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豊かさの中で
ぼくたちは泣いている

ほしいと思ったものが
いつでも手に入るから
いつでも捨ててしまう

持つべきものがなくとも
誰かが持ってきてくれる

便利さだけでは
豊かに ....
夕陽が呼吸する
昼を吸って
夜を吐いてゆく

夕陽が広がる空は
とてつもなく大きいけれど
その呼吸は
かすかに揺れているだけ

夕陽は静かに呼吸する
微かに夜を吐いてゆく
全ての ....
その日の夏が始まる
トンボが空をすいすいと
気持ちよさ気に飛んでいる
空は泳げることを
初めて知った
昨日も見たというのに

その日の夏が折り返す
繁る木々の葉がさわさわと
軽いリズ ....
空が滲んでいる
夏の午後の昼下がり
遠くからだんだんと自分の方へ
その暗闇が近づいてくる
あっという間に
滲んだのは空だけではなくなった
明確だった単語や熟語の中を
その雲は浸透してくる ....
自然の中を吹き抜けてゆく風は
循環している
その中で生き物は同じ場所で
絶えず同じ命を繰り返す

街の中を通り抜けてゆく風は
まっすぐに流れている
その中で生活する人々は
絶えず便利さ ....
以前にも書いた通り、自分はこの現代詩フォーラムの投稿から
詩歴が始まる。
今まで詩を書いてこなかった自分にとって、どうやったら
詩をうまく書けるのだろう、そう思いながらあれこれと
考えていくう ....
気づいたら
自分の後ろに
千の詩がこぼれていた
足跡とともに
時には運命に悲しみ
時には人に喜び
生きてきたことを
生きていることを
感謝する
まだ前に道は続いている
そう
まだ ....
らしさ
それは君自身
そして自分の目標を
乗り越えられたときに
初めて生まれるもの

らしさ
それは君の過去
何度となく苦しんだ
そのつらさを味わって
培われてきたもの

らし ....
風が立ち止まった
蚊取り線香の煙が
まっすぐに天井へと昇ってゆく
一匹のハエが
ぼくの前を通り過ぎる
振り払おうとしても
もう飛べない
風は今も立ち止まっている
夏の夜が固まってゆく
 ....
何かをしたかったけれど
何もできなかったあの時の
あの空に
苛立つ自分の気持ちを投げていた
あの白い雲にもう一度

夢を持ちたかったけれど
何も描けなかったあの時の
あの空に
悲しい ....
立っているだけで
汗が落ちてくる夏の
その夜
星が飛んでいた
短い夜の間だけ
羽ばたいていた
月へ向かおうとする星
大地へ降りようとする星
それぞれの運命に従って
音もなく
飛んで ....
夏の朝
自転車に乗った白い半袖たちが
自分の背中から追い抜いてゆく
夏が起きる

背中にはラケット
自転車の前かごには大きなバック
白い半袖たちの顔は
どこか緊張している
これから白 ....
夜の夏がほのかに飛んで
闇の中に夢を描く
この世界に音は必要としない
ただわずかばかりの光だけが
飛びさえするだけで
夜の夏は十分なのだから

夜の夏が静かに飛んで
闇の中に夢を灯す
 ....
夜明けとともに
目的もなくふらふらと
外を歩いてみる
そこの夏は冷たかった

葉の上の雫に触れ
その一瞬にしかない冷たさは
手のひらの中で
やがて消えてゆく

川のせせらぎの音も
 ....
今まで見えなかったものが
見えるようになった
自分が生きている今の世界が
迷路になっている
高い壁と細い道しかない
何も拠りどころもなく彷徨い続けると
展望台と書かれた案内板があった
そ ....
暴風で倒れたトウモロコシ畑の
その隣で新しい工場が建て始められ
太い鉄骨がまっすぐに立てられた
まだ収穫されていないままの
その実を背中にした
作業員の目は悲しそうだった
鉄骨は太陽の光を ....
夜の列車から見るその風景は
何も動いていなかった
駅を出発してから
ずっと走り続けている
次の駅はもうすぐなのだろうか
それも定かではない
四人がけの座席に
自分だけかぽつんとだけ
窓 ....
風は言葉を求めていた
無言で動き続ける自分に
自分の存在を
何かにあるいは誰かに
伝えたかった
街は重厚な壁に遮られ
跳ね返されるか
止められるかで
風の居場所はなかった

風は森 ....
大人になんてなりたくないと
思った時から
ずっと星を探していた
将来への自信と
可能性への期待に満ち溢れて
星は必ず見つかるものと
全ての人に全ての星があると
それが当然だと思っていた
 ....
夏が黄色くなってゆく
太陽の色に近づいている
夏をぎっしりとつめて
鮮やかな黄色になってゆく

黄色くなってゆく夏は
水に中に落ち
ぷかぷかと気持ちよさそうに
泳いでいる

近くで ....
今日は校外学習の日
「学校の中にはないものを
たくさん学んできましょう」
校長先生のあいさつが終わると
バスに乗って決められた場所に
向かっていった
どこをどんなふうに走るのか
ぼくには ....
森の中で
がばっと大きな口が開いていた
大きな口は
緑色の歯をいつも見せていた
晴れた青い空の中で
流れてきた白い雲を
一気に飲み込んだ
歯が揺れている
近くまで寄ってゆくと
自分が ....
都会の道路に沿って
綺麗に並べられた街路樹は
まっすぐに立っていたが
その緑は曲がっていた
歩行者や大型の車に合わせて
その枝と葉は
捻じ曲げられていた

緑はいつも
土や大地の色は ....
これから向かう家庭教師先の
国語のテキストを
電車の中で読んでいた

その内容はあまりにも悲しかった

戦争で両親を失い
家もなく食べるものも満足いかない
それでも生きようとする
子 ....
鉄は錆びていた
光沢は外に発しない
錆びきっていた

鉄は昔を思い出した
あの銀色に輝いていた自分を
当然だと信じていた
今はぼろぼろな茶色の体が
悲しかった
雨に濡れて
少しずつ ....
そこに風があった
葉を揺らし
湖を渡っていた
やがて街へ
そして自分へ

そこに風があった
花に触れて
川を横切った
やがて海へ
そして彼方へ

一瞬の風は
また一瞬の風へと ....
ぼくはサッカー部のヒーロー
試合で何度もハット-トリック
もうぼくなしでは試合には勝てない

まさに今
強豪チームと対戦が始まった
早くも味方からボールを渡される
まずはドリブルで前へ
 ....
雨が止んだ
そして他の誰よりも
最初に光を見たのは
ぼくだった

光は止まっていた
その光をくぐるようにして
白い蝶が飛んでいる
風も止まっている

雨が止んだ
閉じていたものが ....
父の傘は
とても大きかった
雨が強く降ろうとも
何の心配もいらなかった

父はその傘を
若い時に買ってから
ずっと使い続けていた
何度か壊れかけたが
それでも修理して使った

雨 ....
ある日
耳を失った少年は
歩いている道で翼を拾った
少年はその翼を背中につけて
ふわふわと自由に飛んだ
何も聞こえるものはなかったけれど
少年は音を取り戻した

ある日
目を失った少 ....
北大路京介さんのぽえむ君さんおすすめリスト(294)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
豊かさの中で- ぽえむ君自由詩18*07-12-1
夕陽が呼吸する- ぽえむ君自由詩15*07-8-9
昨日も見たというのに- ぽえむ君自由詩16*07-8-3
空が滲んでいる- ぽえむ君自由詩19*07-7-30
循環する風- ぽえむ君自由詩14*07-7-29
「とりあえず1000投稿」を終えて- ぽえむ君未詩・独白21+*07-7-28
千の詩- ぽえむ君自由詩20*07-7-27
らしさ- ぽえむ君自由詩7*07-7-27
風が立ち止まっている- ぽえむ君自由詩7*07-7-26
あの白い雲にもう一度- ぽえむ君自由詩15*07-7-26
星が飛んでいる夏- ぽえむ君自由詩11*07-7-25
白い半袖- ぽえむ君自由詩6*07-7-25
夏の夜- ぽえむ君自由詩10*07-7-24
冷たい夏- ぽえむ君自由詩23*07-7-24
迷路- ぽえむ君自由詩11*07-7-23
鉄筋とトウモロコシ- ぽえむ君自由詩11*07-7-22
見えない車窓- ぽえむ君自由詩6*07-7-21
風の言葉- ぽえむ君自由詩13*07-7-21
星を探していた- ぽえむ君自由詩20*07-7-20
黄色い夏- ぽえむ君自由詩15*07-7-20
校外学習- ぽえむ君自由詩5*07-7-19
森の中の口- ぽえむ君自由詩9*07-7-19
緑が曲がっている- ぽえむ君自由詩13*07-7-18
それでも生きている- ぽえむ君自由詩10*07-7-17
錆びた鉄- ぽえむ君自由詩11*07-7-17
そこに風があった- ぽえむ君自由詩10*07-7-16
ヒーロー- ぽえむ君自由詩3*07-7-15
雨の後に- ぽえむ君自由詩14*07-7-15
思い出パラソル- ぽえむ君自由詩5*07-7-14
ある日の拾い物- ぽえむ君自由詩11*07-7-14

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