目的地を知らされていない旅路の途中はみなトランジット
不安定のエネルギー浮上して高気圧
空に立ち上る灰色の龍、雷
絵葉書に古い遺跡の写真ありどこか懐かしい気がする夏
蝉蝉蝉、は ....
イタリアの空を見上げた夏も、すでに思い出
大理石造りの建物の前で ニセ物のサングラスの束を売り歩く怪しげな商人がいたり
客を引き止めては 買えと迫る 石畳に並べられた絵はいんちき臭くて
....
山へ帰りながらふといつものうたが
歌えないことに気づいた
村の畑で菜をついばんでは涼しい枝でやすみ
仲間たちとじょうだんを言い合ったり
洟垂れ小僧たちを少々おどかしてきをはらしたり
....
沢山の言葉が降り注ぐ夜
沢庵 バリボリしながら
読み下すことなんて しない
食べ下すことなんて 勿論ない
漬物は 余り 得意じゃあ 無いんだ
そんな 言い訳を 繰り返しながら
....
120818
最近は、お米が余るのか
カロリー換算だとジャガイモよりも安い感じだなと思ったら
輸入米だった
海の彼方から運ばれてきたのに
....
花で飾られた墓地は
東京のようにさみしく
思い出は
人と人との間にはいない
誰のものともつかずにひとり
野ざらしでいて美しい
見ず知らずの人に会釈をして
道を譲ると
僕はひとり ....
雲が湧く
あの水分はかつてどこでなにをしていた
洗顔の水
水溜まりの水
波
せせらぎ
涙
こぼしたジュース
幸福というものもそういったものなのだ
幸福というものも
あの優しさやあた ....
心の中のゴミを掃く
ざぁ、ざぁ、という
あの音を聴け
塵一つ無くなった心の中の
真空の庭に
ひかりの鳩が降りてくる
そうしてひかりの{ルビ嘴くちばし}は
開き
....
{引用=
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蝶が
土にたかり
互いの喉に触れ
青い夢を見せる
幾度もの成熟
生まれ変わりを
軌跡を描き
焦がされている
羽が
また地面に落ち
辿りつけない木陰に
終わらない
あなたが死んで ....
きみらは冷酷で不条理なこの世界を変え
新しい世界を創りたいと言うことに
ぼくは一切何の異議も唱えない
でもきみらの遣り方は間違っている
きみらの遣ろうとしていることは
破壊やテロと同じ行 ....
ここには
小さな岩の塊と 冷たい流れがある
登って岩の頭に立つ
柔らかく乾いた苔のジュータン
その邪魔な苔を無残に剥ぎ取り川に捨てた
何千年もの間 誰にも触れられた事のない世界と ....
ああどうして
あなたは、貴方は
赤の他人の私の前で
私が見ていた数秒後で
その黒と黄色の不可侵圏を
飛び越えて、乗り越えて
サーチライトに照らされながら
何を思って、どんな心で
大勢の ....
忘れ物に気がついて
もと来た道を引き返す
立ち塞がる湿気
項垂れた街路樹
焦げた揚羽蝶
嫌々巻き戻される遊歩道
本当は忘れたままで
良かったのかもしれない
纏いつく濁っ ....
そらくんたちと
子供公園であそぶ
気温36.2℃
親たちは木陰に避難し
子供たちだけが
めまいのする夏のさなかの灼熱を
嬉々としてうけとめている
なつをワンダーランドに変える魔法を
いつしか使えな ....
どんな美しいひとを
思って
いや、前にして
あなたは言葉を紡ぎだして
いるのだろう
甘く柔らかい感触は
いつも あたしの心を
くすぐるのだ
大きな体のどこに
少女のよ ....
どんなひかりになにを見つめていたのだろう
彼女をさいごこの世で彩ったひかりたちに
なんどもなんども
ありがとう言いながらぼくは震えている
髪の毛の生えていない頭にかぶってい ....
仏壇がはなやぐことよ
ようきんさったなぁ
帰省した一族らぁが
各地の土産を並べていくけんど
こがーに食べられんでのう、おかあさん
おとうさんはビールがありゃあ良かけん
ほいでも黄色い菊と白 ....
憧れは青空高く浮かぶ雲の上
いつも そこから見上げれば
勇猛が空彼方に群立つ
届かなければ届かないほど
人は触手を伸ばしたがる
子供だって大人だって
雲に乗っかれる憧れの姿は
み ....
みて
水曜日が
からからに
干上がっている
じょうずに染まってみても
ここには誰もこない
ババババリバリ
爆竹ならす
はじけて散る
散り散りなって
どこへ
煙る、夜空の上に曇る
たぶん史実はほどほどに、くり返す
わたしもどこかでくり返している
軟い心臓の奥にある ....
おかあさん
おかあさーん
わたしを産んだ日は
晴れていたと聞きました
満開のサクラ
初夏のような西陽のなかで
汗をかきながら
わたしを産み落としたと。
産院の名前を覚えています ....
今年も帰って来ないか。
と、隣り その隣りの家の 墓掃除に来たと言う。
ボトルの水滴を拭き取り
口に含み微笑む
恋しくて
無言のままに 人恋しくて
老いたその指で 草を抜く
まるごとわたし、なつごもり
こんな季節なので
あなたと顔を合わすのもおっくう
真っ盛りに教室漬け
教科書ノート参考書の順で
男子と女子が、かたちもなく
見えない上下運動をくりかえす ....
何かを失うということは
あまりにも日常的なこと
そしてそれが二度と戻らないことも
人が自ら行おうとする
生活に必須なこと以外の多くは
これらの穴埋めや消失感の緩和のため
それが ....
となりのまちから
ひとえき切符を買うより
ぶらぶら歩いて行こうと思ったのが
何かの間違い
閑静な住宅街を歩いていると
だんだん道が狭くなってゆき
家も密集してくる
もとの道を戻ろ ....
あなたの発見を
ぼくは言葉にできる
そうやってふたりは積み重ねてきたんだ
ぼくに言葉にしてもらえなかった発見は
これからふたりで暮らす何十年のうちに
一つ一つかならず ....
ベンチに四人家族が
あの夏を集めて
薄い木立の向こう
ジェットコースターの嬌声が上がる
奇妙な家族は動かない
リストラを告げられなかった父親は
濃紺のコートを着
行き交う家族づれのさざめ ....
苦々しい限りの“本音”を
彼女は黙って受け止める
そして、私をまっすぐ見つめて笑った
「まったく、口が悪いんだから!」
私も意地の悪い顔でふふんと鼻を鳴らし
「お互い様でしょ ....
この湖の水面に移る世界はキラキラ輝いていて素敵
真っ暗な世界も心も照らしてくれる
神秘的な明かり
あの月へ行けないのかな、なんて
そっと裸足になって水面に足を付けてみるけど
いつ ....
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