そのときが来たら
必ずいってしまう
わかっているのに
訪れるのは唐突で
待って、と言って
新芽をのばすのに
青く繁るようにと
その場をゆずられ
未熟な葉桜は枝を
ざわざわとゆらす
....
何も
何も ない
ただ 広がる
空を 見上げる
都会の喧騒を
歌 と いう名の
他人 の 世界で 打ち消しながら
貴方の いない
この 世界 に
僕は また ひとり
....
いまから。
戦争するから、
戦闘するよと言われたので、
ぼくは真っ先に、
一番高いところにいる。
ヤツを殺した。
勝った。
勝ったので、
ぼくは成り上が ....
熱がある
からだのふちを{ルビ象=かたど}るように
白く明滅する波
その中に
おぼれている
ひかる 虫
いくつもの
目を瞑れば
しんしんとうなされて
寝汗
小さく ....
今歩いているこの路地が
たとえば海沿いにしかれたひそかな町の
その奥に抱かれた狭い路地だったとして
世界一小さいという砂粒が
つもって出来た町だったとして
もうあと何件かの民家を越え ....
そうね例えば、
あたしがブリトニーなら、
あたしのもったいぶった言い方も、
あなた、
関心持ってくれるのかしら。
あたしがどうしてこうなったのか、
あなたも ....
また買ってしまった…
飲みたくもない抹茶みるく
あなたがおいしいって言ったから
もう忘れたはずなのに
私は抹茶のほうが好きなのに
あなたが私にみるくを入れたから
もう抹茶には戻 ....
春障子わたしをごっそり抜け落ちて
俺はあいつが嫌いだ
はらはら散る桜と同じくらい嫌いだ
もっとも俺は
ぼとんとみっともなく落ちる椿も嫌いだが
だって考えてくれ
生首に潔いもクソもあるか
ぼとんと落ちようが未練たらしく落ちよ ....
止まり続けるから動けない
ここで空を見上げるのは
何の意味もないというのに
歩くことは不幸になる
幸せとの遭遇率は半分
構造上そうなっている
歩かなければ楽なのに
意味のない ....
片目ばかりが傾く夕べに
しあわせの少ない膝を抱き
花はつぼみのうたをうたう
午後にひたいをしたたるものは
すべて血のように感じられる
その熱さゆえ その太さゆえ
....
昨日と同じ言葉でわたしはおはようをいう
昨日と同じ声で
昨日と同じ表情で
昨日と同じ空に
昨日と同じ色合いの雲が浮かぶ
というのは嘘で
昨日と同じものはなにひとつなく
昨日と同じではあり ....
友達になろうと言う前に
もう友達になってる
デートしようと言う前に
もうデートしてる
つきあおうと言う前に
もうつきあってる
セックスしようと言う前に
もうセックスしてる
....
どこまでも続く桜並木の先に在るものを
確かめたくて
あなたと手をつなぎ歩く
親子ほどにも見られそうで
控え目なあなたの腕を
胸元にまで引き寄せ
歳の差なんてね
桜は潔く散るから美 ....
安心していたら
乗り過ごしちゃった
らしい
らしいので
線路を
てくてく歩いて
戻るよ
ほら 思いの路線は
いつだって
一方通行だからさ
....
傘のしたでだけ
降り続ける雨がある
強弱では語り得ない、それ
交差点を渡る黒たちの
はじまりの日は
白だった
或いは
今も
嘘とほんとを
分けたがるけれ ....
傘を刺す
左手にはつめたい砂を詰めた
ビニイルの袋、
死んだ、
しあわせに笑い過ぎて
太陽が
死んだんや
聖歌隊が
空に吸い込まれる
....
素敵なことがあればいいのに
そんな事を嘯いて
僕らは今日も夢をみて
眠っている間に去ってしまうよ
素敵なことがあればいいのに
そんな事だけ考えて
僕らは今日 ....
ひとが
しをかいている
ひとは
しをかくのがすき
かいていると
こころが
きれいになる
きぶん
しをかくひとのことを
しじん
というらしい
ちなみに
しにん
とよぶと
....
まずは、
背中の秋を追いかけて
レダの卵を採取しなくてはなりません。
(ゆめです。きづかれぬようにかくしてしまった、)
それは、此処からずっと北、
一つ長い橋を渡って弓なりに沿っ ....
春が吹いてくる
強い風だ
今は春だぞと
言っているようだ
どこまで吹いてゆくのだろう
林が揺れている
鳥はどこにいるのだろう
蝶はどこにも見当たらない
春の声が大きすぎて
みんな黙り ....
色を失くす
また夜が迫る
傍観者になりきれない
この街さえ
新しくなっていくのに
思い出せなくなる
みずみずしい指先が
どういう風に
この胸にふれたのかを ....
春は優しい風の音色で
ひらひらと踊りながら地に還る
田舎の祖母の他界の知らせに
慌ただしく帰郷の支度をしながら
移り行く季節の名残に
そっと目を閉じる一時
思い出はいつも
....
いってらっしゃい
見送る朝がある
おかえりなさい
迎える夕暮れがある
うそつき
わがまま
くちげんか
だいっきらいって言いながら
いっしょに揺れる影法師
そしてまた朝が来 ....
高層_ 大理石建築の なかで なつかしい
( いまは、どこのひとなのだろう? )
ウオシゲに あった
かれは 色の 白い きれいな 顔を して
シャープな フレーム ....
メンソールが目にしみて
お前はきっと、してやったり顔
少し、じろっと目を向けたら
またそっけなく横を向いている
知らないふりは上手くなったんだな
キャメル、その瘤に
俺の愛情の一欠片 ....
風、
見ることは
触れることは
掴むことは
できない
それでも
髪を揺らす
頬をなでる
服をはためかせる
感じることはできる
幸せ、
見ることは
触れることは
掴むことは
....
あなたは今
風の色が見えますか
春の風の色は
すぐに変わってしまいます
でもいつもどこか光っています
ほら
白い花が光っている
青い空がつやつやしている
また色が変わっています
あな ....
{引用=さらり ふぅ さらり
水の音
ふぅ さらり}
川岸で
あかい手を あらってた
空には月が揺れ
あたしは 朧月夜、を 口ずさむ
川岸で流れた ....
哀しみが霧のように
降りしきる夜
君はただ呆然と
立ち尽くす
僕の目の前で
その瞳を閉じたまま
君は金色の羽根をひろげる
荘厳な儀式のように
僕はひれ伏して
そして君の手に
くちづ ....
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