ホテルのバスタブで
泡の中に沈んでいくシャツやパンツやら
ぐるぐる回して素足で踏みつける
ベッドから彼女が這い出してくる
「プールで潜らない?」
抑揚のないいつもの声
ゴルフで痛めた ....
朝を銀色の風が運ぶ
そっと包まれる静かな時間
繰り返す透明なセンテンス
目に見えないエッセンス
窓越しにすれ違うあの子に
目配せをしながら通り過ぎる
本当は気がついて欲しいんだ
太陽 ....
安らぎを下さいと君が言いました
私はしばらく何と言っていいのか判りませんでした
ただ、黙って君を抱きしめました
もう泣かないで下さいと君が言いました
私は少しも泣いているつもりなどありませ ....
風に流れた手の残像に
小さな思い出が掴まれている
ちぐはぐなパズルを合わせるように
もがくそれを見送る
振り返ることすら出来ない
ここから手を伸ばす事も出来ない
届かない
飛び出した後は ....
もうひとりの
あなたが
もうひとりの
わたしと
会っているとき
あなたは
電話で
会いたいね
という
もうひとりの
あなたが
もうひとりの
わたしと
けんかしてるとき
....
そうして君は、と
切り出した言葉の奥で
俯いたままの昨日は
指をくわえて
泣き崩れていたりする
引き金を引いた僕と
受動態を貫いた君の
どちらが正しいのかさえ
僕には分からなくて ....
おんがくのつもりでなつの夜に
しろい文たちをまきちらしました
そして、という次を言う前に
すっかりひと昔前の鼓動がもどって
なにもしらない少女のようです
わたしはにこにこと
散らし ....
雨が
雨らしく降って
「男」と書けば
身を守れると思ってるらしいが
マニアには
見破られている
わたしは
蒼アザができていたことも知らずに
あの子とSEXできたらいいなって
....
あたしが痛くないのは
モルヒネのおかげです
脳内麻薬が出ているのです
あたしはそれを取り出して
少しなめてみました
とても苦かったです
こんなものが苦痛を
やわらげるなんて ....
そして火は燃えさかり
すべてを焼きつくすだろう
それぞれの
人の生を
それらがあつまったこの
人の世でさえも
焼きつくして
火は遠い天上でわらうだろう
限られた空
その見えない境界で ....
「君は必要です」
上司から言われたその言葉に
自分が認められた気分になり
その後は毎日のように
仕事をこなしている
カップラーメンを食べながら
いくつもの書類に目を通し
会社メールと携帯 ....
心の傷を刻んだ日記を
銀の檻に閉じ込めた
底の見えない泉に沈めて
冷たい鍵を握りつぶした
もう二度と振り返りたくない
この手で穢した自分
別れの言葉も告げずに目を閉じ
背中を向けて歩 ....
ぬばたまの髪をほどいて君の手に瞳あずけてビトウィーン・ザ・シーツ
うつせみの命のかぎりを惜しむべく両の乳房を愛されている
ひさかたの月夜を飽かず眺めてるブランケットにふたり ....
死と眠りが
同じようにみえるときが
ある
ひとめみたとき
だからときどき
はっとして
大切な人にかけよる
あなたたちは
人の気もしらないで
静かな息をしている
あつい
手 ....
吸いかけのタバコを押し当てた
心の奥底に住む陰険な目つきで
こちらを睨み付ける邪心に押し当てた
ジュウっと音が鳴るわけでもなく
肉の焼ける嫌な臭いもない
ただ邪心の高笑い ....
会社の帰り ふと空を見上げたら
小さな星が光っていた
なぜだか、急に涙があふれてきて その涙を誰にも見られたくなくて
自転車を止めてしばらく 顔をあげて 星を眺めていた
小さな ....
きみの心臓をすこしわけて
羽根が生えたんだ
ぼくにもさ
空はあおくて
きみに出会えないカイトが
泳ぐ
捨てるべきものをぼくらは失くしたんだ
血がでたんだ
赤い血がでてい ....
さよならは、さびしいことだ。
だけど、かなしいことじゃない。
お別れは、さびしいことだ。
だけど、かなしいことじゃない。
かなしいことなんかじゃないから、
ぼくは上を向いて、空を見るので ....
終わりそうにもない言葉達は、あなたの優しさだと分かっているの。
けれど私は、あなたの言葉達が途切れてしまうその瞬間を考えると、怖くて堪らないの。
的外れでもいいから終わらせないでいて。
あな ....
いつつゆびさきがきみをみる
やわらかい皮膜の中は
どうしたってみずだから
つたってしまって
一本の
跳ねた
よわい針の先までが
とおくゆびさきの
たてるかぜにも
ふる ....
家族で豪華な料理を
食べに行った
お父さんとお母さんは
とても満足そうだったけど
ぼくは
おしゃべりしながら
家族みんなで分担して作った
カレーライスの方が
美味しいと思った
家 ....
バスに乗る
名前だけが剥がれていく
何かの間違い、というより
むしろ略式でも正しいことであるかのように
良かった、わたしたちは
バスに乗られることがなくて
席に座り
バスの一番 ....
こんな世界に眠れる夜なんかあらへん
目ぇ覚めんのか、覚めてへんのか、それとも冷めたんか
そんなこともわからへん
お前がおらんとあかんのや
山しかないようなとこやった
山の向こうに何あ ....
黒い布で顔を覆い隠した女が
まるみをおびた重いはらをかばいながら
前から、後ろから早足で通り過ぎる人々に
おびえるような足取りで市場を歩いている
ときおり女の腰のあたりにぶつかっては
”ベバ ....
帰る 帰るよ
と言って
やっとで戻ってきたのは
二羽のアゲハチョウ
母は泣き続けて
二日後に命が崩れた
幾百のコバエが家屋から飛び去り
雨戸は裂傷し
静脈血を纏った鳩が2羽
黒ず ....
太陽が安らげる場所を
雲がそっと作り上げ
それに気付いた夜空が
そっと目隠しをする。
長期出張を終えた気分晴れやかな私の前に
あんな残忍な光景が待ち受けているとも知らず
私はエレベーターの前で玄関扉の鍵を指に絡ませ
クルクルと回しながら扉のほうへと足を進めた
はじめに玄関扉 ....
夕暮れの示す赤、に
静かな夜が
そうっと足を
降ろす
生まれたばかりの
一筋の淡い青は
瞬間的に広がってゆき
世界を、ふわり
包んでしまう
ビルの窓に反射する
車 ....
荒野だと思えば
ここはそんなところだ
悲しみは哀しみに
それが営みというものだ
ひとりではないのに
ひとりに酔いしれ
それが生身であるということだ
七月の ....
空 海 山 風 水 土
どんなに沢山の言葉をならべてみたって
一文字に思い浮かべるイメージに勝てやしない
解ってるけど
決して止められない
伝えたいのは景色じゃなく感動
....
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