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少女は影と仲良し
毎日毎日一緒に
日が暮れるまで遊んだ

少女は
周りの大人たちの話す陰口や
虚飾に包まれた世辞を聞いては
呆れ果てていた

大人になんかなりたくないわ ....
アスファルトに焦げ付いた影を切り取って
家へ持って帰った

壁に立て掛けて
白いチョークで
目を描いた
耳を描いた
鼻を描いた

口を描いた途端
影はしゃべり出した ....
両親が好きな子がいた
どんな両親が好きなの
そう尋ねると
それはそれはたくさんの条件が出てきた
まだ続きそうだったので
それを遮って
ところでその条件にあてはまる両親はいたのと聞くと
ま ....
私は死んだので
私の体を抜け出した
いつか死んだらきっと飛べるだろうと思っていたから
私は飛んだ
町中を飛び回った

何人かの人と目が合った
けれど何も尋ねられなかった
飛ぶことができ ....
腕を切ったら
赤い温かい血が流れて
ああ、こんなに温かいのに
体にあるときは気づかない

私は思って
そんな風に思って

湯船に世界地図のように広がる赤い水面に
行って ....
白い服を着た少女
向こう側からやってくる

黒い服を着た少年
反対側からやってくる

少女と少年は出会う
少年は少女を犯す

少女の白い服に
小さな赤い斑点が滲む
 ....
ある旅人は言いました
世界の果ては海だったと

もう一人の旅人は言いました
世界の果てにはただただ高い
山があったと

私は彼らに言いました
世界の果てには
一人の少女がいたと

 ....
ガタン、ゴトン
朝の満員電車の中で
整然と並んだ大人の人たちが
揺られています

吊り革につかまっている人たちが
各々の吊り革を
舐め回すようにじっくりと
見ています
 ....
占い師に手相を見せたら
あんた来月死ぬよ、と言われた
何か避ける方法はあるかい、聞くと
一万円と答えた

僕は仕方なく一万円を支払うと
あんた大事なものはあるかい、と尋ねられた  ....
私を死刑にしてください
私を死刑にしてください

街行く人に向かって
私は大声で叫びます
みんなが私を振り向いて
みんなが黙って去っていきます

お嬢ちゃん
一人の紳士 ....
実家に棲みついた座敷童子は
びっくりするくらいの大食らいで
おかげでうちの家計は
火の車だそうだ

何を思ったか
その座敷童子は
どこから汲んで来たか
大量の水をバケツか ....
わたしの影は
わたしの涙で
水色になりました
わたしがそっと足をつけると
ぴちゃっという音をたてます
わたしはくつをぬいで
服をぬいで
影のなかへ
沈んでいきます
 ....
折れた木の枝は
交尾中のティラノザウルスのよう
街路樹は
地面から生えた手のよう

夜の散歩道には
昼間に見えない
不思議な生き物たちが
姿を見せる

地面に映る  ....
腹を空かせた蛇が
宇宙を丸呑みしたそうな
大きな口を開けて
パクッといった

宇宙は蛇の腹の中にあって
時折酸性雨のような
蛇の胃液が降り注いで
少しずつ世界は消化されて ....
平べったい横の線を辿りながら歩く
垂直にかけられた梯子には
立ち入り禁止の暗黙
手をつなぎ誰もが
出し抜かないように監視し合い
貼り付けられた笑顔に笑みを返す

でもいいのさ ....
さあさあ始まる、始まるよ
嬢ちゃん、坊ちゃんみんなおいで
ほらほらお菓子も売ってるよ
最後までいた子にはただであげるよ

ほらほらみんな喧嘩しちゃいけない
おじちゃんの話をよおく ....
夕暮れ時に
死体が上がったと
町の漁師たちが言っていた

私はきっと
昼間のあの旅人が
死んだのだろうと
思った

きっと彼は海を見つめて
スケッチブックを開いて描 ....
目玉磨きは今日も目玉を磨いてる
キュッキュッキュッ
キュッキュッキュッ

黒い目玉に茶色に緑
青い目玉に疲れた赤目
毎日毎日忙しい

夜になると
こっそり瞼を押し上げて
せっせせっ ....
いつかの駐車場猿から
手紙が届いた

こっちはなんとかやってるよ
そっちと比べて数が多いから
多少大変だけどね

僕は淹れたてのコーヒーを飲みながら
何度かその手紙を読み返 ....
青い顔をした海が言いました
そんなに思いつめて
どうするんだい

あんたの顔色に比べりゃ
幾分かマシさ
私はそんな風に答えました

海の中に太陽がジュジュジュと沈んで
 ....
ねえママ、あれが欲しいよ
いい子ね坊や、大人になったらなんだって手に入るわ
だから今は我慢しましょうね

僕はそんな風に
子ども時代をただ我慢することで
過ごしてきた
毎日毎 ....
生まれたとき僕らは一人残らず
目玉の手術を受ける

僕らは始め誰も目を持っていない
昔の人にはあったんだ
だけどそれは真実を見出すことさえできなかったから
そのうち退化しちまった

だ ....
蛸男と偶然すれ違った
僕と君たちと一体何が違うって言うんだ
開口一番蛸男は僕に突っかかってきた

何も違いやしないさ
君は十分に魅力的だよ

当たり障りのない言葉を返すと
 ....
逃避行ロケットに乗って行こうよ
火星なんかがいいんじゃないか
知ってるかい
あそこには何でもあるんだ
地球に送られる映像は
やつらが勝手に作ってる

お父さんに挨拶はしない方 ....
地球に降り立った天使は
神様に間違われ
みんなにちやほやされて
子どもたちの教科書に載ったりもして
毎日毎日良い気分

ある日真っ黒なカラスに乗って
悪魔がやってきた

 ....
 三百四丁目の博士の家に行くまでに、僕は三十回くらいもう諦めようかと思ったけど、二百五十丁目の看板が見えたときには、なんとかもう少し頑張ってみようと思い直した。
 博士の家に行くまでには、一丁目から ....
ゆきふらしはやっとこさ
目を覚ました
去年頑張りすぎたから
いつもよりたっぷり眠った

朝ごはんを食べて
歯を磨いて
お出掛け用の一張羅の服に着替えて
今年も仕事に取り掛 ....
パパにおねだりして買ってもらった
世界
始めはとても小さくて
なかなか言うことを聞いてくれなかったけど
だんだん躾を覚えてきて
今じゃちゃんと言うことを聞く

あたしが小さな ....
こうやって一つずつ年が離れていくんやね
来年になったら
また一つ年が離れて
うちが十年たっておばさんに近くなっても
あんたはあの頃のままのあんたで
うちらの年だけがどんどん離れてい ....
あんたの腕から
しなだれ落ちる
赤い糸を辿っていったら
どこに辿りつくんかな

いろんな女のとこ
ぐるぐる廻りながら
なかなかその先が見えてこうへん
女の人が多すぎて
 ....
あおばさんのなかがわひろかさんおすすめリスト(42)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
少女の願い- なかがわ ...自由詩6*07-8-24
焦げ付いた影- なかがわ ...自由詩4*07-8-18
両親選定- なかがわ ...自由詩3*07-8-8
空飛び死人- なかがわ ...自由詩5*07-7-29
赤い血の温度- なかがわ ...自由詩2*07-7-28
白い服の少女- なかがわ ...自由詩2*07-7-23
腹に棲む、世界の果て- なかがわ ...自由詩3*07-7-17
電車- なかがわ ...自由詩3*07-6-27
大事なもの- なかがわ ...自由詩7*07-6-23
少女の死刑- なかがわ ...自由詩5*07-5-31
座敷童子- なかがわ ...自由詩6*07-5-19
白い影の住人- なかがわ ...自由詩14*07-5-19
夜の散歩道- なかがわ ...自由詩3*07-5-12
蛇の腹- なかがわ ...自由詩5*07-5-12
正しい路- なかがわ ...自由詩1*07-5-12
死神おじさんの紙芝居- なかがわ ...自由詩3*07-5-9
旅人の死体- なかがわ ...自由詩3*07-5-8
目玉磨き- なかがわ ...自由詩2*07-5-4
駐車場猿、その後- なかがわ ...自由詩5*07-5-3
明日の海- なかがわ ...自由詩4*07-5-1
大人- なかがわ ...自由詩3*07-4-29
魚の目- なかがわ ...自由詩4*07-4-28
蛸男- なかがわ ...自由詩3*07-4-21
逃避行ロケット- なかがわ ...自由詩1*07-4-21
天使の裏切り- なかがわ ...自由詩3*07-4-19
【短:小説】304丁目の黒川博士- なかがわ ...散文(批評 ...1*07-4-17
ゆきふらし- なかがわ ...自由詩2*07-4-15
世界球- なかがわ ...自由詩8*07-4-14
誕生日- なかがわ ...自由詩5*07-4-14
赤い糸の先- なかがわ ...自由詩4*07-4-13

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