花弁を剥きだしの裸にして、白い水仙が咲いている、
その陽光で汗ばむ平らな道を這うように、
父を背負って歩く。
父はわたしのなかで、好物の東京庵の手打ち蕎麦が、
食べたい、食べたいと、まどろ ....
海が黒いね
ひび割れているの
それはあの大きなタイヤだけだよ
もうずっと
さっきあなたが
持ち上げて
少しだけ転がすまで
倒れたままだったね
ひび割れるまで
ほら海の ....
それは 嵐のように やってくる
激しくて あまりにも激しくて
私は抗えず
ただただ それが過ぎゆくのを 待つしか ないのです
それは あるときは 私自身で
触れて なじって 傷つける
....
時代が進み
同時に技術も進歩した
ある日
割れないガラスが作られた
高いところから落としても
ハンマーで強く叩いても
割れることはなかった
値段も普通のガラスよりも安く
大量に生産する ....
朝日影にふくまれた わたくしの陰影が
ありのままの白い骨格で
よるべなく
この家に嫁いで来たのです。
その
わたくしが、
わたくしであるが故に、
わたくしを焼べねばなりません。
そ ....
風にふわふわレジ袋
器用に車をよけ
ひとにぎりのおなら
ポテチあい
口笛
イヌは見てない
フリをしている
山のむこう
泡のようにぶくぶくぶくと入道雲
「ぼくは雲を作ること ....
いつも駅まで歩く道
朝が早いので
その店はまだ閉まっている
どうやら花屋らしい
けれども
見るのは灰色のシャッターだけ
盲目的に一日を働いた
マニュアル通りに忠実に
終わりのない繰 ....
可愛い花が
咲きだした
小鳥のくれた
プレゼント
君はいったい
誰なんだろう
友達同士は
そのとき気分で
だなんて
なんだか寂しい気がするな
友達だと思っていても
困ったときには知らんぷり
お釈迦様の蜘蛛の糸。とっくに切れてしまったよう
ファイト・ ....
おじいちゃん
炒めるつもりも まるでなく
ただただ あなたが 刻みつくした
玉ねぎ一家から 飛び散った
汁の残霧が わたしの目にも ちょっとだけ しみます
でも、わたしは あなたが ....
人ごみの平日はどこにも排気口がなくて
呼び捨ての間柄がどれくらい大切なことかを知った
ひとりで歩く 眩しさが送っている
啓蒙とかスピリチュアルとか癒しとか
生き方の模索
悲しみの何割かは ....
茉莉花はこのごろ 勉強してる
子どものころからの 夢を 叶えようと
茉莉花にとっては 今までに流した 涙 ぜんぶ すくいあつめて
シューパロ湖ひとつ つくるくらい たいへんなこと
で ....
世界が急速に色褪せて
景色はぼんやりと滲んで
過去と現実の境界は曖昧で
夢と現は混濁する
浮かび上がる記憶の断片だけが
鮮やかに色付いて
現れる ....
「もしもしかいちゃんいますか?」
かいちゃんは今日も
おもちゃの受話器を耳に押し当て
どこかへ電話をする
「もしもし もしもし」
まだ言葉にならない言葉で
一生懸命お話をす ....
{引用=
一、星が生まれた日
少年が落としてしまう、
それは
あまりに
優しいもので
いつまでも思い出は
少女のかげをしています
....
梅の咲く 古都にうまれし 新しき珠
暇潰しに入った近所の小さな図書館で 私は自費出版で出したある詩人の詩集を見つけた
この詩人は名も世間に知れ渡っておらず 芽の出ないまま死んでしまったらしい
春の日溜まりの中で読む詩集は 輝い ....
俺はインターネットカフェでスカウトされた、
とにかく本格的なホームページを作りたいとのことで
W3Cの勧告に対して正しく記述したマークアップ言語の
謂わば真っ当な【ホームページ】を作れという
....
寝乱れて 残り香の 漂う
翌朝に 睡眠薬の 後遺症
やってくる あなたへの 依存症
ふあふあと 歩いては たどり着く
通勤の 満員電車 へばりつく
....
いつだってきみは笑いながらやってきて
灰色だらけのわたしのココロの
いちばん奥の奥底にある
ひみつのスイッチにふれていく
いともかんたんにふれていく
そして世界はきれいなみずいろに
満員電車の中のつり革を
片腕を伸ばしたまま
必死になって握り締め
このつり革は自分ものだと
態度で主張する
そんなわずかな場所が
そんなに欲しいのかい
数分後にはみんな降りてしまうよ
....
北国にも短くて長い夏がやってきた
こんなところでそだったから、素子はあつさに弱い
ぎんら ぎんら の お陽さまは こころを もえたたえてくれる
でも 素子のけあなは すくなすぎる
お陽さまが ....
吟遊詩人は詠うでしょう
小さなひとつの島国を
四季折々の
顔がある
小さな小さな島国を
吟遊詩人は詠うでしょう
春には
梅の木が香り
桜が咲き乱れ
至る所で生 ....
笑顔を求められ
強く生きることを求められ
死ぬことも消えることも許されず
貼り付いたペルソナは次第に現実と乖離し
ひずみは徐々に大きくなり
もうもとの形を失って ....
家も無く
吾を知る者も
今は莫し
根無し草とぞ
人は言ふらむ
風荒ぶ
夜の旅路に
光差す
命の灯火
いざ、行きめやも
黎明に
はためく翼は
輝きて
火の粉振り ....
頭が割れそうに痛い
昨日から僕はどこか
大切な思考回路を落として来たように思える
正当化しなければ保てないアイデンティティーの前には
僕という一生命体では抗えない
なぁ、否定したいだけ ....
白と黒の密林
そいつがこのノートです
はあはあ
詩、
詩はありますか?
「ありません」
無愛想なおばさんが言う
白は詩
黒はそうじゃないもの
この詩は
白? 黒?
胡散臭い灰色? ....
年を重ねる度
少し背伸びをした
大人になったね
そんなふうに思われたかった
3年前にとまった身長と
手のひらサイズの心
変わらない自分に苛立ちと不安
変化という義務感に圧迫さ ....
ねぇ、昨日ロンドンから帰って来たのね
「卵が孵化していく」
ランチには野菜と、豆腐のスープを創ったのよ
「ヨーロッパで錠剤が廃止される」
空回りしすぎているわ
....
空から堕ちた星のカケラと
春のはかない桜の花と
迷えど天秤
決めかね憐憫
月の静かな雫の涙と
夜道に影する小さな街灯
夜道は神秘
はかない心機
迷えど天秤
決めかね憐憫
....
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