胸の中の灰色の重たるい空に
気怠く浮かぶとりどりの飴玉のような
飛行船の数を数える
数えたそばから何度でも忘れるために
彼女が悲しい嘘をつく前に
どうかあの紅色ルージュを塗った唇を
塞いであげて
もう彼女の恋は
海の一番深い場所まで沈み
眩しい眩しい愛が届くのを待っているだけ
「優しさなんて…」
....
何で我慢するの?
男だから?
かっこ悪いから?
弱いと思われたくないから?
良いじゃない
泣いたって
ベタな例えかもしれないけど
あの雲だって
貯めこめ ....
いつもいっしょだね
大雨が降ると川は決まって氾濫した
田畑や家はその度に浸水した
人々は土嚢を積みポンプで水を汲み上げたりしたが
結局は自然に水が引くのを待つしかなかった
ある年、河川管理者である県によって
大 ....
{引用=
? 彼
味噌っかすの子でありました
家での安らぎの場所は押入れの暗闇
たいていそこで うつらうつらと
青空と雲
黄昏の風と 夕焼け
を眺めている ....
いつまでも
私は貴女の
子でいたい
そう思うのは
我が儘ですか?
いつの間に
貴女の背丈
追い抜いた
疲れた肩を
そっと抱き寄せ
これからは
貴女のことを
支えたい ....
門限を破って忍び足で帰った玄関先に
どっしりと仁王立ちしていた母も
どんないたずらをしたのか
子供をガミガミ叱っていた怒り肩も
男の不実の証拠を
ポケットから見つけちゃった隣のお ....
曇った空の中で
光を探したけれど
どこにも見当たらず
心の中までもが
曇り始める
花も下を向き
自分もどこなくうなだれる
アスファルトの道が重い
自分が重いのかもしれない
進む道は常 ....
空が横倒しになり
星が包まれるとき
そのとき私は
包丁を刻み
煉瓦で川をつくり
小麦で塔を建てるでしょう
そしてできた塔にお客をお招きし
窓際にテーブルを置いて
楽しく喧嘩する ....
ブルース聴かせて
友達がそう言ったのはいつだったろう
その夜に僕たちは並んで写真を撮った
この町を出ていくと聞いてから
僕は戸棚を漁って古いアルバムを捜しているのだが
少し ....
時々にしか会えない 僕の夢の友人
友人は僕のことを全て知っていて 親友と呼ぶのに相応しい人物だ
僕も友人のことを全て知っている
無限とも思える夢の中で 初めて会った時に僕達は阿漕な宇宙が ....
曇を知らずに
ついばむかたち
花のかたち
あこがれ
うしろめたさ
午後の砂の輪
置き去られた目の幾つかが
むずがゆくからだにひらいても
窓を見つめることがで ....
非常階段の隅っこに小さな灰皿
割とヘビィな銘柄の吸い殻
押し付けられて そのまま
残された抜け殻か それは
空気を震わせながらする呼吸は
僕の部屋ではやけに神聖な行為で
深く閉じた ....
一人で 足を伸ばして
ぼんやりと 考え事をする
お風呂の時間が大好き
でも 貧しい我が家では
気づかないうちに
浴槽の中は 冷めて 妙に寒くなってくる
あなたと一緒に入っていたときは
....
ポイントは、スロウ
誰かが間違ったとか、テレビが吐き出しているけれど
それが本当かどうかなんて誰にも、分からなくて
無駄なものを省いてきた、そんなつもりの生き方だけれど
結局何も捨て切れて ....
幸福な女優は、金持ちの男を好んだ。
或る日のことである。
彼女は都内の高級ホテルで、大富豪のF氏と寝ようと試みた。
F氏は、83才。無論、機能しなかった。
―夜が明けた。
それ以降、彼女 ....
(そこはそらのとおりみち
なもないとりがとんでいて
はながたくさんさいている
そんなゆめをみた
ゆめはずっととおくまでつづいていて
そらはすんでいてとってもきれいだった
だからきがつか ....
大木にそっと手を当て歳を聞く
5
ささやきとゆめとで満たされている
乳白色の匂いが駆け巡り
スカートの裾と共に影がゆれる
したたかに群れるとりどりの手足に
手招かれるのは
おなじ匂いをさせる 少女
....
ある程度年を取ったから、
どうして今こんな状況にあるのかとか
すぐ話せない環境にいる事実とか
飲み込みたくなくても飲み込んで
思い出したくないけど思い出すことができる よ。
それって ....
口下手な僕が
誕生日よりも何よりも無口になる日
言葉なんかなくてもいい
そう信じたい
たくさんの想いは一言にもならず、単語にもならず
一輪の紅にゆだねて
....
ここしか知らない
ここしか分らない
僕は3歳
今回の街は特に難しい
5歳までには身に付けたい
どのスタイルで住んでみようか
考えているけど 悩むなぁ
だって人生の半分決ま ....
意味はと聞かれても
答えられないけれど
「す」という響きは
なんだか心地よい
心に角が生まれた時
「す」という音は
角を滑らかにしてくれる
「ふう」というため息よりも
言い始めに肩があ ....
一人暮らしの アパートに
大きな箱が とどいたよ
野菜 果物 地場産品
お米 お茶っ葉 お手紙と
意味不明なる ふるさとの
町の指定ゴミ袋
でも なによりも うれしいは
....
南風に乗って、夏が
駆け込んできた
いつだったか あなたは
疑いなく寄せるそれを
レモンの光、と呼んで
指先で掬い上げて口付けをした
透明な時軸につかまって、僕は
ひとま ....
2007/05/12
テレビの中にも
イースターエッグが飾られて
西欧の春のお祭りとして
楽しげに語られていて
季節の再生の喜びで
人々は笑顔ではち切れそ ....
夕陽がしぼんでゆきます砂時計
冷凍庫いつかの恋がフリーズドライ
夜景はね化粧が下手ねとすっぴんで
片恋はまた雲となり俄雨
言いそびれし言葉のジュラ紀の地層調査
またあした ....
五月の日差しが強くて
今日も真っ白なレースの日傘を差すの
傘の細い柄を ちょっと傾ければ
私は日傘の中に消える
すぐ横を通っても あなたは気づかない
別に あなたを気にしてるわけ ....
あなたが わたしを
過去のこととして
話すときがいつか
くるのかな。
だった・・・だった・・・だったって。
時間は無限に循環しているといいます。
じゃあ、この風はどこからきたの?
....
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