みえるひとって
苦しくはないのかな
あらゆる人の悲しみ
あらゆる人の痛み
すべて 引き受けてしまうのに
みえるひとの痛みは
どこへ行くのだろう
月のない夜に紛れて
そっ ....
粘っこい足跡なんて
振り返りたくはないし
遠くへ行くつもりもないから
マイペースの匍匐前進
アンテナは柔らかいけれど
難しい言葉は受信できないし
とてつもなく臆病だから
ツノもヤ ....
あとかたもなく崩れゆく遠い果実を見つめている
Hのしろい指がりんごの皮をむく
どこまでも切れることなくつづく紅い航跡はこの星を
ひと回りしてわたしのからだのやわらかい節々にから
みつく
....
もし君が、この話を聞きたくないんならだな、さて、僕がここで生まれたとか、僕の素敵な幼年時代があんな具合だったとか、僕の前にいるリスだかタネキだか、とかなんとか、そんな《サリンジャー》式のくだらない話か ....
080-****-1582、と。
Purururururu・・・
はい、もしもし。
あ、もしもし殿すか?
うん。
今何処すか?
今本能寺着いたトコ。何かあった?
ああ、着きました?お疲れ ....
窓辺に頬杖ついてひとりぼっちの夜に
どこからか漂う甘い誘惑
私の胸はざわめいて夜を彷徨い始める
忘れていたせつない愛が今宵蘇る
白い花に抱かれながら
失くした愛を嘆き続けるわ
あんなに ....
引き出し奥の赤の母子手帳
いくつかの頁が外れかかって
ホッチキスで繋いであげる
畳に寝転びながら黙読
出生時刻 午前9時26分
素通りしていた時刻を意識する
おめでとう!と言おう
....
ちびっ子がちびっ子だった頃
男の子は半パンにランニングシャツ
女の子はノースリのワンピとかで原っぱを駆け回っていた
いじめっ子、いたことはいたけど
みんな等しく貧しんだって思いでお ....
水平線の彼方での
高まる胸のしぶきが聴こえない
海辺に押し寄せるさざ波は
わたしをどこへも連れ戻してはくれない
わたしはぎざぎざに欠けた貝
打ち上げられて熱い砂地にうなされる
ときおり
小さな子ども ....
どこにでもある平凡な幼稚園に
桃色ペリカンが園庭に降り立った
言葉が話せなくても
心と心が繋がっている
電車の連結のように
桃色の背中に園児の両手が
園児の背中に園児の両手が
ド ....
気になるあの子からもらった
角が二箇所内側に折られた
秘密のお知らせ。
開くのが惜しくて
放課後でもまだ読んでいない。
カラーのポールペンで
まるっこく書かれた ぼくは
色合い綺麗で
....
前に人から聞いた接客の話
コンビニに行く客は店員に無関心を求めるのだという
だからやたら愛想のいい人よりも
少し無愛想な人を雇う方がいいそうだ
(コンビニバイトの面接で愛想がないと落とされた彼 ....
{画像=110417071821.jpg}
光りのない浜辺を一人で歩いていた
打ち寄せる波は果てしなく
足下は脆くも流れて行く砂の水際だった
遠くの町の灯りが水面に
煌めきを残し ....
いち、にの、最初の詩人は、最初の主観で書いていたらしく、それは例えば、
「透明できれいなコップが、清潔そうで私は好きです。」
書くことは、つかんだ糸をはなさないように手繰りよせながら、森の中 ....
今日はどのお部屋をお使いになりますか?
さぁ お好きな鍵をお持ちください
氷山のお部屋で 心を鎮めてください
木漏れ日のお部屋で 心から微笑んでください
情熱のお部屋で 夢を ....
貧しい公園の貧しいベンチで
貧しい僕らが座っていて
コーヒーをひと缶
分け合って飲んで
だけど、愛だけはあるから
寂しくはないよ
お金が入ったら
二人で公営の団地に住もう
そこには ....
引っ掻き傷のような雨に
ふやけていく街の輪郭を
見ているようで見ていない
雨のまにまに
彼女の打算
蒸留水のような嘘が
グラスのふちを伝うのを
見ていないようで見てしまう
雨の ....
良かった とたくさん書いてある手紙
挫折した私にあてた 亡き先生の言葉
都会の勤めを一年で辞め地元に再就職した
仕事を覚えたての私に
あなたの事だから きっと会社の利益になる
早く決 ....
{引用=
「社会人とは」
「大人とは」
}
それは幼いころの夢だった
それは、つよい、ものだった
それは
{引用=
「SEX」
「化粧」
「男」
}
何を言 ....
松江を訪ねて
黒白にくっきり浮かぶ松江城曇り空にはすっくと立てり
訪れしハーンの家に蛙すみ涼しき風が吹きいたりけり
掘割の舟に揺られて風涼し宍道湖よりの水たたう川
掘割の路の ....
この先は川でいきどまりのはずなのに…
帰ってゆくオランウータン
帰ってゆくパンダコパンダ
帰ってゆくオットセイ
帰ってゆくコアラ
じてんしゃにのって
はた ....
梅雨前線
低気圧
湿って
じとじと
一日中の雨
太陽光はなく
昼でも
薄暗い北の部屋
聞こえるのは
雨だれの
音ばかり
寒いのに
蒸し暑く
頭を置いた ....
境界は曖昧だ
進むか 止まるか
迷っている
何時だって
境界は曖昧だ
夏が来て
巨きな足で僕を
やさしく踏みつぶしていった
蟻より小さく
原子よりもっと小さく
僕は
ただの言葉になった
それから南風に運ばれ
....
恋してる人は
ばかみたいに熱がある
直射日光みたいに直視できない
強になってる暖房機みたい
恋してる人は
前線でコトにあたるといいよ
無敵で不敵な
シュプレヒコールで恋人との ....
雨が濡らす新緑の並木道
歩道を楽しげに歩く老婆と中年の女性
一つ傘の下まるで恋人のように腕を組み
女性は老婆の顔をのぞき
満面の笑みを浮かべて話しかけ
老婆は斜め上、女性の顔を見つめ
ニコ ....
一生に一度 誰もが てっぺんに登りたいと思う
私もその一人だった
そう信じてた
だが てっぺんに長期滞在するほど体力は無く
高山病になってしまうかもしれない
私は柔である
居座る欲 ....
麦の穂がりいりい、とゆれる
すみれ色をした空想の
行き着くあたりで
番犬みたいにとびまわってる
ぼくは忠実なひばりでありたい
かなしみをかなしむとき
いつくしみをいつくしむとき
太陽 ....
3000年ぶりに
蓮の華が開いた
泥の池の中で
世界は変わる
天恵は再び
人類の上に
取り戻され
魂の交信が
すべての地の上で
復活する
神が降臨する
金色の光を伴って
長い黄 ....
字が個性的だと
遠まわしに言われてきたから
嫌がっていたけど,
今回ばかりは
それがかえって
気持ち伝えると思って
だから
書きます。
お元気ですか。 元気です。
....
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