幼い子供に生えた
二本の白い腕が
寂しくなって騒ぎ出す
持てるだけの空洞が
全部そこに集まるから
両方の肩の関節が
どんどん膨れ上がる
肘を伸ばす
突き出た骨が笛を吹く
掌をひら ....
くすんだ赤い鞄を背負って
空色の自転車に笑顔でまたがる
じゃあ、また明日ね
当面やるべきことは
化粧をしたライオンに
命を吹き込むということ
照明が降り注ぐ舞台上で
コンタクトを ....
{引用=
霜の匂いを纏って
母さんのおさがりのコートを着て
毛玉だらけの手袋で
髪にはすこし粉雪をつけて
息はぼんやり白くて
頬 ....
奨学金の返還誓約書を提出しなきゃいけないとかで
今日、はじめて三号館という建物の七階までのぼって
はじめてそんな高い場所からこのキャンパスを見おろした
僕は、
四年もこの学校に通って
そ ....
白く
抱かれている女の子を見て
きれいだな と思う
やさしくふれられて やさしいことばを感じて
ため息を漏らすの
メロディーのように
たぶん アイラインを落としても
つむった瞼にまつげは ....
ポタージュが冷めるのを待てず
やけどする舌
冷たい朝に
湯気の向こうで
陽の光が磨りガラスにはじく
無邪気なほどきらきらと
関東地方の今朝は今年一番の冷え込み
半袖のニットを着た ....
ゆく道がまわり道だったとして
いったい何を失うっていうの
ふえていくことがあっても
失うものなんてないじゃないか
ゆく道で傷ついたとして
いったい何を失う ....
せせらぎは
言葉を濁すことを知らない
そこはかとない波のゆらめきに
疲れた手を浸し 剥がれてしまいそうな
うろこか言葉かわからないようなものを
さらさら、と流し
そして しぐさを落と ....
ねぇ、航海しない?
突然のことで驚いた?
こんなこと言うなんて意外だった?
ううん、特に理由は無いんだけど
今日はすごく天気が良いからさ
ねぇ、航海しない?
突 ....
そばにいつも近く
あるものは何だろうかと
声に向かう
手の内に知りたい
たどるほどに温もりを帯び
そしてやがて熱と冷たさ
熱さと熱 温もりに
全体が早まっていく
十字の開いた二本と ....
住む人の居なくなった実家
風を通すために帰省して
東京に帰る日の昼食は
味噌ラーメンが美味しいと
親父が通っていた店で食べる
若いころ札幌で食べた
味噌ラーメンの味に魅せられた親父 ....
何気ない気遣いが嬉しくて
立ち去るあなたの背中を見つめてしまう
父とは違う
兄とも違う
これが初恋ってことなのかな
山吹色に姿を変えた銀杏並木が
来る春のときめきに思い巡らすよ ....
深い森の中に
最初の一滴が降り
雫は静かに瞬きをする
鳥の瞳になるのだ
枝葉を羽根に変えて
もぞもぞ動き始める
紅葉でもするように
深緑から脱色していく
すべての色は
深緑を ....
歩き出すことを知りました
ひた、
ひたり。
らしさをどこかに求めて
あまやどりをしました
ぽたり
いつしか涙も流しました
そうしてぎこちなく
笑ってしまうの、
わたし
ことばに詰ま ....
雨雲がはびこった空へ
僕のねずみ色の狡さが
こっそり飛び去っていくのを
ぼんやり見落としながら
また天気予報がはずれたと
君は唇をとがらせた
ガジュマルの葉っぱに
君の赤毛のした ....
何気なくトップページにアクセスすると
「こんにちは、ゲストさん」の文字
わかっちゃいるけど なんだか切ない
アルファベットの呪文をとなえて 数秒後
今日も私は仲間入り
そ ....
気がつけば
柔らかな布団が体を包みこんでいる朝
遠くから聞こえる踏み切りの音
肌寒い朝の目覚めは私を憂鬱にさせる
嫌なことを思い出させる季節、冬
雪の如く心に降り積もり熱を奪っていく思い ....
{画像=080907104708.jpg}
神社の縁の下は雨宿りの場所で
みんなの隠れ場所だ
賽銭箱の階段の脇から入って
宝物を蜘蛛の巣の奥に隠した
捨て犬も捨て猫も一緒に連れ込んだ
....
冬へと向かう足音は
あまりにも
確かで
冷たい冬の
【心臓】
を
手のひらの上に
浮かべてみた
それは明るく輝いていながら
とても凛とした
冷たさを持っていて
裸足の指先が凍 ....
小学生の時
わたしは薄水色だった
黄色のハンカチ
黄色の傘
黄色のお気に入りの服
だけど、わたしは
小学生の時
薄水色だった
黄色の長靴で
水溜まりに入るのが大好きだった
....
暗闇の先
見つけてしまった光
遠く遠く
手の届かない才能
同じ時代に生きてるなんて
点火されてしまった
どっちにしろ
太陽の様に赤いひまわりはもう枯れてしまった
残されたわたし ....
近所の用水路で小さな魚を捕まえた
家にあった水槽に放し
部屋の日当たりの一番良いところに置いた
魚は黒く細っこくて
その頃のわたしは
なんとなくまだ幼かった
+
....
十月の林檎畑は小春日和
はしごの上に立って
林檎の葉をとり
少し位置をずらして
枝の下の黄緑の部分も
赤く色づくように作業する
手間をかけただけ
儲かるものでもないけれど
まんべんなく ....
だれかを見ている
だれかに見られている
そういう感覚
あるいは
だれも見ていない
だれにも見られていない 感覚
実はまわりは存在していなくて 私も存在していない
全 ....
つよいびるかぜを
さけながら
まちのきっさてんにはいる
ぶれんどこーひーに
くりーむを
とかしこんで
そそぎこむとちゅう
ふたりになって
はなしていた
おんなともだちの
けいたいで ....
蒼い空に浮かべられた月は
優しい灯りとして
世界を照らしていた
ふと口を告ぐ
好き
何度言っても
気づかないんやね
分かってるんや
分かってる…つもりや
ねぇ
綺 ....
どれほどに僕らは
沈黙に殺されてきたのだろう
スモークをかけられた
世界は灰色をしている
合理的に生きていくために
必要なものは
ほんの少しで
当たり前へと変形
気付かない ....
満月が
おおきくくちを開けて
新月になる
夜空をひとつ
噛み終えるまで
いくつもの時を食べつくし
それでもなお
夜はおとずれる
無数の星は彼らの目だ
今日もどこかで
....
かなしみと出逢わなければいたみなど
ふわり、するり、と流れてゆくのに
よろこびと出逢わなければ涙など流れなかった
ぱさぱさとして
いつわりへ戻りはせずにここに ....
綱わたりをしていると
月がきれいだったので
僕はまっさかさまに落ちていった
形の良い吉川くんがそれを見ていて
僕らはレンガ遊びを続けた
吉川くんはレンガをちゃんと地面に積んで ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369 370 371 372 373 374 375 376 377 378 379 380 381 382 383 384 385 386 387 388 389 390 391 392 393 394 395 396 397 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410 411 412 413 414 415 416 417 418 419 420 421 422 423 424 425 426 427 428 429 430 431 432 433 434 435 436 437 438 439 440 441 442 443 444 445 446 447 448 449 450 451 452 453 454 455 456 457 458 459 460 461 462 463 464 465 466 467 468 469 470 471 472 473 474 475 476 477 478 479 480 481 482 483 484 485 486 487 488 489 490 491 492 493 494 495 496 497 498 499 500 501 502 503 504 505 506 507 508 509 510 511 512 513 514 515 516 517 518 519 520 521 522 523 524 525 526 527 528 529 530 531 532 533 534 535 536 537 538 539 540 541 542 543 544 545 546 547 548 549 550 551 552 553 554 555 556 557 558 559 560 561 562 563 564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 574 575 576 577 578 579 580 581 582 583 584 585 586 587 588 589 590 591 592 593 594 595 596 597 598 599 600 601 602 603 604 605 606 607 608 609 610 611 612 613 614 615 616 617 618 619 620 621 622 623 624 625 626 627 628 629 630 631 632 633 634