歌島さん宅の庭先で
タロが吠えます
夕暮れ時
表を飛び交う蝙蝠を一心に見つめ
かれこれ
吠え始めてから十分は経ったでしょうか
たまりかね
お向かいの河上さんが席 ....
雨が降ると誰かが
迎えに来てくれるような
気持ちになります
傘を持っていないふりをして
しばらく軒下に立ってたら
偶然あなたはあらわれました
雨、ありがとう。
あとかたもなく
灰にするということだ
ひとりで
生きていくために
世界に
巣立ちをせよということだ
父を焼く
かたくなに
声を伝えぬおとがいを
持ち上げたなら
かさ ....
-episode?-
失敗ばかりでいつしか後輩にも先を越されて
二十年勤めた会社にも見捨てられた
明日からは一日の食事さえままにならない
ブランコに揺れながら涙を堪えた
未来が見え ....
頭が少々重く
風邪気味であったので
目覚まし時計をかけずに
ゆっくりと眠ることにした
そのままうっかり百年間眠ってしまった
百年後の人類は
ファッションや顔色が少しおかしくなっただ ....
デイケア、僕はひとりぽつん、いつもひとりぽつん。
浮いているのには生まれてしまった時から慣れていたよね。
だけどね、その日は違ったんだよね。
女の娘が話しかけてくれたんだね。
名前はUちゃん。 ....
こうえいの
ぷうるで
しんでいるかのように
ひとが
かんせいをあげている
いきているひとは
ときおりじょうずに
しんだひとの
ものまねをしてみせる
そして
みずのしぶきをみ ....
砂原を歩いていると、人間の手が蠢いていたので、掘り出した
父だった
父はこんなところに埋まっていたのだ
途中から誰かがわかったので、指先でなでるように、焦って掘り出した
息をし ....
恋圧上昇高恋圧つらい恋には涙で憐分調整。
恋肝瓶詰め塩漬け涙で味付けしょっぱい失恋ちょっぴりね。
遠恋恋々年々えーんえーん未練三年練るば ....
夜の、
雨の、
それぞれのゆくえを
ひと色に染めて
あかりは桜色
煙る雨の甘さ、
舞う花びらの温み、
絡めた指が
やさしさを紐解く
夜に、
雨に、
焦がれる桜
時計の針 ....
なをかけ
そらす
わにゆれ
くいる
つつしむ
よるに
こびんの
はおと
すめない
つちに
とべない
かぜに
まつうた
うたう
はなれぬ
はると ....
馬はずっと土の中で
千年以上も埋まっている
生まれた時は丘の上にいたが
数え切れないほどの戦乱と
自然の変化によって
冷たい土の中へと潜っていった
それでも馬は
丘の上から見た日の出を
....
生まれて来た、ことばに感謝。
綺麗に使えなかった、ことばにごめん。
聞こえた、ことばに涙。
汚した、ことばにキスを。
僕は深夜の公衆電話ブースで
キミに聴かせる物語を暗誦している
動物病棟に緊急搬送されたクマリスの
バイタルは比較的安定している
すでに眠りについたキミの枕元には
3年ほど前に発禁 ....
めをひらき
みあげたそらの
青さにふと
あなたにあえないつらさをしる
自動販売機でコーヒーを押すとおしるこが出てきた。
『まいど!』
自動販売機が馴れ馴れしく礼を告げた。
客に対する無礼と商品を取り違えるいい加減さに腹が立ち。
違うぞコノヤロウと自動販売 ....
無人駅に降り立てば
地図の見方にも
ちょっと工夫がいる
缶ビールをぐっと飲む
子供の頃に
抱きしめ方を習ったような
初夏の風にさえ
あいさつを交わしたい
垂直に支えつづける日射 ....
地球という天体を覗いてみれば
数多くの星が輝いている
だけど僕が知っているのは
その中のほんの一握りだけ
輝きながら消えた星
輝けないまま消えた星
すべては同じ場所へ還る ....
満天の星空をつつむ静寂の下
潮騒を聴きながら横たわる身に纏う砂粒
はてしなく投げた仕掛けを海に任せて
ケミカルライトの点る竿先を微かに揺らし、
甘い潮風がコーヒーの苦味を慰める
アタリな ....
1
かみさまから
えいえんのやくをにんめいされたので
しろいあきちにたってみました
ねていたときのことだったので
ほんとうはかみさまじゃなくてわるいもののさしがねかもしれない
みーみー ....
この指先の ちぎりたる
その花びらの 薄匂い
一度にすべて 散らそうか
淡き涙を 惜しもうか
風は遠くに 行くばかり
奪う事さえ よしとせず
君の手は空には届かない
当たり前だけど
けれども最初から
そう思っていたら
君は何もしない人になる
無理だとわかっていても
やってみるのもいいものだよ
ああやっぱりダメだったね
そ ....
ふと
したことについて
ふと
わたしは
道標に
いつまでも
宿題をわすれている
ふと
空が滑り
ふと
雲はいつのまにか
描きかけた
キャンバスの中に
紛れ込んでいる
....
長い耳のようなものに
巻かれている
なでてみると
自分の耳なのだと気づく
近くでは耳が産まれている
いくつかは知っている耳で
いくつかはよくわからなかった
産まれてきた耳は
自ら声を発 ....
骨のような柱が燃えている
燃え尽き くずおれるまで
ただ波のなかに立っている
流れ着くものが燃えている
山の影が土を覆い
波だけが明るく揺れている
昨日の足跡が残ってい ....
ストライプから
学生の香りがする、頃
私は意識を繋ぎ止めることに
必死になっている
目の前の
おもちゃの看板の意味を考えることに
全神経を集中させて
まどろんでいる
落ちては、い ....
新しい世界へと飛び立つ君に送るよ
僕も僕なりに頑張るから
このメッセージを受け止めて欲しいよ
幾つのしがらみがあっても
貴女なら乗り越えれるさ
貴女の力で
....
私は元来
無口な男でありまして
うっかり、思慮深く思われがちですが
それは、本心を秘めている
というより、むしろ
現すタイミングを計れない
どうにも不器用な人間なのです
何か言わ ....
星をひとつもらった
夜空がすこしだけ暗くなって
そのぶん
ぼくの夜が明るくなった
きみに手紙を書く
いくども書き直したので朝になった
星のことは書かない
ぼく ....
あなたにくっついてると
なんだかいつも眠くなるの
あなたの匂いは眠くなる匂い
とっても安心する匂い
私のいちばん好きな匂い
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