青い
夜明けのような{ルビ苧環=おだまき}の花を行き交い
小さな蜂が羽を震わせている
光は飴色に輪を広げ
触れるたびに緑の葉は揺れ動く
あいさつのように かすかにそっと
....
なぜそこに
それがあるのか
自分ではわからない
人に聞いてもわからない
なぜそこに
それがあるのか
調べてみたら
なぜそこに
それがあったのか
謎が一つ増えてゆく
なぜそこ ....
少し離れた
海のようなところを
目覚まし時計がひとつ
泳いで行きます
古い色のバス停で
返却期限の過ぎた図書を
二冊抱えたまま見送る
息継ぎだけが
わたしの動作でした
この 地球がエントロピーの法則で
滅び去っても
例の邪悪な
モグラたち
年金もらって 演習を続けたそうな
ソナーは補聴器かわり
戦車は車椅子だ
テッポウには
花の種が仕掛け ....
レイン
あのとき足音にかき消され
君の言葉が聞こえなかった
雨が降る
自由が再び吸い込まれていく
星が湿度を復元する
束の間の動作
長旅を終え
地面に歪んでは消える ....
フロントガラスに映る
木漏れ日をなぞって
睡眠体勢をとる
外に出てしまうと
少し、汗ばむ陽気だけれど
一つ隔てた世界では
丁度良い感じだから
上昇気流に乗って
飛ばさ ....
ガードマンはハンコを押す
祝日だから
ビジネス街はひっそりとしている
八十八階の窓から山が見える
あの向こうで母は
病室の四角い空を見てるのだろう
雲という名前を失った雲は
やはり雲 ....
人は夢を見ます
記憶の整理だとか
願望だとかという噂もあります
それでも夢を見ます
鮮烈に残る夢も
忘れる夢も
この心の目だけは見ています
悲しいこともあるでしょ ....
貴方の神は目の前に
天地を支えておられる
暖かい心に包まれて
永遠を授けられるのです
たとえ絶望に陥っても
神は貴方を掬い出すでしょう
たとえ苦痛に苛まれても
神はそ ....
「ひかりの信号」
ぼくは星にいた
ひとりぼっちで
裏側には、うちがあって、
温かい家族は居て
それは幸福なことだと思うけど
何故だか
ぼくはひとり
たぶん
ほ ....
瞳孔に赤い花束しのばせて指揮棒で追う蝶の白さよ
シンバルの彼はスポーツ選手の眼、100mとか、なんかそうゆうの
部長から提案があります「なんでしょう」もっと白目を剥いてください
....
金子さん
飾りのない笑顔と言葉を
心の部屋から追い出せないまま
金子さん
幼くて無様で向こう見ずな
恋の化け物に僕を変えた
金子さん
....
車窓がくもって何者かが問いかける
移民の悲しみ似た淡くはかないものだ
いくつかの希望を抱いて死んでいった
若者の中の一つの宇宙だ
車窓がくもって見えていたものが歪む
ひときれのパンに空い ....
終わりは始まりの合図
始まりは終わりの出現点
全ての物事が
ループ∞ループ∞ループ
だから
今のアタシは真っ白だけれど
無機質だけど
きっといつかは色づくはず ....
浮き足立ってる。
たいして暑くもないのに
鼻の頭に汗をかいた。
くしゃっとあの人が笑ったとき、
私の世界は 一際輝く。
つぼみですあなたの前では枯れるまで
曖昧は曖昧だからやさしいの
恋列車整備不良で停止せず
さいたま港そんな港は知りませぬ
残された飛行機雲を撃ち落とす
あなたといふ三文字 ....
いつかメンデルがせんせいの言葉で
彼女に教えてくれたもの
にんげんにとっては
哀しい筈のもの
それはすぅいと風に揺らぎ
ふわふわ散ってしまいました
もう既にいみは曖昧
十字架 ....
その本には
わずかな言葉しか
書かれていない
けれども
見えない言葉が見えてくる
それは
未来への希望であり
人生への疲れでもあり
恋する人への思いでもある
同時にそれは
読む人が ....
山鳥は、
語りえない
ゴム、しゃぼん
せかいは いとも
かんたんに
喧嘩する
きみを ぼくは零す
しゃぼんのせかい しゃ
ぼんの せかいは 簡単に
....
ハロー
ハロー
君からの
応答を
待つ
君は一人で大丈夫だけど
その背にしょった荷物を
捨てる方法をしらないから
心配です
心 ....
真ん中に
するり、と
入り込んで
溶けきった後
成長を、開始する
君のその
心に根付いて
愛という
餌を貰って
大きく、なっていく
....
汗ばんだ、女の子に魅力を感じます。
僕は、決して、自然が好きではないけれども、
わきを開けて、スプレーを吹きかける女の子は、
好きではありません。
そのわきに、剃りのこった、毛があれば、
....
初めて貴方を見たときはどうも思わなかったのに
今は貴方の動作、言葉にすぐドキドキするの。今まで好きってものはどこからどこまでが好きで、どこからどこまでが普通なのかなんて、全く分からなかったけど
今 ....
残っているのは
水色のこんぺいとう
昨日食べたプリンのお皿
それから
君からもらった言葉
全部 虫歯になっちゃいそう
{ルビ劔箭=つるぎや}神社からの
細い参道の坂道が好きだった
不思議な人体図がかけられた漢方薬局
古ぼけた占いの館
必ず救われる新興宗教の教会
日本で3番目に大きいという大仏
確かめようの ....
剥製が
目先に
横たわっている
艶消しの暗い壇に、一枚ガラス(宙の数分の一、水族館の水槽よりは厚手)を隔てる。甘やかな怒声が響く部屋。
後ろ隣の二人連れ(性別はふめい)は、「私も飼 ....
少女のころに作った 綺麗なビーズの首飾り
無垢だったあの日の記憶をたどり
ひとつひとつ 大事に
糸に通すように 言葉をつなげる
どの色のビーズにしようか
迷いながらも 真摯に選んで
こ ....
1
教授の息子は
父親の話す世界を
土を捏ねてひとつずつ作り
アダムやイヴのかわりに
幼いころから憧れていた
ネイティヴの顔を描いた
はるか
はるかの時の後で
ただ
....
重い体をずるずる引きずる
生ぬるい風がどろりと吹き抜けて
自分の中の何かがさらわれた気がした
もう疲れたよ
寂しいんだ
どこかに寄りかかりたい
もう埋もれてしまいたいよ
山積みに ....
曲がり角ごとに鳥はいて
夜を夜をとまたたいている
青紫の窓がふたつ
甘い手管にひらかれてゆく
うすぐもり
なりひびき
皆なにかを
抱きしめるかたち
昇るもの ....
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