「悲しみ」は噛まない、。」
この子が
尾を振る仕草の延長で鼻を鳴らしながら
十畳を嗅ぎ回っても期待は裏切られ
グラスの中で氷が踊る、。刹那
街は窓を彩って
鮮やか ....
鼈甲色の
瞳孔を携えている
その眼は
暇潰しにと
塵を捕らえて
いたずらに、世界を白く
光らせている
塵と塵の狭間に
取り残された僕は
四方八方に飛散する
....
森に架かった木の橋に
父は手にしたカメラを構え
木漏れ日と葉陰の揺れる{ルビ袂=たもと}に立つ
妻と娘をレンズ越しに覗いた
シャッターを押した後
肩を並べた三人の後ろ姿は
....
覗く穿孔の先
しろい魚がいて
半透明の皮膚を
鈍く光らせては
時々憂鬱そうにそらを仰いだり
恨めしく心火に身を焦がしたり
何時にか逃げてしまったけれど
伺う穿孔の先
しょう ....
扉から 漏れる 白熱電灯
白檀の香 しめやかに 香り
私は この仏間に
この世のありとあらゆる
悲惨を出現させる
戦争 飢餓 病気
怒り 憎しみ 嫉妬
唱題しながら
どす ....
「 この世の外なら何処へでも ! 」
という最後の詩句を読んだわたしは
「 転居先 」について考えていたが
そんな場所は、何処にも無かった。
日常から逃れるほどに
毎夜訪れ
....
虫刺されがかゆくて
かいていたら跡が残った
外を見ると
強い日差しが差し込んできた
あっ 思い出した
こんなに外がまぶしい日に
あなたはひっそり この家から出て行っ ....
世の中にはいつも恋が溢れている
そこかしこ失恋も含めれば
見渡す限り恋が溢れる
若きものは知らぬ間に恋に墜ち
老いたものは過去のシグナルを見つめる
一方的に見つめるだけのものだから
き ....
ばっぱ、こねえだ小川さんえのカッチャ飲んでら、ママはいってらお茶ッコけれ。
ママはいってらお茶ッコ?なえのごどだべ?
あれぇ、こねえだ小川さんえのカッチャ飲んでらっけしゃよ。
あやあ ....
蒼い約束の地は
遥か遠くで息づいている
流れる雲の下
芝生に仰向けで横たわり
風を頬に受け
火照った心を冷やす
気分の折れ線グラフは
今日は上がり調子
明日は ....
甘い香りで誘って
あなたを虜にするの
早く見つけて
真っ白な本当の私を
書き人知らずの本でした
棚から引き抜き
いくつかの確かな硬貨を払い
手に入れたというのに
ふと気付けば
それを生んだ人の名は
どこにも刻まれていませんでした
家に帰り
日差しが中途 ....
食器棚の上で昼寝をしている猫のシッポが
だらりと垂れ下がっている
でもお刺身のパックを買い物袋から取り出しただけで
シッポはパタリ、パタリとゆっくり動き出す
どんな夢をみている ....
ほんとうのことをあなたに
たくさん
贈りたいのだけど
なぜだか
きっとあなたは私のこと
誤解している
きっと
私のほんとうは
もっと
臆病で調子よくて
よわよわで意地っ ....
この橋を渡ると あのこの家に着くの?
--うん、そうだよ。
どうして?
--どうしてだろうね。
つながってるの?
道は、つながってるの?
--そうだね。
....
穏やかな日々の陰からはみだした恋という名のあてなき手紙
忘れたい忘れよう忘れられるのか君に恋がるる熱き自分を
キミは私に言ってくれた。
しっかり私の目を見て。
誕生日おめでとう。
それだけで私の顔は身体中の体温が集まったように真っ赤。
私は心を込めて言ったよ。
ありがとう。
プレゼ ....
かろやかに
自転車を漕いでいた風は
あの日、突然
吹くことを断ち切られ
いまは
病院のベッドで
蛹となって
眠っている
息することさえできなくて
ときおり
顔を歪め、真っ赤 ....
ボンボリつけて
ビーズの蝶々付けて
学校に登校する
革の手袋する
先輩にもらったキーケース
弟が友達のお母さんに
声を掛けられ
貴方が誘拐犯かもしれない
と言ったそうな
小さ ....
夜の気配に触れて
私の思いは
満点の星空へ解き放たれる
決してあなたの前では形にすることのない思いが
夜の冷気と慈愛の中
予期せぬ激しさで 身を起こす
果てしの無い天空に満ちた音楽 ....
ちょっと開いておくれ。
私の人が見えるから。
ちょっと騒いでおくれ。
私の人が見えるから。
やつ、
暗がりで体を摩って
鳴る、(るるる。)
こいつ ....
帰宅する途中
コーンスープの匂いがする
家の前を通りかかる
中から男女の諍いの声が聞こえてくる
少年が一人
玄関の外に立っている
ドアにもたれてただうつむいている
どうかあの少年が
私 ....
工事現場に置かれた
大きな平面板は
空に流れる白い雲を見ながら
あの雲のように
自由に流れたいと思った
平らに寝そべっている自分では
風に相手にされなかった
起き上がれば
風を跳ね返し ....
甘え甘えて箱入り娘
とうとう三十路ひとりきり
必死でいきないこの30年
努力しなかったこの30年
身体は衰弱し
すれすれの実態に
この支配する金
いつからか泣けなくなった
そう
残暑 ....
あの
しずかな箱のなかに
とじこめられる
ふたりきりで
わたしたちは
上昇する
風が吹いてくる/寒い/しまいに雨までふってきて/ずぶぬれだ
....
悲しいときは
笑うのが一番
何も知らないあなたは
全てを隠す僕のよこで
無邪気にいってのける
何もしらずに伸ばされた手が
全身に鬼火をつけてくなんて
君が知るこ ....
君が勢いよくカーテンをあけるから
まさに零れ出ようとしていた光が
勢いよくぼくを包み込む
その白い肌は朝に満たされて
なんて君を美しくさせるんだ
たった今ぼくのなかも
朝が通り抜けて行った ....
水暗きなかに閃光突き刺さるまじわる場所は色彩なき場所
青春の色彩すでに忘れたり鳥飛び立てる後の静けさ
掌にあまる白桃まだ知らぬ空の色彩抱きて帰らむ
2007/06/02
単純な飛行機を飛ばす
ゴム動力でプロペラを
クルクルと回し
ゴムがゆるむまで
どこまでも飛んでゆき
見えなくなって
ステルス機になっ ....
朝露に光る姿は艶やかに彩り添える紫陽花の花
清流に若鮎跳ねる今もまだ大志をせなに雄飛を胸に
揺れ動く穂波は仰ぐ空の青田には命の輝き満ちて
雨続く窓の際には子どもらが作りし ....
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