空になった米びつを
流し台下の収納から取り出すと 初夏
扉裏から日陰がやって来て
「今日は暑いですね」と作業を急かされる
10キロ袋の角を少し切り
よいこら 持ち上げてから
う ....
からっ と あけた空 をみあげて
せんたくきから取り出した バスタオル をひろげると
ふわっ と 水 のかおりが 舞う
少し広いベランダは ひとり では もてあましてしまう
ので せんたく ....
銀河鉄道に
此処はきっと
銀河鉄道に
呑み込まれてしまったのよ
銀河鉄道に
「此処に夏が訪れる事はありません」
僕が此処に引っ越してきたのは、この一言に惹かれたから ....
080721
空気がくれた
赤ん坊
(優しい目をして
(見つめるから
(つい油断する
(本当のことは
(誰にも言ってはなりません
空気が
足らないから
....
カーテンの隙間がなんだかまぶしくて、ああ、きっと日曜日だからだ
何をするわけでもなくて何がしたいわけでもないから自転車に乗る
交差点ラジオ体操始まった最近子どもが減っていますね ....
走り去る緑
水田は
鮮やかにきらめいて
遠く木々が
燃え立つ
なんて
真っ青な
そら
これが
最後のドライブなら
そう言ってくれれば
よかったのに
すこしだけ怖いことを考えたくて
夢の中で君を消した
白い朝がやってきた
さよならが乾きたてのころ
・
・
・
机の上に散乱する単語帳
角が折れてめくれてゆく
覚えることと忘れないこ ....
いっそのこと
壊れてやろうかと思ったのです
午前8時20分 正確には午前8時19分49秒
あなたは怖いものでも見るような目つきで
私を見ると言葉でない何かを叫びました
それから物凄い ....
「リトマス紙がなにでどうなるか」のように忘れてしまいたい夏がある
まだ明日を信じていたからサヨナラを 告げた渚にゆらぐ太陽
ケンケンで駆けた砂浜しゃらと鳴る 乾いた粒子、ただ熱 ....
心のダムに
言葉の雫がたまったら
きっと流れるうたの川
溢れ出してしまいそうになりながら
きらきらした雫だけ抜き取って
私しかつくれないうたの川
いつかとっておきの
雫でできた川
ここのダムから流 ....
行き先も知らない船から
紙テープを投げて
わたしは今日、生まれよう
別れを告げるために投げるのではなく
離れるために切れるのでもない
風に大きなループを描き
旅立つために
....
境界の打ち水、
風が死んだ下町の昼下がり
狭い裏路地を通りすぎる
黒い日傘を差した女
夜に咲く花が匂う、
鉢植えの月下美人が
錆びた郵便受けの真下に
只ひとつ置かれていた
よう ....
* 1
愛無しには生きられない
わたしは本気でそう思っていた
* 2
あの水着もそうなんだけど
これもなんだよね
目新しさは常に外側からやってくる
そんな時代になった ....
{画像=080717222534.jpg}
心
静か
に、耳を
傾けよう。遠
くに聞こえて来る
....
早く脱出しなければ。
非行少女の、夏が来る。
厳粛のメモ用紙、多彩なパノラマ。
薄羽蜉蝣の大群。
ストリ ....
明日で一学期が終わるので
仕事用のパソコンを持って帰る
念のため個人データはすべてロック
ああ、重い重い…肩が外れそうだ
エスカレータ登ったら
電車 行っちゃったよ く、くやしい
肩が痛い ....
女の人がつけている赤いレーシーな下着が、
愛だと俺は思うんやけど。結局はそういうもんなんやろ。
黒のハイソックス、黒の学校指定プリーツスカート夏仕様。
白 ....
喉の奥に良からぬ話題が引っ掛かっている
だから、一昨日くらいから喉が痛い
唾を飲み込もうとしてもうまくいかない
段々と不満が頭の中で熱を持ち始めている
もうすぐ風邪でもひくのだろうか
今、と ....
{引用=ばたん――
ドアがしまるような
収穫の音がして、巻きあがる
走り去ったランナーの
一陣の風
よみがえる
まなざしの白さ、
青い息
ゆらぐ光彩に
ぼっ
と一点とどまる
....
――すべて、断片。断片・・・・
・・・深海へ。本当は降りてないし今までもなかった気がする
いまは、ふわっと浮いてる感じ
かるくなったりおもくなったりそのくりかえし
....
遠くそびえ立つビル群
人間が高さを競うように
草木は深さを競い合い
私の横たわるこの下で
取っ組み合いの陣取り合戦を繰り広げている
負けるのも勝つのも好きではないと
酒のない酔いに飲ま ....
思い込みから想像妊娠をした女の 子どもは
一体 どんな顔をしているのだろうか
上目遣いの鋭い瞳をしているだろうか
それとも
夢見がちな丸い瞳をしているだろうか
いいや
きっと
焦点の ....
タンゴの旋律に
呼吸を合わせるように
茜色のロウソクの火が
ゆらめいている
凪だった{ルビ水面=みなも}を掻き立て
眠っていた感情に爪を立て
ゆさぶりながら
身体の中を貫 ....
星が降る
星が降る
夜空を彩って
涙の数だけ
祭りはめぐる
草の海の彼方は
満天の星空
今宵は星祭り
一年に一度
願いが叶うという特別な夜
もしも願いが叶うというなら
も ....
*灯台
かすかにまだ
光っている
間違えたままの、
やさしい思い出
わたしの幸福な思い違いを
あなたは
そのままにしてしまったから
....
先生
ボク帰って来ました
この教室に
円周角やら
関係代名詞やら
習った
この教室に
先生
あなた方が座っていた
デスクに
今
ボクが座っています
こんなにも
広かっ ....
海の中の岩は水の中に
住んでいると思っていた
魚が時々 遊ぶ
漂着したものが
流れ着いては
またくるりと
一礼して 海原へ
どこにも行った事がない
どこかへ行きたいなあ
ちょ ....
海岸で拾った貝の殻。
繋いだ父の手の温もり。
ぽつぽつ交わした言葉の端々が、
青いボトルに詰められている。
隣の茶色い瓶の中には、
初めて隣になった席。
染めるたび明るくなる髪の毛。
友 ....
みんな大好き!
と叫んだアイドルがいた
その場の誰もが
「みんな」には自分も含まれている
と信じようとして
アイドルの名前を大声で叫んでみたりする
「みんな」
そして「わたしたち ....
雨が笑ったら
それは春の始まり
雨が色付いたら
それは夏の始まり
雨が美味しくなったら
それは秋の始まり
雨が意志を持ち始めたら
それは冬の始まり
....
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