく円形を作っている。一面に散り、つぶれたような虫のしたたった跡もある。厭わしさに背 ....
俺、ザムザ
丸くなって寝ていたら
海老になっていた
エビちゃんになってしまったから
もう
仕事には行かなくていいのだ
底に沈んで
苔の類をついばんでいればいーのだ

下半身をゆるゆる ....
とろとろに
燃えている、もう
ひとふき、あとひとふきで
したたる
ぜんぶしたた、る、

そこらじゅうが燃える、
燃える!
次のことを知っているのねそんなにも潔く燃えて、したた、る、 ....
あおばさんのおすすめリスト(15345)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「_暖炉の炎_」_- 服部 剛自由詩7*07-10-31
冷え切った冬の最果て- アオゾラ ...自由詩2307-10-31
創書日和【酒】_墓酒- 大村 浩 ...自由詩7*07-10-31
窮理の唄- 生田 稔自由詩707-10-31
あめ玉- はらだま ...自由詩13*07-10-30
黒い川の流れ- 恋月 ぴ ...自由詩28*07-10-30
「し」- 山内緋呂 ...未詩・独白607-10-30
- アンテ未詩・独白307-10-30
柿を食べる- 楢山孝介未詩・独白2+*07-10-29
5丁目の坂- 快晴自由詩1307-10-29
[:sect- プテラノ ...自由詩2*07-10-28
飛行の内側- やまぐち ...自由詩707-10-27
パラパラ漫画- たもつ自由詩12+07-10-27
私、散る- はらだま ...自由詩12*07-10-27
パラパラ漫画- 小川 葉自由詩707-10-27
上司のくしゃみ_- 服部 剛自由詩207-10-26
秋の空- 小川 葉自由詩307-10-26
モーツァルトの指_- 服部 剛自由詩4*07-10-26
なんでもない一週間- 小原あき自由詩36*07-10-26
手鏡- 九鬼ゑ女自由詩307-10-26
歴史- yo-yo自由詩5*07-10-26
おじいちゃんへ- 北大路京 ...未詩・独白21*07-10-26
「ベランダと猫」- ソティロ自由詩4*07-10-26
甘党≧辛党- Affettuoso [ ...自由詩8*07-10-25
カツのころも_- 服部 剛自由詩8*07-10-25
パスカルの顔_- 服部 剛自由詩3*07-10-25
他のもの- たもつ自由詩2107-10-25
- リーフレ ...自由詩207-10-25
エビちゃんに変身- 佐野権太自由詩8*07-10-25
ただ一度だけ在るものとして- 石畑由紀 ...携帯写真+ ...607-10-24

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512