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        前田ふむふむ

鳥が飛んでいる
ひとつの銃弾から
ひとが生まれる
羽が砕かれ
動かない鳥のなかから
声が生まれる

声は
夜の輝きである
ひとりが声をあげれば
 ....
          
ことばのない土を
ことばのない空を
断崖が しずかに線を引く

その聳え立つもの
佇むわたしの踝は  
夕凪を握りしめている
その夏の
無効をうきあげる
屈折 ....
  
     
                   
ものを捨てる
なにかを捨てることに
ときにためらい うしろめたさを
感じながら
一方では恣意的な解釈を
遠いツンドラの泥土のし ....
  
             
眼の中の
草を刈る人たち
そのふむ土に
灰はあるのか
黒く固まる
もうひとつの眼
形状に
手をくわえれば

内部へと
身体を沈めていく

 ....
     


水路沿いにある病院を
服薬をもらって出た
六番目だった
先生は機械のように診察した
わたしは それにふさわしく
死人のように応えた
道路では 
駅からくる通行人がま ....
東日本大震災・死者・行方不明者数
            二〇十二年三月十日 

死者 15854名
 宮城県 9512名 岩手県 4671名 福島県 1605名
 茨城県   24名 千葉 ....
 
          
わずかにからだがゆれている
冷気さえ眠る夜に
自分がふれた蛍光灯のスイッチの紐が
ゆれているのを見て
からだがむしょうにふるえてくる
ずいぶんと経たが
もうな ....
あなたは何において父の後継者なのか
という問いに
わたしは おそらく負債において
といったときの
背を伸ばした麦の穂は
熱帯のようなひかりの拒否に
砕けかれていく
  
  いまは
 ....
               

ふかくふかく沈んでいく
ひかりが ひとつひとつみえなくなり
一番遠くのほうで白い水仙がゆれている
たびたび あわがすこしずつのぼっていくと
呼吸しているこ ....
朝方にゆったりとした気分で、散歩をしていると、
ようやく眼を覚ましている住宅地、その街並みに、申し訳そうに咲いている草花、入道雲、青い空、次々と目にはいり、通り過ぎていく、その時、僕は、朝の ....
シャボン玉のなかの、人気の無いシャッター通りを
くぐりながら、眠れない半分の顔は暗闇の書架を見上げた。
玩具の戦争が終わったら、地平線のうしろに隠してある
重油の山を売り払って、腹が裂け ....
  1

姉は、猿が、親を殺している夢を、夜ごと見ては、
目覚める度に、硝子が砕けるように、怯えていた。
地味な窓から、手を伸ばすと、
裏庭の空き地越しに見える、マッチ箱の家たちは、 ....
一面の草むらから、湧きあがる青い空。
向き合うわたしの窓は、青い空をもたない。
手にした一枚の写真を見て、
水を得た魚のように泳いだ海は、
黄ばんだ家族の笑 ....
二番地の内田さん    前田ふむふむ

白いあごひげをはやして、美味しそうに、キリマンジェロを飲む、二番地の内田さんと呼ばれている、この老人は、若い人と話をすることが、何よりも好きだ。よく、真面目 ....
森の夢―古いボート          前田ふむふむ

     1

青い幻視の揺らめきが、森を覆い、
緩んだ熱を、舐めるように歩み、きつい冷気を増してゆく。
うすく流れるみずをわたる動物 ....
繰り返される福祉が、
新しく歓迎の声を受けて――、
福祉は、いくつもの、与えられた菓子を食べる。
なかには、埃を被っている、
国民精神総動員要綱も、
    遠くに、ちらついて揺れている。
 ....
換気扇が、軋んだ音を降らす。
両親たちが、長い臨床実験をへて、
飼い育てた文明という虫が、頭の芯を食い破るようで、
痛みにふるえる。
今夜も、汚れた手の切れ端を、掬ってきた、
うつろな眼で、 ....
花弁を剥きだしの裸にして、白い水仙が咲いている、
その陽光で汗ばむ平らな道を這うように、
父を背負って歩く。

父はわたしのなかで、好物の東京庵の手打ち蕎麦が、
食べたい、食べたいと、まどろ ....
木曜日の朝の雫が絶叫をあげている。
尖った街頭の佇まい。
通勤の熱気をはおったDNAのひかる螺旋の群は、
わたしの散漫な視覚のなかに、
同じ足音、同じ顔を描いていく。

振子のようなまなざ ....
     1

逆光の眼に飛んでくる鳥を、
白い壁のなかに閉じ込めて、
朝食は、きょうも新しい家族を創造した。

晴れた日は、穏やかな口元をしているので、
なみなみと注がれた貯水池を、
 ....
木がいさぎよく裂けてゆく。
節目をまばらに散りばめている、
湿り気を帯びた裂け目たち――みずの匂いを吐いて。

晴れわたる空に茶色をばら撒いて、
森は、仄かな冷気をひろげる、静寂の眩暈に佇む ....
遥かに遠くに満ちてゆく、夢のような泡立ち。
その滑らかな円を割って、
弱くともる炎。
最後のひかりが、睡眠薬のなかに溶けてゆく。

みどりで敷きつめられた甘い草原。
潤沢なみずをたくわえて ....
序章

薄くけむる霧のほさきが、揺れている。
墨を散らかしながら、配列されて褐色の顔をした、
巨木の群を潜ると、
わたしは、使い古された貨幣のような森が、度々、空に向か ....
       1

鎖骨のようなライターを着火して、
円熟した蝋燭を灯せば、
仄暗いひかりの闇が、立ち上がり、
うな垂れて、黄ばんでいる静物たちを照らしては、
かつて丸い青空を支える尖塔が ....
  1 眠り

朝の眩暈のなかで、
一日の仕事を終えて、疲れ切ってから――、
職場に出かけても、
そこで、わたしにできることは、
只、泥のように眠ることだろう。
(そこには、青い灯台が、 ....
     1

漆黒の夜を裂いて、神楽の舞が、
寂びた神社の、仄暗い舞殿で、
しなやかな物腰を上げる。
右手は、鈴の艶やかな音色が、薫る。
あとを追う鳥のように、左手の扇子は、鈴と戯れる。 ....
  1.永遠の序章

(総論)
一人の少女が白い股から、鮮血を流してゆく、
夕暮れに、
今日も一つの真珠を、老女は丁寧に外してゆく。
それは来るべき季節への練習として、
周到に用意されて ....
     1 序章

慎ましい木霊の眼から、
細い糸を伝って、子供たちが、
賑やかに、駆け降りてくる。
溺れている海の家の団欒は、
厳格な父親のために、正確な夕暮れを、見せている。
見開 ....
深くみずをたたえて、湿度を高位にくばり、
森に沈みこむ薄化粧の木霊は、
香ばしい季節の賑わいを、端正に、はおり、
浮かび上がるみどりに浸る、
眩い光沢を、透き通る声の上に配して。

流れる ....
溢れるほど、満ち足りた言葉に、埋め尽くされて、
わたしは、天空を飛翔する鳥のように、
爽やかなひかりの音階の裾野に舞い降りる。

花々は寄り添い、一面を、湿潤な色香の帯を輝かせて、
痩せ ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
神話—デッサン- 前田ふむ ...自由詩812-12-6
追悼のうた—デッサン- 前田ふむ ...自由詩312-12-3
蒼い思考_デッサン- 前田ふむ ...自由詩612-12-1
声_—デッサン- 前田ふむ ...自由詩612-11-28
一月の空—デッサン_- 前田ふむ ...自由詩512-11-26
透明な統計表—デッサン- 前田ふむ ...自由詩312-11-25
新生_デッサン- 前田ふむ ...自由詩912-11-23
家族写真—デッサン____- 前田ふむ ...自由詩3*12-11-20
朝—デッサン_____- 前田ふむ ...自由詩11*12-11-20
人格的な、入道雲、青い空___mixi日記より- 前田ふむ ...散文(批評 ...210-9-17
白いみずおと______- 前田ふむ ...自由詩18*09-1-28
黄色の憧憬−デッサン- 前田ふむ ...自由詩19*08-10-7
青いひかり_______- 前田ふむ ...自由詩28*08-6-19
二番地の内田さん—デッサン- 前田ふむ ...自由詩21*08-5-18
森の夢ー古いボート___- 前田ふむ ...自由詩24*08-5-18
幸福のデッサン——デッサン- 前田ふむ ...自由詩31*07-7-12
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森番—透過する森のなかへ- 前田ふむ ...自由詩38*07-6-6
五月の街- 前田ふむ ...自由詩31*07-5-26
静かな氾濫をこえて—四つの断章___デッサン- 前田ふむ ...自由詩29*07-5-8
森の心象___デッサン- 前田ふむ ...自由詩25*07-3-17
夢の経験- 前田ふむ ...自由詩24*07-2-16
虚空に繁る木の歌___デッサン- 前田ふむ ...自由詩22*07-2-5
浮遊する夢の形状____デッサン- 前田ふむ ...自由詩28*07-1-24
二つの灯台__デッサン- 前田ふむ ...自由詩20*07-1-11
蒼茫のとき—死の風景- 前田ふむ ...自由詩32*06-12-9
寂しい織物—四つの破片_デッサン- 前田ふむ ...自由詩42*06-11-30
夜を夢想する海の協奏- 前田ふむ ...自由詩27*06-11-9
森の経験- 前田ふむ ...自由詩19*06-9-13
瑞祥をめざして- 前田ふむ ...自由詩18+*06-9-7

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