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霧の中をむささびが通る
生まれながらにして影を忘れたあわれなぼくらに
あの怪獣はずっとずっと語りかけている
蟻の列を避けて歩くように
ぴかぴかと大きい目は下を見続けている
城壁跡に腰掛け ....
あの子がゴミだって捨てちゃったもろもろを
一ヶ月くらい水車の横に隠しておいて
さざなみがつくる境界線のもっと向こうまで
もういいやってなった一歩手前まできたら
僕ん ....
もう忘れてしまったかもしれないけれど
ある日、過疎ってる街にすげー雪が降った
朝の5時からけたたましく鳴る携帯にうんざりした
こんな時間だもの、きっと何か悪い報せなんだ
電話の内容は本当に ....
こんな沈んだ気持ち程度、扇風機で浮くと思っていた
あのすてきな帽子、いったい誰のなんだい
つま先でつついた
みんな同じような次元を突き破るために
だんだんと口角を上げ始める
....
近所の定食屋がなくなっていた
火曜日に定休日で水曜日につぶれていた
またひとつ思い出のストックを増やして
カウンター席からの、
大きめなテレビがあった風景をかりかりと刻み始める
いつ ....
またひとつ季節が終わる頃に
君には喋らないでいてほしい
まだ人のいる砂浜を横目に薄暗いトンネルに入る
さっきとは違いひんやりした空気に安心する
たくさんのことを思い出しながらだから ....
夢みる機械が煙を吐いた
明日はどうしよう
時計よりも早い回転でしっぽを生やす電信柱
ダムの真ん中に大きな城を建てて
訳あり顔で頷くロバを
線路の海に連れて行く小柄なロックンロールジプシー ....
銀紙の庭にときどきおりてくる
いつも窓辺に張り付いて僕はそれを朝まで剥がしている
境界線上になった手のひらの上で
それはいろいろな季節だった
たしか遠くまで見ていた
ぼやけた山の頂上で
....
街灯は静かに同じ夜を燃やしている
うすくかかった膜のような
どこにでもある話をしながら
特急を乗り逃して
ふてくされて爪を切っている
割と、大事じゃないような
そんなものに焦がれている ....
おまえはほんとうにバカみたいに
しましま模様のドアを開けたがっている
痛いから苦しいのじゃなくて
何も見えていないからまた透明に当たってしまうんだよ
東神奈川の虹に頭を下げながらボールペンで書 ....
テーブルから目を離した隙にこぼしてしまった
グラスに良く映っていた星座たちは大丈夫だろうか
せめて開けた窓に都合よく張り付いた夜は
換気するたびにぴらりと剥がれてしまっていた
洗いたてのシ ....