すべてのおすすめ
ゆずちゃんが「こばやし おかあさん」と わたしよぶ
三歳・娘に 幸せ教わる
気休めな水に放てば金魚らはひと夏きりの命を泳ぐ
六月に不似合いなほど晴れていて昨日の雨がわたしを映す
透明な花瓶の中で紫陽花の茎の模様が屈折してる
雨か汗滴り落ちて黒く染み黒いTシャ ....
屋根裏の秘密の部屋でふたりきり禁じられた遊びをしようか
動かないで君は僕のお人形着せ替え遊びをさあ始めよう
庭に咲く色とりどりの花よりも君の奥に咲く薔薇を見せてよ
妖精を小瓶の中に閉 ....
北風と太陽のけんかに巻き込まれてしまった男のはなし
自分さがしの旅に出て大人になって白鳥だったと気づくおはなし
恋という病に罹ったばっかりに海の泡になるしかなかった
有り金を竜宮城で ....
天国はまいにちまいにちたのしくて善人ばかりのおそろしい国
使い捨てやいばばかりがふえていく捨て方だれかおしえてください
犬の背のオーストラリア大陸が明日も平和でありますように
明け方 ....
あたたかな子宮にずっといたかった産まれた寒い不条理だ
泣く
一歳のたんじょうびには一升餅を背負っている理不尽だ
泣く
おもいきり泣いたらいいよ明日きみがどんな顔でもそれがいいから
....
人の不幸を祈るようにだけはなりたくないと願ってきたが
ふとくちずさむ怜子
噴水はその尖端から凍りゆく わたしも液体を手放してゆく
目を閉じてうしろむきにすすみます一メートルがわたしの限 ....
忘れない364日は忘れても一月十七日だけは
耳掃除している人の眼球は見ることのない穴を見ている
てのひらで雪ひとつぶがとけたあとあたしのからだに吸収された
最終便は出たあとです告げら ....
巣立ってく太陽を見て何を想う太平洋の水平線よ
太陽が溺死してゆく日本海産めない母の夜の心音
セロファンを越して会いたい真実も嘘もおまえの言葉なら良い
存在が薄まるきみが遠くなるパーカーの(柄)(色)(かたち)さよなら
先生は、いヽえなんでもありません
くっき ....
図書室に夕日が満ちる放課後にそっと抜き取るような逢瀬だ
切ないという感情を愛しすぎて斜めに磨り減るヒールのかかと
あの人に抱かれるために降りる駅踏み外す白線が問うてる
タピオカをやさ ....
いちょう葉が片羽みたいに見えるからキミの背中が少しかたむく
空白は空白のままここにいて時折くうの音きかせてくれる
木枯らしにフードかぶればおおわれて冬ごもりする巣穴みたいだ
永遠に失 ....
古墳をめぐり
京都駅前に集まり日帰りの古墳巡りに三人ゆくなり
妹と待ち合わせなり遠くより確かに見分けやはり妹
発車する師走の朝の国道を吾等のバスは朝陽を受けて
東山七条交差点 ....
あこがれを披露しあった思春期の母恋うた子の願いはいまも
日日を綴り往復はがきで送ります返信ください優しい嘘で
「優しい」に誰も居ないと「憂い」だと気づく部屋には一輪の紅
暗闇に明滅してるテレビジョン孤独な夜のためのスタンス
ぽつねんと机の上のエンベロープ誰に届けるあてもないのに
冷蔵庫の独り言を聞きながらひとり眠れずにいる真夜中
恋しいと淋しいはきっ ....
悲しみの透明なあり方よりも楽しみの存在の軽さに
たちまちにうっかりうかれ浮遊するさみしさをのむホットチョコレート
そこからはおはようさまにこんにちはさよならにさよならする憎しみ ....
わたしにふれてと誘う水銀のふれればおかされてゆく毒
水の系譜もとをたどってゆく指先で、彗星ながれる
熱の朝水銀のメモリゆっくりと伸びてゆく儀式、生殖
だれとも手をつながないでどこへゆ ....
破らずにれんげに乗せた小籠包 箸で突き吸う唇熱く
ラウンジであけたワインの残り香を求めボタンをふたつ外した
前に行きたくないだけで本当は難しいこと言いたくなくて
....
かけひきを手放したあと一本の綱は誰とも手をつながない
おそらくは終わりのない作業と思うどこまで磨くか靴磨くように
憂鬱にふりかけられた粉砂糖かけられたまえこうべを垂れて
つまらないこ ....
虫の音は過去から届くメッセージ紐解きながら浅い夢みる
つかめばするりと逃げてゆくとかげのしっぽに似た夜だ
まだら雲見ている猫の背中にもまだら雲がひとつぽっかり
朝起きて歯医者の予約を ....
やや黄味を帯びつつ光る宝石が恋しい海を呼んでます、ほら
台風のあとの野原の美しさ触れればくずれ珠の水々
絹糸でつながれた白玉の一番端にわたしをくくる
宝石箱のいくつかはイミテーション ....
パソコンのシステム用語の七並べ これ読めますか これ読めますか
独りでも楽しみ方なら知ってます不正アプリの読書コーナー
ネットすら関係なしに生きてます母の身元は世界でシェア
あ ....
夕方にややふくらんだ足があり人も満ちて夜をむかえる
それぞれの耳にはそれぞれの音あてがわれてイヤフォンの白い線
半分にきっちり分けること出来てやっぱり冷たいアイスモナカ
飛び立ったば ....
どの君も覚えていよう桟橋にやけに激しい風が吹いてる
僕だけを乗せぬ列車のわすれものやけに激しい風が吹いてる
無名指で前髪を除けきみは言う「やけに激しい風が吹いてる」 ....
ぶらんこの夕べはいつもさみしくて百を数えておしまいとする
日陰にはどくだみの花みっしりとわたしは毒を愛しています
砂山に取り残されたスコップは誰かの置いた傘の中にて
夏になるほんの少 ....
くちびるから悲しみのエコーもう二度とさよならなんて言いたくないのに
金色の雨になって会いに来て閉じ込められた私はダナエ
ひとしずく君の涙がこぼれたら小瓶に入れて取って置きたい
聴こえ ....
おしみなく愛をそそいで枯れさせてあたりいちめんプールの匂い
この先でアラームが鳴っていなくても立ち止まらないでください、と声
あかあかと尾びれ背びれが生えていき あとからあとから水 ....
半音下がった5月に
飛行機雲とポケットの中のちょっとしけた煙草
わかったつもりの自分に言い聞かせてまた
あらたなる接触をこころみる深さをはかる浅瀬で
風のなかにきざまれているもの
そ ....
友達はいないし恋人もいないし誰にも助けを呼べない都会
何もかも自分でやらねばならぬこと 誰も近くにいない寂しさ
「大丈夫?寂しくないか?」と母が訊く 「寂しくないよ」と強がってみる
....
キャスターが告げるGWの始まりに壁の暦がもてあます明日
人様の都合を聞かぬこの星を苛めるために振りかざす鍬
白米に気色の悪い虫が湧く結局おんなじように生きてる
要するに食物連鎖のくく ....
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