鍋の中でパスタがふやけるのを眺め
ご飯が食べたくなって炊飯器をいじる
惣菜を見に行くとパンが焼きたてで
一斤買う
テーブルの上では
マグカップとポタージュの粉が
昨日からずっと待っていて
....
ある日のことです。
泣き虫王国と、
淋しがり王国が、
喧嘩になりました。
それは大きな大きな喧嘩で。
まるで戦争のようでした。
泣き虫王国の人々は、
お守りを手に、
嗚咽を ....
「もーいーかい。」
「まーだだよ。」
そんな声が響いた気がして。
僕の足は止まって。
少し、探してみた。
{引用=
水面の瞳の
オクターブが
月面の波に
揺れる頃
}
「携帯電話は
もう、鳴らないよ。」
君の唇が
そう告げたのを、見た。
朝に鈍く輝いている
鏡の ....
あなたに
抱かれて
うれしかった
淋しかったから
いつも
あなたのそばに
いたかった
あなたの
身体に
触れたのは
はじめてだった
はじめてのキス
そして
あたた ....
いるはずのない
あなたの姿が
そっと
目を閉じていると
現れる
遠い昔
私が
初めて
愛した人
今は
思い出にしかない
あなた
どこにいるのか
なにしているのか
わ ....
朝陽の光を
浴びるみたいに
あなたの笑顔を
浴びていたいよ
さあ、
行こうよ。
先は長くても
靴ひもは
ほどけやすくても
あのひととなら
どこまでも
歩いていけるよ。
あそこで
庭木の手入れをしているのが父です
もう随分彼は
そこから動かないので
毎日
朝夕の水遣りをするのが
私の日課です
週に一度
伸びすぎた腕や増えすぎた首の ....
一.
青を
反故にした
空
よりも
事情がある
真昼につき、
雨はふらない
二.
鋏の持ち手が緑だったことから
分け合いたくない
ままの
手 ....
朝の陽を受けて
ピンク色に染まる
建物たち
朝陽のあたらないところは
暗くても
わたしも
あのひとの光を受けて
輝く
こころの隙間は
暗くても
寒風に手指をかばう
待つとも待たないともいえぬ朝まだき
冷え切った空気が
空高くから透明に降りて
ちいさな公園の
遊具に残る最後のぬくもりを絶やす
ほぅ、と湿った息を吐く
....
静寂のなか
小雨に
濡れそぼった落葉は
ますます
赤く燃え
赤く赤く
いずれは色が変わるとしても
この瞬間は
深紅に染まる
泣けばそれだけ
こころの色も変わる
....
卵だって
割ってみなきゃ
生卵か茹で卵かなんて
わかんないんだから
あなたの気持ちだって
割ってくれなきゃ
わかんないよ
明日のための『今』を食べる
『今』を吸収した体は少し古くなり始める
古くなる体を抱えて、明日の続きに怯えたり、期待する
明日の続きは死へと確実に繋がっている
一つの歯車が錆始める
きゅるきゅ ....
雨上がり
芳しい森の中
あの
曲がり角の向こう
何が待ってる?
何が待っていてもいい
こころに
想いだけ抱いて
森の中
深呼吸して
ふたたび歩きだす
わたしはトイレ
オフィスのトイレ
和式トイレ
となりは洋式トイレ
女子トイレ
みんなのひみつ
しっているのよ
みんながだれにも見せたことのないものや
見せたくないものを
いつも見 ....
海がそっとまぶたをとじる
青い響きの中
かもめは
追撃機のようにまっすぐ堕ちた
手のひらにすくう砂
ランプの芯のようにあたたかい
ぼくは見上げ
あたたかいのは君の手だと知る
浮 ....
いつか、
『闇』を壊すんだ
その先にある空を
見るために
雨音は雨音でしかなく
子守歌なんかじゃない
けれど
脆弱な僕らのこころは
雨風にさえ
敏感に反応して
風の音が
キミの泣き声に聞こえる
キミはそばにいるのに
風が強いね、
と呟いて
外にでる ....
ねこがいなくなった
遊びに行ってると思っていたのに
帰ってこなくなった
家族はみんな心配した
一週間経っても帰ってこなくて
保健所にも連絡した
交番にも連絡した
近所の人にも話した
....
沖の赤いブイのところまでが
遊泳可能区域です
深い深い黝い海中のグロテスクな生物も
死が自ら設えた玉座も未だ見たことがありません
本の中、他人の話でしか知らないの
今日もまた白砂の遠浅の ....
龍の影を追う
内奥の土地で
龍の姿が見え隠れする
胸中の宮で
意味深に
瞳 輝かし
深く 遠く
私を導くがごとき仕草
妖艶の煌き
白龍の娘よ
下弦の弱い ....
落ち葉たちが
永遠の別れを
告げあっている
でも
いつか
土に還って
また
会えるね
プラタナスの高い梢の先で
まるい種子が揺れている
風の匂いが蒼くあるのは冬しるし
澄み渡る空気に月は銀色に光る
耳をすませば
眠る者たちの息づかいまでもが
聞こえてきそうな静寂
まだ ....
今年もまた
やってきたんだ、
クリスマス
何をお願い
しようかなぁ??
そうだなあ
君にいてほしい
去年と同じ
何もいらないよ
隣に君が
いてくれたなら
彼女と僕が
....
ねこって可愛い
飼いねこは飼いねこらしく
ノラねこはノラねこらしい顔しているよ
やっぱし育ちなのかな
ひとに媚びるのうまい飼いねこがいて
いじらしいほどノラなねこがいる
そんなねこって
....
たまご
雨の日に
雲の、目をみはる
ながれの速さに
あかされる
ミルクの皮膜を
くすりゆびに
掛けて
あたたかいのは
どうして
どのように
熱せられた ....
くじらはどこかと
島が問う
空をよこぎる鳥の背中も
きっとだれかは
島と呼ぶから
雨は
もうじき
降るだろう
あまつぶは
ふね
乗るも乗らぬも
う ....
ありがとうを言い忘れて
今日もぼんやり青空を見る
さようならが言えなくて
今日もぼんやり夜空を見る
君に伝えたい
コト
いっぱいあるんだ
明日の朝
誰もいない原っぱで
手 ....
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