教科書にその公式が載ったとき
その公式は
知恵から知識へと
生活から遠のいてゆく
一時間でどのくらい進むのかが
わからなくても
あと一時間で到着することを
いつも教えてくれるからだ
....
ジャックは豆の木に登らない
代わりに木の台に座る
そうすると
(地面にいる虫たちに邪魔されない)
らしい
犬らしくないジャックは
だけど、海賊でもない
ただのジャックだった
犬 ....
若草色のかざぐるまに
しがみついていた、あの人が
夕風にさらわれて
私の中を流れてゆきます
水たまりの映す青さの
ほんとうを
確かめるまえに
軽々と飛び越えて
もう
行ってしまっ ....
空で繋がってるなんて
この空の色を君は知らないのに
この雲の作る影を君は知らないのに
先生僕の足が遅いのは
決して母親のせいじゃありません
先生僕の為に学級会をひらいても
僕はうれしくありません
先生僕の机にこっそりと
三角定規はいりません
先生僕は決して
悲 ....
すきなひとがいる
わたしを、すきでいてくれる
{引用=
恋愛は共同責任よ
うまくいくのも失敗するのも 二人の責任だわ
}
そのとおりだ
自分ひとりだけが、恋焦 ....
髪を短く妻は刈った前とちがってちょっと残念だった
妻が勤めに見送ったさびしい体操をして元気をつける
また妻と二人西武百貨店に行って喫茶で話しをしよう
窓の外は
すいこまれそうな
青空
雲が 羽に変わり
私を 呼び寄せる
空から見上げる景色は
街では
車や 電車 人々が
テープの早送りのように
忙しそう
穏やかな ....
説明不足のままで
鳴らしていた警報は
今はもう、空気に溶けて
宇宙へと
気化している
いるから、
正論をぶつけたと思っている
君の思考から
ネジをほどよく外して
考えることを
....
?.
眠っているとき
おまえは
ほんとうだから
なあ
なんで
眠っているときだけ
おまえは
本当なのかな
?.
....
どこまでも澄んだ音色で
鳴る笛に
すすきの野を一陣なでてゆく風
音色に誘われて4匹の猫が
野のくらがりから
躍り出てきて
おおきなウッドベースの上に飛び乗る
4本の弦の上でのんびりと ....
あなたのもと
斥候に出す毛むくじゃら
抱きしめるのは
持ち帰らせたぬくもりを
少しでも感じてみたくて
それだけじゃ飽き足りず
薄暗い路地
後頭部に湿布をはりはり
不機嫌顔のペンギン ....
誰が決めるのか
人生には勝ち組と負け組と
そんなのがあるらしい
私は何組でもいいけど
可愛いおばあちゃんになれたら
それがなによりだなぁって
そう思う今日この頃 ....
少年になれない大人の男が、
少年の青さを嘲笑う、
本当は俺も少年になりたいなと、
家から職場までの歩数はいつも同じで、
今日も新聞を読んだだけだ、
果たして私 ....
遠い山の向こうへと繋がる
七色の虹を
その人は背負っていた
重くないですか
と尋ねると
その人はすこし微笑んでから
紺色を私に手渡し
故郷の虹は六色でした
と寂しそうに呟いた
空 ....
君はひとりじゃないよ そう言ったあなたは 笑顔でわたしをひとりにしてしまうんだよ
ありがとう 無理やり喉元から 無機質な記号を吐き出した
それじゃあまたね 大きく手を振られ 小さく頷いた
....
今日 気持ちに
濁点がつきました
かぞくも
こいびとも
ともだちも
じぶんも
爆発しそうなかんじょうが
生々しい濁点の上の
現実的な関係です
....
さかさまな夕日のあと
街は裏切るように
鏡の星を浮かべている
環境破壊のキーワードは
未来
それをみんなのまえで
話せる時代だから
悲しみは暇つぶし
焼 ....
庭に張り出した大きな出窓のある亡父の書斎にて
毬栗頭の英次は家政婦の運んだカルピスを飲み、
しかし人類の英知はやがて信仰との境をなくすという
それじゃあ、近代主義者の信じるまっとうな学問はど ....
また会えるからサヨナラと言った
雪の残る街
いつものように見送った僕を
覚えていますか
赤いコートの裾が揺れ
乾いた風に凛と鳴る
あしたもきっと青空だね
ふたり信じていた
....
となりのひとの
新聞
読むでもなく眺めていたら
恋のひやりはっと
って記事が
目に飛び込んできた
おとこのひとに見つめられ
ひやっとして
揺れるわたしに
はっとするってことかな
....
夏が揺れている
真っ暗な部屋の中で
一本のロウソクの火だけが
ゆらゆらと静かに
揺れている
ゆらゆら ゆらゆら
揺れている
なぜかこの小さな光は
夏を表している
夏に咲いた人の魂 ....
チューシャは少女のようにはしゃいでいた。午後の陽射しが強いスジャータ村の大きな木の陰で、普段はサドゥなんかがルンギーとして愛用するオレンヂの布を大地に広 ....
「貴女はご自分に酔っていらっしゃるのです」
思いがけない言葉に顔を上げた
彼は静かに私を見つめて煙草に火をつけた
(どういうこと?)
いぶかしげな眼差しの私に彼はこ ....
夢のつづきは いつも
さむいものを 育てていた
ぼくらが たがいの
希望に なるのだと
むつびあった あの場所から
青
が、みつからなくて
空
は、真っ白で
花
は、青いのないし
どうしようもなくて
がむしゃらに
シャッターをおした。
『…あ』
あった。
青のタオル
青のハンガー
青の ....
六月の香りの入った
お手紙
あなたから
お久しぶりです
から
始まって
麦わら帽子をかぶった
七月の夜に
なぜか さみしかった
その日の
星がひとつだけの夜に
かわい ....
小さなバス停を飼った
小さい割にはよく食べた
それでも店員の言ったとおり
あまり大きくはならなかった
一日に数本小さなバスが停まった
行先はどこでもよかった
夜、明かりを消して床に着 ....
【盲目】
何も見えない
だから
赤や青が
どんな色かわからない
モナ=リザの微笑みも
ムンクの叫びも
どんな絵かわからない
母の顔も
父の顔も
わからない
....
遠くで
律儀な救急車がうなっている
吸血に余念のない 藪蚊のように
近くで
躾のない飼い犬が吠えている
違反者を追う パトカーのように
傍らで
しかめっ面が息をこらしている
縄 ....
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