桜って詩になりやすいね
きれいだし儚いし日本的だし
でも今はさ無理だよ
もう散ってるとかそういう
問題じゃないって分かるだろう
もう桜でどこまでどれだけ
詩を連ねたか分からない
....
寝過ごす街に喝を入れるのは
ピンヒールの靴音
一年中食べ過ぎたり、飲み過ぎたりする街が
眠り姫の物語する季節は春
ぽっかり微笑む陽射しに
散歩中の乳母車の赤ちゃんも
営業中の働 ....
空の、あまりの青さが
出逢った日と同じ色をしていたから
なんだか違和感を覚えてしまって
それを誤魔化すように
むきになって笑ってみた
ここは夜景もいいけれど
飾り気のない素顔の街が見え ....
卒業したと思った
証書も確かにもらったのだけど
ナイトブルーの雨と
アスファルトが
セックスした後のにおいにつられて
水たまりをはねてみたくなった
石ころ蹴って
空に向かって
....
最果で
今年最後のさくらが咲いている
あの日、工場の辺りにはやっぱり同じような工場がたくさんあってね、その中ひとつの敷地に桜の大木が並んである。
バスも届かないくらい、おおきな桜だ。 ....
2丁目の私
2丁目の私はその時恋をしていた
2丁目の私が恋していた彼は
その時3丁目に住んでいた
比べて3つ秀でていたことがあった
その3つとは
年齢と、お酒の ....
朝から支えを刻々と縮め
影の長さが水際を割る、。南中に際し
まず柔らかな鳩尾を
下にして((私達は))後頭の
窓に
手をついており
嵌め殺しの空も高いと思う、。恐ろしく
液晶 ....
なんも取り柄のないあたしと
ぜんぜん特別のないあんたが出会って
余りある 寂しさと
どこまでも続いていた 手持ち無沙汰に
いつしか
一つ屋根の下 暮らし始めた
特別 で ....
カメさんは実は亀だという
浦島太郎を竜宮城に連れて行き
数百年後に地上へ連れ帰ってきた亀だという
玉手箱を開けてしまい
よぼよぼの爺さんの姿になった太郎に同情して
地上で一緒に暮らし ....
君は
君の家に入らない
雨が降っているというのに
軒下の風を嗅いで前足を舐めている
私の上には屋根があるので
髪に降るよりも
雨は、
硬質な響きで
音の羅列を渉っていく
....
山奥の一軒の家のために
立てられた電柱は
その家に誰も住まなくなってからも
一人で立っていた
電線はつながっていたが
電気が流れることはもう期待できない
電柱は昔を思い出した
まだそ ....
むずかしい顔をしていても
だれかに名前を
許すとき
見えない風に
腕だけ乗せる、ような
わたしはひとつの窓になる
だれかの背中のさびしさに
おもわず声を
かけるとき
....
脱税しました
空は晴れていました
脱税したお金で
スポーツカーを買いました
お金が足りないので
模型のスポーツカーでした
海の近くでした
風に匂いがありました
一輪車が得意でした
上 ....
大粒な雨が ふりしきる朝
ザァザァと〜窓に 地面に
大粒な メロディ〜♪
うっすらと 夕方かと思わせる
ような風景が
オーケストラの演奏を
思いおこす
パパヤの木が 風にゆれ
雨のオーケ ....
真実だけを透き通して
嘘だけを濁らせたい、なんて
下らないと誰かが笑う其れは
普通じゃないと手を上げる此れは
あたしの中の大事な合言葉
誰かにとっての退屈は
あたしにと ....
撫でないで欲しい
その手で撫でられると
心が
毛羽立ってしまうから
今は少し
そっとしておいて
欲しい
声をかけることも
なるべくなら
控えて
下を向いた途端
ぽ ....
わたしのなかのうたが
青い蝶になって
空の彼方へ飛んで行った
鳴り止まないオルゴール
うたのないまま時は過ぎて
今頃おまえは
どこを飛んでいるのだろう
どこでうたを歌っているの
....
こくどうぞいの
みんかの
せまい
げんかんさきに
すいそうが
ほうちされている
あまみずがたまり
みずは
じょうおんのまま
やはり
ほうちされている
かつて
そのなかには
ち ....
私が消えたら
泣いてくれる人がいるから
今日を頑張れる
大切な人が消えたら
泣ける想いがあるから
明日も頑張ろうと
そんな風に思える幸せ
窓際の花瓶に挿した花を想うと
降る雨の着水点はまあるくて
本当にまあるくて
揺れる心も
みずたまりの世界の中だけでも
空から降る生命の一滴
内側からでしょうか
包まれたいと
願う湿 ....
僕は夜遅く ドラマチックレコードを聴く
布団の中に潜りながら涙を流す
あの頃の記憶が蘇ってくる
僕の膨張した心を絞り出して涙が出てくる
雨に沈んだ森
僕は君の作ってくれた様々な布 ....
例えば。
それが三人称で、
神の視点で書かれているとすれば。
神の背格好や学歴、
食べ物の好き嫌いから、
性的嗜好に、
初体験の年齢と相手とその満足度まで。 ....
一枚の花びらが
私の前を通りすぎ
新しい一年が始まった
こんなドラマチックな出来事が
これからたくさん
待っているといいな
ああ
気づいた
見つけてしまった
しあわせ、という奴を
そう、それは
いまここで
モニターを眺めながら
誰かの{ルビ詩=うた}を読むことや
キーボードに指を踊らせること
ふと ....
仕事ばかりしていると
季節を知るどころではない
ネットで世界のすべてを
知ったような顔していても
お得意さんと話して
業界のすべてを
知ったような顔していても
僕はなにひとつ
わか ....
漸く手にした教科書は
弟よりも重たかった
最初の挫折は三歳になる前で
最初の絶望は五歳の頃で
最初の贖罪は十二歳の秋だった
繰り返し踏みつけた水溜まりは
次第に黒くうねる海へと成長していたし
繰 ....
暖かな夕焼けを背負って
私は昨日を歩いている
土手の草陰に置き去りのボールと
空に絡まる電線
川の水は流れているようにも
流れていないようにも見える
背中を温める夕焼けが
実 ....
1
眠れない夜は、
アルコールランプの青白い炎に揺られて、
エリック・サティーのピアノの指に包まれていたい。
卓上時計から零れだす、点線を描く空虚を、
わたしの聴こえる眼差し ....
夜が
更けていくと
ほつほつと
灯る
微熱の痛み
37.2度の
隙間から
零れる昨日
裏返る
あした
だから
つまり
なにもないのさ
首筋に
うっすらと汗
瞼の裏 ....
まとわりついてくる光の粒を
まとわりつくまま歩き出せば
光はしびれをきらしたように
ぽつりぽつりとうたいはじめる
ああもうこんなに沈んでいたのか
足を持ち上げ
足のかたちが ....
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