静かに落ちる
柔らかな子宮壁に
着床する種のように
或いは
夜という
高濃度の詩を含んだ海へ
魂だけが
えら呼吸を忘れてはいない
無意識という
立方体の
泡を
吐く
水 ....
告別式が終わった後
私は港公園にいた
公園の小山の頂上から見る景色は
重く深い
荼毘に付された
血と肉は
二酸化炭素となって空に溶け
骨は
長い間の雨水で骨壺から溢れ出し
....
北の海
冬のモノトーン
旅に出ます、なんちゃってさ
*平成22年3月 詩集「十二色入り」より
しあわせがサラサラと
指の間から
零れ落ちていく
静寂
音も立てないで
苦しみもしないで
描いた文様は
風に吹き消される
伝わらない思いを
伝えようとあがいた
その言葉 ....
低い雲が私を覆う度哀しみが私を覆う
あたかも行く末を暗示しているように
不安に苛まれる一時は得体の知れない
靄が私を取り囲み前面に立ちはだかる
私は顔を覆い蹲り今が去るのを待っ ....
明るくふるまうのは
終わりを予感するから
‘おびえている’ なんて
いい気にさせたくないから
言いかけた言葉を
飲みこんだきみは
カモメを指さしてごまかす
中途半端なやさしさ
....
ぴいひょろ
ぴいひょろ
横笛吹きながらしゃがみこんでいる少女
音程なんかどうでもよくて
鳴き虫って呼ばれちゃっても
いまはただ悲しくって
ぴいひょろ
ぴいひょろ
あまのじゃくのつむ ....
ピョンヤンの街が日を跨ぐ頃
乾いた靴音で少し先を行く
女 ロシア人だろうか
街灯に照らされて
骨盤で風を切る
右に左に揺れている
おしり
尻視欲 と 抑止力
激しい激しい
せ・め・ ....
私っぽい
と変換しようとしたら
綿しっぽい
になったので
採用します
夢の中で元妻が
やっぱり子供をつくればよかった
と笑いながらいうので
....
私は幼い頃早口で
軽いが、どもることがあった
母親でさえ、聞きなおすことがしばしばだった
さすがに長ずるにつれ、本人も自覚して
早口をおそくするように心掛け、発声に気をつけて
治そうと努 ....
てめえっ
上等じゃねえか!
おもてにでよう!
天気はイマイチ
おなかが空いた
弁当工場
煙に誘われ
ノソノソ ダラダラ
アパート這い出て
歩く
居酒屋定食満足満タ ....
{引用=一昨日の夜のこと}
薄緑の籠に
シャツや下着が
溜まってきたので
洗濯機にそれらを
雑多に放り込み
湯船に張った
冷めかけたお湯に
ホースを通したと ....
騒いでいる状況じゃない
ことぐらいは分かっている
騒いでいる間に人生が終わる
ことなど無いこともわかっている
それでも騒ぎたいときがあるだろう
騒いでいるときは不安や苦悩を忘れること ....
子どもっておもろいな
おしあいへしあい
わざわざさむい日に
「あらてののケンカちゃうか?」
そんでもたのしそうやで
「だからたのしくケンカできるって
子どもっておもろいやんか ....
目覚ましの音が鳴ったら
脊髄からの命令でボタンを押す
腕をフトンに引っ込めたら
脳が朝に在るあたしを認識する
薬は早期覚醒を抑える
暗闇でのしかかってくる壁は消えた
もう少しの辛抱 ....
朝 目覚めたら
鳥の巣箱の中にいた
市会議員選挙の告示のニュースが
母屋の方から聴こえてくる
体を起こし 何となく上を向いて
首を伸ばしてお口をあんぐり
母がテントウムシを口移ししてき ....
温かいご飯
温かいお風呂
温かい布団
この三つは
心まで温めてくれる
寒い冬の夜
わたしは寝る前に
下布団とシーツの間に敷いた
電気毛布のスイッチを入れておく
しばらくし ....
かあさんの
みずたまもようのワンピース
あれ、手作りなんやでって
こそっと打ち明けた
キヨちゃんが
ほんま? すごいなー
でもどこからが手作りなん? って
イケズゆうから
どこもかしこ ....
私の鼻の穴のにおいはたぶん臭いはずだ
鏡で覗くとそんな感じにさせる風貌だ
しかし 実際のところ分からない
私が普段嗅いでいるにおいとは
においを嗅ぐ対象そのもののにおいと
鼻 ....
君は君自身のためにルールをたくさん作った
例えば
本を読むとき
君は一度開いた目的のページを
わざわざ1度閉じてから
再びゆっくり開いて本を読み始める
例えば
朝の ....
裏庭から
裏山を眺め
じめっとしたプライベート
地球は動いている
だから ぼくらは眠る
子孫のために 先祖に祈る
朝のじゃこ粥がうまい
140123
少しずつ物価が挙がって参ります。
しずしずとおどおどと堂々と
横柄な態度を取るものも居て
警笛を鳴らしたり街宣車を走らせたり
選挙カーを走らせたりし ....
肘が腫れた
誰かに肘鉄砲を
食らわしたわけでもないのだが
発熱したのでさすがに怖くなって
病院へ行った
かなり炎症してますね
頬杖をつくのが癖なので
おそらく妄想を巡らせてい ....
魂を語り合いましょうと
いいながら
詩人は逝ったのでした
今朝
わたしはみつけた
ゴミステーションの柵に
いくつも並んだ雫
それは
ぶらさがって
落ちまいと揺れていた
冬の夜が ....
「死ぬ時は一緒だといいな。」
お風呂上がり
キミの髪を拭く私に
突然キミはそう言った。
「でも、もしボクが先に死んだら
天国の入口で ずっと待ってるから。
だから お母さん
もし ....
140122
本日はお仕舞いですすす
自働初期ののののののめ
かろりんころくろまりん
みまいせまいはらりこん
んころりんならけむりん
よめないすうじにひそむ
ころがるゆうきのに ....
よく聞こえないよ
ほら もっと近づきな
音は距離の2乗に反比例して大きくなるから
よく見えないよ
ほら もっと近づきな
光は距離の2乗に反比例して明るくなるから
....
ひとひとりの心のなかは、いつだって戦争だから
これ以上戦うひつようはない
そう言って花鋏をつかみとる
淡き生活
かんかん光る
かんかん踏切
かんかん降りる遮断機の
かんかん赤い光の点滅
その先線路を
飛んで行く
暗闇の中
急行電車が
飛んでゆく。
かんかん手を振る二歳の息子
電車を見 ....
もう少しだけ待って欲しかった
きっともっとうまく笑えるはずだったのに
まだ恋が芽を出す途中
強制的に打ち切られてさ
なすすべもなく ほら さよなら
曖昧で でもそれ以上踏み込めなくて ....
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