先生は
花瓶に一輪の花を持ってきて
作文を書けと言う
こんなやつでも先生になれるのか
僕が代わって授業をしてやろうかと思った
考えても考えても
頭の中の言葉たちが整列してくれない
....
ふと目が覚めると
深い森の中
木の葉のざわめきが
悪魔の声に聞こえ
薄く雲のかかった月が
湿った地面に影を落とす
叫び声を上げようとしても声が出ない
微かな声で名前を呼ぶけれど
....
東の空が明けるころ
あなたはまだ
真綿の中で眠っている
朝の日のひとすじが
あなたの頬を
さくら色に染めて
はやく春がみたい
と言ったあなたよりも先に
春をみた
カミソリみたいな風が
叩きつけるみたいに吹いてて
シアン100%のウルトラブルーの空には
殴り書きみたいな雲が
でたらめな速さですっ飛んでいく
そんなわけで
寒くてどうしようもないので
....
猫になりたい
と思った
近所の公園に行った
が、逃げられた
ので不採用
魚になりたい
と思った
海に潜った
が、溺れた
ので不採用
学歴はあった
求人雑誌ひろげれば
....
包み紙を、外す
独特の
ぱりぱりって音
もう
聞き飽きてる
口直しにカルキ水
まだ、甘ったるい
口内がだるい
包み紙を、捨てる
隣で
....
一
日々を連写して
間違い探しをする
遠浅の青に
いつもの魚が溺れている
鱗がまた一枚なくなったこと
それを除けば
昨日と今日の境界線はゆるい
魚は、な ....
バラバラになっていく
そんなことぐらい無能な僕でも
わかりきったことだった
僕が閉じたはずのマブタの裏には
僕だけの星空が広がっている
1リットルの涙が必要いじ ....
音を立ててブナの木は水を吸い上げる。
地下の滝は光を求めて上昇する。
森は暗く木々はみどり。
凡庸な言葉が指をすりぬける。
緻密な理論はブナの木に関わりがない。
ブナはただ立っ ....
真っ暗な 寒さの
果てに
今 そっと 雫が
流れる
まるで 今日の
自分の 心の汗が
ほとばしる 感情を
裏切るように
禊のように やがて
大粒となり
傘も コートも
....
危険です
右斜め前方から中学生らしき人たちが三人接近中です
ポストの中に珍しい爆弾が仕掛けられているので危険です
でもそれは本当はポストではなく冷蔵庫なので危険です
危険です 危険です
両開 ....
寂しさを積み上げた山は
秋の匂いがした
木の実を拾い動物達と話す
寂しさを暖かさが溶かしていく
山がすっかり溶けると
みんな消えていた
残ったのは
痛いくらいにしんと ....
おんなのこは
とてもいじわるなので
けたけたとわらいます
たたみのうえ
すっぱだかで
けたけたとわらいます
でんきにぶつかるむしが
そんなにおもしろいのときくと
わたしはじ ....
たましい…だなんて
古臭いことばを
ミルクパン
で。どろどろに溶かしたら
ハートの型に流し込む
いつから
だった
かな
球体関節人形の
股間から
生まれてきた。わたし
だ ....
ブルーローズの花びらが
足元にひとひら飛んで来る
私の前には
鴇色の世界が広がる
ブルーローズの花びらが
ベランダの向こうの子どもの所へ
ふくらんだシャボン玉を
どこまでも追いかける ....
睫毛が目に入る 痛い
睫毛乱毛 つまりは 逆さ睫毛
どうせ私ゃ思っ苦しい一重さ
なんだろうね、マジでさぁ
目を守るタメの睫毛じゃねえのかよ
睫毛にさえ攻撃されるなんてね
ああ、涙出てきた
....
もう一緒にグラウンドを駆け回ることができない友達について、S君は作文を書いた。その作文を読みながら泣いた。その声を聞きながら、僕も泣いた。
とてもかなわない し、かける言葉もない。
春は ....
いちばん古い棟へとつづく渡り廊下は
いつもひっそりとしている
ことに雨の日には
この渡り廊下だけが離れて
雨降る宙の中に 浮かんでいるような気になる
《ここで語り合ったこと
《ここ ....
階段の踊り場のあたりで
父が釣りをしていた
家の中とはいえ
釣りをする父の姿が
再び見られるとは思ってなかったので
嬉しかった
子供のころ一度行ったきりだった
工場地帯の隅っこに広がる
....
吸い込んだ煙に
肺を犯され
君の存在の
重さや
大きさ
そんなものを
痛感していた
ただ
どこか頭は冷静で
指先の震えだけが
止まらなかった ....
昨日はきみを傷つけたので
布団にしがみついて
うつ伏せたまま
闇のなかに沈み
眠った
夜が明けて
目覚めると
窓枠の外に広がる
朝焼けの空
ふわりと浮かぶ
....
「もこもこと旅に出るんだ!。」
そんな寝言をきみが言うので、
ぼくはすこしだけ、
もこもこになってみる。
もこもこになったぼくは、
きみの夢に潜り込み、
....
街行く人たちの背中に
「半額」シールを貼っても
きっと
ほとんどの人は
誰にも買われやしない
買われるのは
外見が良い人
ばっかなんだろう
クラス全員の腰に
ライダ ....
春はすぐそこまで
来てるはずなのに
冬と談合してるんだな
雪でも降りそうな空だ
ジャスミンティーは
飲み飽きたから
ほうじ茶を飲んでる
眠気ぬぐえなくて困るな
近頃デジャヴはも ....
まっすぐ伸びた茎に
まだ開ききらない
若いガーベラ
その素直に親しみ
その芯を持て余した
ガーベラ
まぶたの間に
顕れた苦しみ
黒目を大写しにする
苦い海水のような涙
喉に ....
会いに行かねばと思う
30年経った父は老けたと思う
母が老けたからきっと父も老けたと思う
会いたいなんて
これっぽっちも思っていないと思っていたと思う
少ない記憶の中の彼は
またがる肩 ....
雲
あんまり空が
低いので
私は泣いて みたのです
いいえ私は泣きません
ひとつも涙は零れません
とけてゆかない成分だから。
ひとり
あなたをきずつけぬよう ....
さようなら
その言葉だけは使いたくなかった
もう二度と会えなくなる気がしたから
赤城颪に背中を押されて
僕らは学び舎からと飛び立つ
ごめんね
泣かないって約束したけど ....
お腹を壊してしまった
深い夜の谷底で
誰もが一人きり
カーテン越しに光を放つ
あれは確か電灯だ
冷気が身を纏っても
焼け付く陽光が注いでも
その場所から逃げられず
私だけではな ....
始まりも終わりも
甘く溶かしてゆく
アルコールランプほどの温度
喜びの果てで悲しみの底で
君はいつまでも恋のまま
歴史は退屈なだけ
予言も信 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634 635 636 637 638 639