飛行機を知らない人と轍を踏む
想像よりも柔らかい轍だった
この先に飛行機があるんだよ
そう言うと向こうは深く頷いた

生まれたときから教えられた通り
正しく騙せば
一族は末永く恵まれる
 ....
森の中で宙に浮かんで君の手を離さない
君とイヤフォンでこの曲を聴くよ
太陽の光を遮って君と僕だけの世界に視界を沈ませるんだ
海水を泳ぐようにどこまでも進んでいく
心の中を泳ぐように暗闇に塗れて ....
窓辺でふたりして外を見た

遠く近く水田に空が映って
空も雲もあの水田からこの水田へと
だんだん動いていく

お互いなにを考えてたのかは知らない
でもこの時間がすべて
もう二度と還らない瞬間

やさし ....
満月には
ほんの少し欠けてる月が出てる

あの月を
空から取り外して
粉々に砕けさせたい

その時

月はどんな音を立てるのだろう
砕け散ったかけらはどんな色に光るのだろう

砕け散ったかけらを思いき ....
手作りの街並みは
連続的な曲率を忘れてしまっている
その中に欲しいものはなく
わたしは
資格参考書と
一握りの雨粒と
友人にお裾分けしてもらった溜め息の入った
鞄を提げて

求めたい ....
手の内ではじける
しゃぼんだまに似た空に
遠い影を投影しては
また、見上げている
 
影送りだなんて
とうに忘れ去られた遊びを
何度も、何度も
繰り返して
 
 
空を横切る
 ....
かぶとの木と呼ばれていた
通学路沿いの
道から少し滑り降りて入る草薮の中の
真ん中がくり抜いたようなくぼみのある木

樹液が蜜のようで 夏にもなると
かぶと虫や  ....
指先を弾くビー玉の
揺らす羽音に傾けた顕在
美しさに魅る
誰もが潜在させていく
消せない痕跡の奏で方

雨粒が掬いあげる五線譜を
なぞるように紡ぐ音源
白月の発光が仕上げる響き

潜在の零れた葉のたゆ ....
大人になんてなりたくないと
思った時から
ずっと星を探していた
将来への自信と
可能性への期待に満ち溢れて
星は必ず見つかるものと
全ての人に全ての星があると
それが当然だと思っていた
 ....
夏の朝
白いテラスで
ラジオが唸ってる

はるか頭上の風は
あまり動いてない
雲も眠ってる
テーブルクロスも

キッチンから
また君がドーナツを揚げる音と匂い
揚げたては好きだけ ....
わたしを束ねてください

かなしみに もれなくついてくる ささやかな希望と

私とを束ねてください



わたしが集めたささやかな希望を

あなたの手で束ねてください
 ....
ちいさい声で
すごく大事なことを
いう
おおきい声では
いえないことを
いう
声の芯は
おもいのほか
しっかりしていて
おおきな声が
いくら
邪魔しようとしても
伝わってくる
 ....
あの夏のサナギの記憶はありますか
(ランドセルに隠した羽根の罪)




「人生が退屈なんだ」とつぶやいた
僕を殴るように 夏が 夏が 




しましまの正義を装填した銃を抱 ....
朽ちてしまった
 
想い、は
 
2000年になった瞬間に
冷凍庫にしまった
 
 
7年経った今
解凍しようと
キッチンに出しておいた
 
月日が長かったせいか
カチコチに ....
12号なんだってさ
笑っちゃうな
くたびれた青空に
黒い日傘をさす

12号なんだってさ
そう言ったときの君の顔
笑っちゃうな

夕暮れでのびた僕の影が
暑さでひっくり返ってる蛙に ....
 夕刻が近づき
 ネオンサインが灯り出す
 歓楽街に仕事を終えたサラリーマンが
 群がりだし
 熱で火照った空気が放たれる
 
 虚ろな時を友にする俺は
 ありもしない物語を語っている
 ....
あさ
ゆうやけ色のやさいたちを
こわしてゆくときに
ふと香る 昨夜の
ねむりにおちてゆく、
やわらかい
眩暈



きょうはいつも きのうの続きだから
きのうの夜も
まくらにほ ....
柔軟な 広い心で 聴いてみて 
      すこし解った 宇多田ヒカル
ころころころころ
マルはアスファルトを転がって
横断歩道で欠けて
花びらの形になった サクラの
ひらひらひらひら
春はどこですか
一番遠ざかった季節ですね
ひらひらひらひら
 ....
マーミー
悲しい詩を詠ってはいけない

高原に咲く白い花が
ときおりふくかすかな風にゆられて
りんと鳴るその音のように
僕たちが幸せについてささやきあうとき
高原からのびあがって
どこ ....
草あざみ風はどこへと吹くのやら
    一人の道に時は惑いて


くちづけはブーゲンビリアあかあかと
    見つめる瞳にしずむ太陽


透きとおる{ルビ項=うなじ}をみせて{ルビ月見 ....
ぼくのこの手に

あのあたたかい

陽だまりを拾うことができるなら


あなたのもとに持ってゆくよ




いのりが

ああ、
きこえない



キズだらけのあな ....
恋という 字をかこうとし 変とナリ 夏が黄色くなってゆく
太陽の色に近づいている
夏をぎっしりとつめて
鮮やかな黄色になってゆく

黄色くなってゆく夏は
水に中に落ち
ぷかぷかと気持ちよさそうに
泳いでいる

近くで ....
11

ジャングルジムの上で
傘の脱皮を手伝う

またやってくる
次、のために

海水浴の帰り道
人の肌が一様に湿っている



12

ピアノを弾くと
鍵盤がしっとり ....
裸になった彼女の身体には
両脇腹と右肩と左の脛に弾痕があって
だから彼女はいつもぎこちない様子で
歩いたり
ものを書いたり
笑ったり
していたんだなと納得して
そこに触れなければいけない ....
             07/07/20


回転軸がぶれたので
ギャを外してひと休み
ささやく声は
きみのこと
ぼくのこと
いいえ地球の独り言
地震を起こして叱られた
疲れたと ....
眠りかけの夜に

キスをするしぐさの

芳しさ




ああ…




少女は

小さくため息して

壊れかけの夢を

抱きしめていた



 ....
綿毛に乗せた
ことばの行方を
わたしは知らない

それは
さほど深刻ではない心当たりで
暖かすぎる夏の日に
ときどきそっと
距離を置く


まっ白な
姿かたちは
どこ ....
 (愛、

  愛っていうんだね)




 もしもわたしが
 翼のない鳥に
 生まれていたら

 いろんな悲しみを
 もっと上手に
 愛せたかしら



  ....
北大路京介さんのおすすめリスト(19013)
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