雨のち
佐々木妖精

出口に中指を添え
Tシャツとジャージ 石鹸に座ってよろめく

壁を蹴ると滲む 気化した感情
昨日の雨は冷たかったが
雨上がりを見逃してしまった

窓を打つ音は
雨後雨と報じる
曇りガラスを開き
宙に文字を刻み水滴を揺らして弾き
目撃者を望むにも
こうも降っては紛れてしまう

壁に張り付いた湿気がダラダラ垂れる
目元の蛇口は恐怖を蓄え。
楽になりたい

雹でも降るのだろうか
人はなぎ倒され
宿り木は貫かれ
人影はかき消され
降ればいい


不信
賭けに出たコックから
一度は破れた手が
晴れを運んできた


自由詩 雨のち Copyright 佐々木妖精 2008-03-26 12:16:54縦
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