珈琲
たね。

硝枝はけぶる
柔らかな朝

ああ
いい匂いだ

熟睡した樹皮は
哀しみを煎て
苦味すら香ばしい風
そんな
朝もやの窓を包み
夜明けの香りを注ぐ
大気のフラスコ

朝焼けは沁みて
高揚のカフェイン
めざめの木琴は高鳴り
秒針は溶けだす
ミルクの木

かすむ街並みに
角砂糖ひとつ
硬化したパンが
浮世に詰まるのなら

飛び立てよ
ブルーマウンテン
その甘美を砕き飲め

まろやかに
湿度を煎て木陰
きみがこぼした
季節を舐めて




自由詩 珈琲 Copyright たね。 2007-03-14 09:02:15
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