ほろ苦い酒を吐き出した翌日
(さあ)
起きたくない朝にはいつもそこに甘い夢がある 。
※著名なお名前を拝借いたしました。本人様には一言お詫び申し上げて ....
育てた罪を持って市場へ行った
飢えていたから金が
欲しかったのだ
金があれば食える
食えば生きていける動物に
僕はなりたいのだ
老練な仲買人は言った
自分で育てた罪なんか
売り ....
HONEONNA (骨女)
わたしの肩甲骨を
あなたの冷たい指先が
抱き寄せると
わたしの胸骨は
哀しく軋んで
あなたの裏切りを覚った
わたしの鎖骨を
あなたの嘘が ....
どうしようもない気持ちだけを抱え
90円を握り締め
僕は今、電話ボックスに
電話をかけた事のある人なんて
僕にはいないけど
今時誰も使わない電話ボックス
重いドアを開け
暑苦しい ....
そこここにある道はすべからく
茨が生えていたのだと知った時
それでもかまわずに歩き続けた
道には色々な茨が敷き詰められ
気が付かずに歩いていたけれど
つまづいて転んだ時に振り返る
....
郊外上空/
図書館からコンビニまで
君の言葉が消費される
ビルの屋上では詩集が燃やされる
もう、僕は、
自分を疑っているんだ。
響きまくる音、音、音、
あらゆる音が郊外上空を支配する ....
私は蝉の声の中で、ひぐらしのものが一番好きである。少し緑がかったボディに透き通るような翅というビジュアルも美しいと思う。夕暮れや明け方にカナカナ……と聴こえてくれば、夏の終わりを含んでいるようでなん ....
今日は町内会の清掃活動日
今日は春のウオーキング大会最終日
近所のかみさんたちが
雑草刈りしている
あいさつはしないほがいいな
気付かれないように行った方がいいな
か ....
靴の裏に宇宙の絵が描いてある
靴を作る男 短いメッセージ
歩いた分だけ 星に近づく その距離は計り知れない 宇宙そのもの
ここエジンバラの森では象が歩く度に草花は押しつぶされて
つぶされた土の中からお化けが顔を出すよ
、困った、 困った 、
揺れる度に匂いは吸いとられてしまう
匂いにつられて小さ ....
青白く痩せた肉体が
強い熱で焼きつけられたような木立の影
生命の湿気を含んだ呼気は
生まれたそばから掻き消えてゆく
君の祈りを
君の祈りを
君の祈り ....
.
熱は下がったのだろうか夜半過ぎ
冷蔵庫から出した牛乳の上に等量のコーヒーをおとす
流しに重ねられたポルツェランはなんども水をかぶったから綺麗にひかっている
蛇口をひねりたいがひねらない
....
東京駅で総武線の快速に乗り換え
新小岩駅に着いた
駅に着いただけでうれしい
実家にはもうすぐ着く
新小岩駅
私の生まれ育った町の最寄り駅
家族で潮干狩りに出かけた時も
友達と東映まん ....
やや乾いた
風がない
夜空のなかで
Schubertの楽譜から
不思議な音が響く
一瞬のあいだに
戦争写真家が撮影した
たった一枚の写真が伝える
真実みたいに
部屋中に澄みわたる
....
正義の上で踊っている我々はどこへゆく
世の中のクレーマーは正義漢だと自分で勘違いしている者が多い。
自分のけちな利益のために暇な時間を使って執拗に抗議しているのが現実的な評価である。し ....
青い空が広がる
絶好のボランティアデイズ
晴れ、ときどき孤独
フェイスブックは
今日もだれかれ楽しそう
私
どうかな
書き込む話題もないし
晴れ、ときどき孤独
ー 行方不明 ....
秋の妖精が街道をつつんでいる
9月の雷が遠くむこうにひかっている
ぬるい風に冷たいもんがまじっている
秋の妖精が街道をつつんでいる
地球はだれのもんでもない
だれとは ....
君の言い訳の言葉に
のりーしろを作った
もっと本音を言っていいんだよ
紅茶を入れるから
夜は始まったばかりだ
‘帰っていけばいいよ’ 風は囁く
蝉の亡骸を無造作に 転がして
叢の端に 吹き寄せた月夜
またひとつ失った 夏の終わりに
冷え始めた孤独は
あたしを そっとしておいてくれない
....
別れが絶対と言ったが 出会いがそれを否定した
出会いが絶対と言ったが 別れがそれを否定した
二人ともそのことは否定せず いつまでも繋がっていた
きりとる
春の桜の紅
夏の氷の青
秋の葉の黄
冬の山の白
きりとる
いつかの誰かが造った
黒い手のひらサイズの箱で
君の笑顔も
きりとる キリトル
きりとった残像
訴える ....
片目を瞑りながら
耳の上にかかった秋色の髪を
後ろに流す細い指
外では小雨が降っている
君の仕草が僕は好きだ
大型の
台風23号は
太っちょのトカゲ
のっそりのっそりと
近づいてくる
それなのに
生まれたばかりの
鉄人28号の子供たち
錆びることがない
超合金の裸ん坊
大雨が降りしきるのに ....
(知人)
友人ではないが、親戚ほど疎遠ではない。
最近は特に犯罪報道でよく見かける
匿名性を条件で被害者との関わりを能弁に語る者
推理小説の真犯人ではない。
現実の世界で ....
盆を過ぎると
道端のあちこちに
蝉の死骸が落ちている
干乾びて塵同然
役目を終えた蝉たちに
弔いはない
墓もない
けれど残していった
ものがある
未来の夏には
また喧しく
....
山形のだだちゃ豆をいただいた
採れたてを宅配便で送ってくれるので
翌日には届くそう
鮮度が落ちないうちに
すぐ茹でて食べてね
お裾分けするなら今日中に
すぐに小分けして
おつきあいの ....
ぼくの産まれた家の梁に掲げられた肖像写真
セピア色の男は祖父だという
のっぺりとした老女は曾祖母だと聞いた
ぼくの子どものときから宙を睨んだ顔
五十年以上も表情を変えることなく
梁に張り付い ....
夏が終わる
なんでこんなことになっちゃったんだろう
夏が終わる
なんでこんなところまで来ちゃったんだろう
『ラスト・デイズ』という映画を
最近観ました
夏が終わる
その前に
もう一度
....
夏の日差しをつめた小さなガラス瓶
机の上に ぽつり
砂に埋める勇気もなくて
今日は本当についていない
朝から君は口開かずだ
ずっと僕に背中を向けている
「お前さんには顔見したらん」
と言わんばかりに
なにか悪いことしたか
なにも覚えていなくて
す ....
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