すべてのおすすめ
自分が何者であるのかを忘却したヤモリが
月夜の草原を歩く
湿った土の上を迷いながら
虫の恋う声を聴いていた
冷えた風がつるりとした肌を撫でる
ヤモリは小さく震えた
きょろりとした眼 ....
鹿になりたや
そして逃げたや
小さな紅葉の降る頃に
紅いその葉をなお紅く
鹿になりたや
そして逢いたや
いつかの昔にかいまみた
綺麗なひとみの山のひと
鹿になりたや
そして越 ....
花のひとひらが
枯れ葉を追っておちる様に
それはとても自然なことだよと
あなたは言った
白いカーテンが窓の外へとたなびくのに誘われて
....
てふてふが
海を渡つてゐるのを
飢ゑた勇魚が、
ぢつと、見た
食べてはいけないのだよと
言ひ聞かせながら
....
街の中心
その、少したかいところ
高架化されたせんろの上を
古びたでんしゃがはしる
ねむいからだをはこびながら
きみのすむ都会から、とおいまちへ
眼下にひろがるまち
せなかには洛 ....
八月二十七日 午前二時
病室の小さなベッドの上
真っ白なシーツをかぶって
はしゃいでいました
夏が
終わるのを知って
少し ....
石畳
踊りの輪の中で
子供達は買われるのです
私は不良品ですので
銀貨5枚分は
安く買われることでしょう
....