ごすいって
ひすいに似たような
石
たおやかに
睡り続ける
午後
もくもくと
宝石になる練習をしよう
纏足の爪先から
あたたかな成分が溶け出していく
あらがえない{ルビ麻薬=レ ....
発表会 毎日が発表会
ステップの音は前と頂に向けられる
スピーカーの性能に頼らず
メガホンにスワロフスキーのデコ
発表会 今日もギリギリ合格
目的を梅見月に乗せる 桜も便 ....
小さな水たまり
暗い冬空を映して
薄氷が張っている
メリ…メリ…メリ…
靴底で踏みつける
ヒビが広がる鈍い音
囚われた心と身体
メリ…メリ…メリ…
....
自分や自分の愛する人が
明日隕石に当たって命を落とすとは
恐らく誰も思わないだろう
だから
いつも通り私達は
目の前の人にお休みを言って
今日という日を
当たり前のように見送る
あ ....
1月の曇天は、この田舎町に
たくさんの雪うさぎを放ちます。
最近は、昔ほどは多くはないけど
それでも今年も雪うさぎが放たれました。
雪うさぎたちは、放たれた ....
佇んでいるだけで受け取って欲しい
阿吽と 目と目をぼかして
オブラートを貫いて直立に佇む 鑑を増やし
優しさにふやかし 手のひらも筋の通る表側もバイリンガルに
動かない手を振る
佇 ....
ブランコを欲しがったのは私
それを父にせがんだかどうかはおぼえていない
どうだ こんな大きなブランコ
どこにも見たことないだろう
校庭にあるブランコよりも
はるかに高い木の柱と
長 ....
ぽっこりと
大きな顔のお月さま
長い夜が始まった
今夜は月とお話しましょう
暗い夜が明けるまで
七十億の人類と地球に取って
お月さまはたったひとつだけ
その灯りで世界中の町を照らして ....
ついこの間まで
アンチエイジングな歩き方というのを
こころがけていた
高い化粧品も買えないし
せめて遠めに若々しく見えればもうけと
良い姿勢には自信があるし
さっさっと足早に
目 ....
朝がやってくる
風がやってくる
音がやってくる
虫がやってくる
雨もふりかかれば
猫もやってくる
人がやってくる
外へ広く放たれた
寛容な空間だった
祖母が景気よくぞうき ....
夜ごと女は白面を貼りつけ
コラーゲン、ヒアルロン酸、レチノール誘導体
スクワラン、高麗人参エキス、丁子エキス
零芝エキス、甘草エキス、陳皮エキス
当帰エキス、真珠エキス
面皮が乾くと浸透の幻 ....
固く結んだ歴史の果て
柔らかな風を含んで君は花開く
大輪ではないが機知にとんだ
しっかりした花だ
空からやって来る言葉を迎えるために
僕らは産褥をしつらえねばならない
....
さみしいと
雪になる
凍えて咲く花になる
産まれて
すぐに旅立った
あの子の魂なのでしょう
てのひらで包めば
睦みあって水になる
笑って
消えてゆきました
首が回らないのに
辛気臭いが被さったら
最悪
食えないカビの温床
なんとか上げ上げで脱出したら
足を引っ張る奴の
便利屋にはならないよ
いますけど。
陽があたれば途絶える命
....
塩を振られたなめくじは
縮みあがった僕なのです
縮みあがった僕だけど
今は一児の父なのです
一児の父であるならば
縮みあがった、この体
自分らしくのそぉりと
濡 ....
ある朝 目覚めたら 部屋には 誰も居ない
机の上の 置手紙 さよならと お袋の文字
何が何だか 分からないまま 俺は 親戚中たらい回し
親父と お袋 愛し合って 一緒になったと
死んじまっ ....
光が次の
季節を連れてくる
風はそれを
押し戻そうとする
雨が次の
季節を置いていく
人はそれを
なかなか見つけ出せない
ひと雨ごとに
行きつ戻りつしながら
季節は摺り足で ....
たまになら食べてもいいかも。と、軽い気持ちで言ったが最後、有名なわけでもアンニュイ雰囲気なわけでもないファミレスで、大して好きでもないナポリタンの大盛りをつつく羽目になってしまうように。詩作 ....
腰のつけ根あたり
すこしくぼんだところへ
くちづけが残ってしまって
あなたのことばかり考えている
雨だれが石を穿つように
すこしずつ気持はこぼれて
いつかこの星を壊すだろう
おおらかでよく笑い
どこを見ているのかわからない優しい女性のように
いつもどこかで遠くからでもわかるように
こちらかあちらを向いてじっと佇んでいます
知らない街を心細く歩いていても
いつ ....
その夜半、電話が鳴った
冴え冴えとした月光の前庭を
一本の意図が貫いた時
女は不快な胃もたれの中で横たわり
じっと目を開けたまま
太陽の午後と雑踏の音楽を想っていた
女は喪服にアイロン ....
画家はさかさまの
恋人たちを描いた
恋人たちは
地に足が着いていないから
ということで…
となりに黒ヤギがいた
絵をさかさまにした
地に ....
不思議だ!
なぜか洗濯物をベランダで干していると
詩作のアイデアが浮かぶ
わたしの詩の神様は
物干し竿にぶら下がっているのだろうか?
わたしの長所は頭の悪いところだ
そのお ....
雪になれないミストの塊が降りてくる 桜の薄紅を水に溶き
私は筆の先端に任せ 続けている
墨のグラデーションを感覚に委ねる
発信源は心か魂か腹の底か 雪になりたっかたミストに尋ねる
陽だ ....
それはふるふると
震えて 膨らむ水滴のように
壊れやすく
ちりちりと 止むことのない
焼けつくような痛みでもあり
胸を締め付ける
救いようのない憧れだったもの
未熟だった孤独 ....
130218
呼ぼう希望を
頭が痛くなる前に呼び寄せて
グルグルと手に手を取って踊るんだ
ほうじ茶のように気の抜けた飲み物を摂りながら
広辞苑を ....
なぐさめが
嘘だと知っていた
けれど
この世の中に
ほんとのことなど
在るのだろうか
わたしの躰に産みつけられ
冬を越した
薄黄色い{ルビ卵=カプセル}が
もうすぐ
孵化を始め ....
そのジャケットにはかもめが飛んでいた
水晶の静寂が永遠の砂から響いて
僕の胸ポケットの中には人生の請求書しかなかったのだけれど
静謐がほしかったそれ以上に孤独が
体のすべて ....
おみくじの凶とか
占いのワーストとか
軽んじる君は
向かい風など
もろともせず
両足で立ち
見定めた方向に
確実に
向かっていく
君の強さは
有りたいと願った
希望 ....
降り続く雪に 何かあったのか
急に停電になる
夜の十時を回り 真っ暗
のはずだったが ほのかに明るい
雪明かりが 窓の外から輝いている
どこにもやりどころのない雪が
家の回りに山の ....
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