これは、
映画ではない。
実験ではない。
想像ではない。
ホラーではない。
時代劇ではない。
恋愛ではない。
物語ではない。
植物ではない。
永遠ではない。
真心ではない。
夕方 ....
泥を沈めた水田が
澄んで
さかさまに写す
熊笹
イタドリ
蕗
ヒメジョオン
ミズナラ
ブナ
岳樺
胡桃
落葉松
槐
ヤチダモ
山はまだ若い緑で
ふんわりと盛り上がって ....
「夏の空気が
彼の似姿になって
見えるものよりも
見えないものを覗かせる
夏は
懐かしいことも
哀しいことも
それから
思い出したいことも
呼んで来てくれる
彼と見 ....
視界の開けた農道の十字路で
車同士が衝突する死亡事故が
今年二件も起きた
屋根の上の仕事師は言う
屋根の上が安全です
棟は細くておっかないって?
歩く足の幅が有れば十分 ....
130610
普段着のまま尻端折る
本のページの隅を折る
この次に出会ったときには
もっとイケメンになっているはずだ
....
ゴリゴリと命を削り生きてみる
飛び散るのは、魂の欠片
それが言葉だろ、詩だろ
心此処に非ずだった僕は
いつも遠くを見てばかり
遠くて近い未来を探して
近くて実はとても遠すぎ
心此処に非ずだった私は
いつも未来を夢見ていた
いつかは夢が叶うと信じ
時はい ....
幼い頃から海が大好きだった。
道産子なので北の大地も僕の遊び場だったが函館という港街に長く住んだ。
洋風の風が吹くこの街で潮の香りが好きだった。
朝市のような活気に満ちあふれた世界はとても心 ....
笛吹きケットルが壊れて
笛吹かずケットルになってしまった
笛を吹かない笛吹きケットルは使い難くて仕様がない
ケットルを買い変えようと思った矢先のこと
突然 笛吹かずケットルが言った
....
もう乳に触りたい以外夢もなし
部屋の隅に座り外を見やる
網戸に絡まる虫の群れ
諸行無常の響きあり
もう乳に触りたい以外夢もなし
今宵の月は魔物。
天空の漆黒はその臓腑を抉られうっすらと白い血を流す。
私は憤然としてそいつに立ち向かおうとするのだが
姿すら現さないなんて卑怯ではないか。
今宵の月は魔物。
愛すべ ....
赤とんぼ 無数に浮かぶ 夕まぐれ
あの石切り場 遊び呆けて つまづいて
ちょっとこころをおいてきた
指切り忘れて ふりかえる
鼻水垂らしたあいつやら しょんべんちびったあいつやら
みんな ....
日曜の朝 僕は生きていた 相変わらず
美術館に行こう そう思った とても縁遠い生活だ
生活もできていないかもしれない
僕のなかには整理されきちんとしたものなんて何も無かった 歴史さえも
ア ....
静かな 絡まらない 単調に打つ 更ける思考回路
夜は 静かな 深呼吸を海水が触った砂浜を歩く時間
明日も仕事 明日は明日のこと
今宵は 物思いを 白線に直し 明日またスタートさせよ ....
これ以上なにを見れば
生きていることになるのか
体じゅうに種を植えた
女が泣きながら踊っている
この作品は現在、
ポイントを求めています。
この作者は現在、
かなりの迷走中です。
ケチャップ切らしちゃってと
大人の笑顔で彼女は言った
僕の目の前に置かれたのは
ケチャップがのっていない黄色い肥満体だった
まあいいさとスプウンを入れたのだが
腹から出てきたのは ....
休日のメガロポリスの朝
天空にぐっとくい込むように
コンクリート製の棘として
何本もの電柱が太陽の眩しさに突き刺さろうかと
悲しく立ち尽くしている
アパートの小さなテレビの天気予報は先月にな ....
閉じられた瞼は
眼球にやさしくかけられたさらし布
或いは
フリンジのついた遮光性の高い暗幕
時折
なにかに呼応して
波打つように
揺れる
ベビーカーのハンドルに止まったちょうち ....
濡れて花 あざやかに
なびく風 匂い立つ
雨そそぎ しめやかに
夏を待つ 水無月の
その色は 深く濃く
ひかりの雨 纏う ....
人生というものは本来
純粋なものなのか
という素朴な問いに対して
年上の彼の立場としては
人生はかなりのものが不純物で
出来ているという話をしていたはずだった
ここに座って
潤してい ....
アニマとアニムス
男のなかの男(あ)、と、男のなかの女(い)
女のなかの女(い)、と、女のなかの男(あ)
男は(あ)で生きていて、女は(い)でいきている
男のアニマは(い)で女のアニム ....
くちびるの完成形が春の水
未使用の蛇口いっぱい朧月
ジャンヌダルク腹筋春の水汚す
黙読のむかし少年アマリリス
祖父曽祖父ほぼ平行の春野です
たんぽぽよごめんごめんと理科教 ....
風になびくしなやかなロン毛
枯れ木のような長身の体躯
痩せた頬 ニヒルな口元
あいつは武蔵野の小平市あたりの
砂塵の中から姿を現わすと
背にしていたソフトケースから
フェンダー・ストラ ....
鍵盤にバネが仕組まれているの
飛んで音を一気に出すの 一回一回一期一会
毎回毎回シンクロニシチィー
明るさの尊さ 誇り
明るさの喜び 素直さ
アルファをもったいぶらず 渡す 与える
....
若葉風若返る肌張りがある
五月雨リズムよく降る癒し系
柏餅悪戯をした人許す
BGMと馴染む空気を吸い込み 悲観を吐き出し
ひたむきに今と会話しながら 前向きに死に向かい
残りの人生を諭す全ての偶然を正の字に丁寧に著してゆく
だって とりあえず 確かに きっと ....
その神殿は太陽に向かって開かれていた 聖餐に若い処女が捧げられた
雨が大地を潤す頃 僕の大好きな人は太陽に嫁いで行った そこは太陽の王国だった
神話は陽光に満たされ 北国の花嫁たちが掠奪さ ....
魂がふかく傷ついている
わたしたちの身体には血がながれている
魂が傷ついた
そのおなじふかさで
自身の身体に傷を刻んで
いたみを
目に見えるようにする
バランスをとっている
....
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