トロワ (ii)
梶谷あや子

お休み、白い夢
あまい音楽のなかで
呼び出しのベルがどこまでも続いている
ぼくは、ねざめの黒い籠に
人びとが起きていくのを聴く
沈み込む星の胎と
平衡にあなたがほほえんでくれる
光の進む方向へ
太陽がひとつ、ひとつ、また
かごめを引き裂きながら
またひとつに

つぶさな国と国とが
どこまでもふれ合っていて
それがこんなにもこんなにも優しかった
車は出てゆき
何ひとつ記録することも
手を、降ることさえないから
あらゆる悩みを旅しよう
だってあなたの瞳が
わたしを見ている、
呼び出しのベルは
どこまでも続いている





自由詩 トロワ (ii) Copyright 梶谷あや子 2010-09-12 11:11:31
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