なんにもない
なんにもないこの界は
ただ白く白く輝いて
音を響かせ和んでいる
響く音はそのうちに
透き通った奥行き旋律
形造ってくっきりと
光の輪となりループする
あふれるあふ ....
朝
君が
遠浅で
わたしを
呼んでいる
幸せなゆめを
見ていたいなあ
水がつめたく
感じる様な
繊細かつ
美しい
君の
夢
昼
私は
海の先
蜃気楼を
じ ....
スパイスと宝石の匙で
耳を穿られる
《誰の膝が欲しい?――
頭の中から始まる旋回舞踏
透明な花びら 光彩のミスト
すぐに船内の浴槽が揺れるよう
隠れた海が押し寄せて捲れだし
突 ....
何度飛び降りようとしただろう
日々続くこの原因不明の激痛に
その都度、何か引き戻す力が働き
こうして生きているこの己
一回目はただただ驚き
二回目は俄に怪しみ
三回目で了解した
....
ドアを開け
右足から宇宙へ
夜に青く消える
帰る場所なんて
なくなってもかまわない
そんな気持ちで消える
知らないどこかにたどり着いたら
....
夏の夜、
死者の眼は見開かれたまま
わたしを凝視し
私は、
その濡れた瞳を通して
異界の存在たちを
観ていた
内から内から
内から立ち現れる
それらの眼差し
はまた、
わ ....
「おーい おーい」
と誰かが大声で呼んでいる
ドラッグストアの狭い通路
こんな時 こんなところで
大声で呼ぶ声なんぞ
知らない人に決まっている
振り返ってはろくなことは無い
と知 ....
ーちゅるるるーるるー*ー*
繊維を打つような花のワルツが聴こえてくる
※人間二人の姿
同じことをくり返す鳥の話し声には飽きたけど
猿が笑うんだよ、僕は猫そのものだって
やつらに犬をけしか ....
ぼくは雑巾になりたい
雑巾になって絞られたい
愛する妻の手で絞られたい
毎日毎日絞られたい
雑巾のぼくで愛する妻は
ぼくだと知らずに床を拭く
ぼくたちの日日の暮らしのために
毎日毎日 ....
気がつけば
三階席の片隅にいて
タリス・スコラーズのハーモニーに
君の耳は
空中浮遊する
悔い改めるでなく
道を求めるでもなく
真実に目覚めるはずもなく
美しさそのものとしての ....
小鳥たちの鳴き声
ここはドームだろうか
不思議と羽の音がしない
首筋から胸もとにかけて
蝋の塊は溶けて垂れていた
とっくに扇風機は止まっているのだ
目が覚めるのはいつもこんな調子で
....
白い霧に覆われて色褪せた世界
山と街に被さっている
蝉と暑さと湿度が
どうしようもない倦怠を引き連れる
他にも排気ガスの熱風とか
首の無い鳩の死体とか
濁った川の流れとか
何でも無い ....
光、響き輝く
内底から内底から
響き輝く、光
創造され創造され
光、響き輝く
広がって広がって
響き輝く光
闇の領域、貫く
閉域を逸脱し狂い
魑魅魍魎跋扈跋扈、
....
150729
軍事政権を倒せ!
威勢のいい声を腹の中に納め
今日も訓練に精を出す
一家に一人は義務
2人ならばなお良し
3人ならば尚更良し
どこまで続くカーキ色の ....
丘にぽつんと咲きました
海が少しだけ見えます
キミの声が聞こえてきました
耳を澄ますと
キミの指に摘まれました
カーテンの隙間に
ボクをかざると ....
遠い遠い遠い造形
しなやかに湾曲しながら 沈んだ緑の空間を 静かに静かに生き生きと 近づいて来る近づいて来る
呼ばれ聳える一つの像
(記憶の堆積を貫いて、
常に不断に潜むモノ)
....
「ろくでなし」
我がロクサーヌ
臈長けたその唇で
いたぶるがいいさいつまでも
でもときどきキスしてロクサーヌ
見た目なんてどうでもいいことさ
中身のない石炭袋のようなものさおれ ....
赤い光を背負った父が
海の彼方の岩山から帰ってくると
闇色のかまどに張り付いていた
母の顔が白く浮かんで
子ども達の祭り囃子が
囲炉裏の周りをはね回った
しがらみを肴に
また一杯
まったく酔わせてももらえないや
生まれて初めてネット喫茶へ行って
ベッドのように深くもたれかかる事の出来る大きな椅子に座って以来
僕は椅子に深く腰掛けるのが好きになったのかもしれない
いつかあの椅子を買うことを夢見て
そ ....
土色をした歳月の掌が
猫の舌のようにざらつく突起で
軟らかな思想を舐め取っていく
塩責めされた蛞蝓は
実はそっくり中身だけ
粘膜を抜け出し
逃げていた
{引用=「それは 思想 ....
150726
車ごと埋められた僕たちは
炎暑の中で窒息している
国の成り立ちはかなり暴力的だと信じているので
これも新しい国への礎になれるのかなと信じて
酷暑の中 ....
暗闇迫り
バタフライ飛び回る
紫と黄の鱗粉を撒き散らし
なんて美しいのだろう
どうして誰も気付かないのだろう
誰も居ないからだ
衣を剥がされ
さ迷う誰も
喧騒の街と悲鳴の肉
....
青空が燃えている
遥か天空が
ガスバーナーの火みたいに
青は温度が高い証
僕達は炎に向かって落ちないように
重力にしがみついている
僕らが時々
眩しさを堪えて空を見上げるのは
あの ....
心が火照っているうちは
心が急いているうちは
詩は生まれないよ
魂がズキンと静かに脈打った時
詩の言葉は落ちてくる
宇宙を舞う詩の言葉が落ちて来るんだ
興奮は不安と恐怖の裏返し
....
フリーマーケットにはまさかフリーダムは売ってはいないが
団地の夏祭りのフリマに無職の37歳
嫁に食わしてもらっている松岡君と出店することにした
家に眠っている書籍が主体で
売り上げの半分は ....
想いを切り刻んで 記憶は泣く
スマートホンもデジタルカメラも 人の目に映らなかった頃
思い出を自販機で買い取った彼女の空は
空白のまま歳月を渡る
数年前傍にいたはずの笑顔は カラカラに ....
伝えんとする意志が世界をきりとるとき
言葉が生まれるのかもしれない
飲みにさそった結婚前のきみに
きちんとこれからのぼくの計画を話そうと
想ったがなにもなかった
あなたの推薦をうけな ....
海が
光の海が
広がる狭まる
明るみ眩んで
暗まり遠退き
揺らぎ揺らいで
静まる感覚
奥まる意識
秘かな降臨
気づきの一瞬
凝視の息切れ
いつもの ....
150722
中三の音楽の授業中のことでしたが、
子守唄を教わっていた。
と言っても教科書の楽譜を見ながら
皆で合唱するだけなのだが
理論はともかく
一度唄えば覚 ....
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