死期を知る傷病兵の夜が来て台所にて冷蔵庫唸る

瓶詰の白アスパラガス身を寄せて標本のごとひっそりとあり

乾きつつあれど鯖の眼の色は捕らまえられた日の空のあを

家々の軒先飾るべく斬ら ....
 もう亡くなった女性患者さんとの会話で、今でも印象に残っている言葉がある。その人には夫がいたが、その昔、ある若い男性と愛人関係にあったそうだ。ところが、ある事がきっかけで40代半ばにして自分から20代 .... スカートの端をちょっと摘んで
ひらひらと踊ってみたい。

スカートのひらひらは
朝顔みたくてなんとなく可愛い。

なんとなく可愛らしいしぐさに
ひらひらのスカートがあれば
僕はも少し
 ....
線路の向こうを街がながれる。
中刷りを睨んでる男の前で、
女子高生はケラケラ、
大事な話にまだムチュウ。
ドアにもたれて外を眺めるあのムスメが正しい。
ボクもイヤフォンで耳を塞ぎたい。

 ....
美しいもの
午前3時にファミレスで団欒する若い家族
美しいもの
駅の改札口で抱擁し口づける不細工カップル
美しいもの
不出来な部下に怒鳴り散らす不倫上司
美しいもの
後輩にジュースを買い ....
ある日とても落ち込んでいた私に鼻の長い象が話しかけてきた

君は空に継ぎ目があるのに気が付いてしまったのだね

私は空に継ぎ目があるのに気が付いてしまったの

苦しいの

それはすごく ....
男を好きになる度に
彼女の体から火薬の匂いがするの


情熱はジリジリと 
へその下から入り込んできて
体中を燃やして行くのよ
 だから いつも
骨の焼ける匂いのする
彼女の手を ....
今日電車のホームで君を見たよ。
君は向かいの電車でつまらなそうに
流れる線路を見ていた。

どうしたんだろうと
メールしようかと思ったけど
なんて書いていいのか
分からなくて

閉じ ....
雨にかすんだ街を見ながら
少し寂しくなったので
あなたの言葉を思い出しました。

水溜りの中に
小さな小さな雨色の町があって
その町では
どんな事でも虹色に綺麗なんだ

あなたはどん ....
薄青色の透明な空に
白い大きな鯨の尻尾
鯨は自由で気まぐれだから
日が昇りきる頃にはもう
どこかの国に泳いで行くんだ
でも優しい鯨のことだから
また会いに来てくれるだろう
僕の吐いた煙を ....
愛なんて見返りのない商売さ
アタシはそういう母やってんのさ
バカヤロウって抱きしめて
ナミダなんかもみ消して
雨の日も嵐の日も弁当だけは欠かさないで
反抗期ってのと格闘しつづけ
 ....
いつか 夢は科学と名を変える

そして 祈りは綺麗事と名を変える

人は 死ぬために生きるようになる

こんな愚痴が 真実と名を変えたりする

そんな真実が 今日も 世界を 変えていく
どうしてあのとき

空に手が届くと思ったのだろう



空を隠していたのは
紛れもなく



僕自身の手のひらだったのに
たとえば勉強すること
勉強が大切なんじゃなくて
勉強することが大切だと思う事

たとえば人を好きになること
好きな事が大切なんじゃなくて
好きになれることが大切だと思う事

たとえば父 ....
あおくひろがる海
きんいろの空の境

ひかる波も白雲も
遠くて浜
ふたりで歩いて浜

ただ この一時だけでも
私とおなじく想ってくれれば


仰いではみおろす

  ―(わた ....
*翔る*

頭上の
ヘリコプターに向けて
大きく両腕を振る
「おーい」って叫んだ
何度も叫んだ
声だけが
翔けていく



*風*

自転車の
ペダルを漕ぐのも
間に合 ....
放った言葉は
宇宙葬
想われた言葉は
さようなら

糸の切れた凧のように
僕は自由ですね

されど
日々は変わらず続き
空の色さえ失っていません

その普遍性に
安堵し
途 ....
一歩前に踏み出した足
 一歩後ろに下がる地面

たぷんと揺れる水
 とぽんと跳ねる金魚

ほらご覧と覗き込む僕
 あら綺麗と覗き込む君

うつむくしかなくて
 うつむくしかなくて
 ....
  窓の網目の向こう側


  揺れる緑

  ブランコの白

  減りゆく隙間から

  時間を走る

  自転車の銀


  今日の内側は

  青い空のおかげ ....
「えくぼ」


六月の風にゆれる
さくらの葉っぱ。
よく見たら
ぽつぽつ 穴があいている。
虫に食べられてしまったのだろうか?

穴は どこかの虫の命を みたして
穴は みずみずし ....
大好きですと

声に出すのが

照れくさくって

何にも無いけど

僕の人生を

君にあげたらば

それは僕の

傲慢かなぁ。
「日本(にっぽん)で
戦争なんて
あったんだ」
小学生の
弟おどろく

 聞いて驚け 相手はアメリカ

アメリカに
パールハーバー
あるならば
日本にあるのは
広島・長崎

 ....
静かなそらを見上げると

無数に星がみえました。

東京では息がくるしくて

毎日仕事に来るたびに

目がかすんでしまいます。

故郷はどうだったろう

そんな事をおもってみた ....
私は盲目ではないけれどあなたの事が見えません。

私は耳が聞こえるけれどあなたの言葉が聞こえません。

私は口がきけるけれどあなたに言葉が届きません。

だのに

だのに

私はあ ....
一日分の想いを貯めると

いくらかの利息がついて

想いは膨らんでいきます。

みんなのそんな利息が

幸せな想いだといいな。
花の名前を覚えた あの日
愛しい人が指差した
ライラック
陰りゆく歩道
いまにも 雨

コンビニの駐車場
一匹の子犬
しきりにしっぽを振りながら
通り過ぎる人を見上げる

その先 ....
真昼の公園で木漏れ陽を浴びて 
癒える筈のない悲しみのことを考えていた 
ときおり吹き抜ける風はすこし熱を帯びて
客待ち顔のアイスクリーム売りの老婆の 
麦藁帽子を踊るように撫でてゆく 
 ....
国境には まだ 霜が 降りて いた

ぼくは ひとさしゆびを かかげて

空 いっぱいに 伸ばした

虚空の なか 水の 夜明けの アラベスク

{ルビ四十雀=しじゅうから}が ....
  赤い半月は
   
  ひと食らう


  赤子声の猫が呼ぶ

  後生だからアタイを呼ぶな


  小さく震えるのは

  アタイ・・・

  夜に紛れて見える風 ....
好きな物を

いっぱいかむ事。

好きな時に

大声を出す事。

好きな人に

気持ちを告白する事。
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