おとこに捨てられた、
だからノラ猫になった
夜空をみあげにゃあと啼いては
まんまるお目目に三日月うつし
うろついた夜の街には
千鳥足の奴らがい ....
陽はいつも温かくきみから射してくる
風はいつも穏やかにきみから吹いてくる
それは いつも答えだった
それは いつもYESだった
雨はいつも柔らかくきみから降ってくる
鳥はいつも囀りな ....
嘗て
王国があったとか
そんな話を
あなたの中耳に
棲みついている
遠浅の潮音が
夜毎
瞼の上の白い渚に
刻みつけようとするのだけれど
水分を含んで
重たくなった夏服を
わたし
....
仰向けに憩い柔らかな漂う空気が降りる
爪を研ぎながら清水の滝から醸し出す口づけを貰う
小癪な煩いを植えさせない 穏やかなる囁きを歩く
間接照明の声さえ聴こえてくる 遥かなる温 ....
夕方の細い夜に逃げ出した心が帰らない
大したことはおこらない
丸い窓を持ち上げて
少し空気を入れ替えるような当たり前のこと
感慨深く、目を閉じているわけでもない
警戒が服を着たわ ....
森の音楽家が奏でるピアノを聴きに行かないか。
それが僕のプロポーズ。
愛する君へのプロポーズ。
君が優しく微笑んでくれたら良いのだけれど。
森の美術館の香りを堪能しに行かないか。
こ ....
線香の匂いが漂う軒先で、手持ち花火を子供と遊ぶ。
そのうち妻も加わって家族三人花火を遊ぶ。
色とりどりの花が咲き、子供の顔に笑顔が浮かぶ。
隣の家の縁側で寝ていた猫が咳をする。
はしゃ ....
夏も盛りの暑い午後、私は一人途方に暮れる。
港の見える公園で黄色い薔薇が咲いている。
私の瞳に映るその薔薇を見つめる人はいないので、
薔薇は私がこの場から立ち去る事を許さない。
かつて ....
ブーゲンビリア 七変化ほどのパレットもないけれど
信号機ほど単細胞でもない
久しくあの風景を思い出したよ どこにでもあった
ブーゲンビリア 県花ではないけれど どこにでも咲いていた
....
きみのゆかた姿が見たくって 誘った夏の金魚花火 まつりの雑踏の中に 大好きなきみのうなじ
手と手をつないでぶらぶら歩く でも知ってるんだ きみが想いをよせてるひとは俺じゃないって
いとしの ....
あつい雲に夜空は覆われ
月の光がとどきません
それでも夜空をみあげ
かすかな光を探すのです
愛を謡う千の夜がありました
....
わたしの考えていたことは
つまり
国のプライドのために
子離れしなければならないのかってこと
おんななんて
恋をしていれば生きていける
そんな風に
見られてはいないか
....
今日はカレーにしました。ナス入り夏野菜カレーです。
今煮込んでいます。お風呂の湯も溜めながら。
カレーの香りはうつるのです。
昨日、近所から漂ってきたのです。だから、
今日はカレー ....
蝉の話を
してあげよう
焦がされるまで
力のかぎり
蝉の話を
してあげよう
身体をふるわせ
夏を生きる
きみを
やさしく包みこむ
ていねいな
風通しのよい
午後の産着の ....
夕陽の照り返す ビルの窓ガラス
夏の短い影と熱風を通りに落とす
古ぼけたビル群
短い窓から覗く疲れた顔
またぞろ老人が吐き出される。
ビルの彼方には夕焼け雲とスカイツリー
決まった時刻にぞ ....
幼い子供達とはあまり遊んだことがなかった 家のローンがのしかかっていた
人生でもっとも不要なもののために 一番大切なものをないがしろにしていた
時代の風は遥か家族の上空を吹き過ぎて行ったさ ....
ところで洋子のことだと思いながら
お父さんは鉄板上のオムソバを前にしている
オムソバを最初に発案した人は神様じゃなかろうかと
焼きソバを卵で包むという所業など
もはや神の領域に達して ....
{引用=松田聖子との同時代はもはや左腕の種痘痕のみである。
哲学者 猿田川愕膳}
具足の季節
作詞:三浦徳子
....
【現象学】
それが親切なのか、意地悪なのか、世の常なのか、わからない
存在と時間
わたしにとって、治療をすすめるということは
意識的な時間を増やしていくということ
無意識で動くこ ....
憂いでも
蔑むな
笑っても
嘲るな
怒っても
憎悪を飼うな
泣いても
己ばかりを憐れむな
楽しめ存分に
できることなら誰かと一緒に
叫べ
耳は塞がずに
....
グッディイブニン
その声はガイドのように 背中をさすり
背中を押し
刻を知らせる 今宵は強烈な眼差しで屋根をもすり抜け
知らせに来る
だから 世間に従い眠 ....
土曜日の午後
コーヒーショップに子象が入ろうとしたが
ドアに胴体がはさまって
そのまま動けなくなってしまった
店の外から象使いの少年と通行人が
しっぽを掴んでエイヤッと引っ張っている
....
蛇口をひねると水が出た
コップから溢れても水は出続けた
いつからかそれが当たり前になり
有り難みも薄まってしまった
母を頼ると愛をくれた
母は無償の愛を与え続けてくれ ....
真夜中に水を打つ音が響く 銀河を泳ぐ魚だ 闇と光のはざまを 滑らかに泳ぐ生き物
それは大宇宙の命の迸り 新しい生命を育む 循環だ
オーロラに彩られ 奴らは泳いでゆく
生命の慈し ....
変わらない日なんてない
水溜まりは乾き
草は地面を覆う
飛ぶ鳥は雲を追い
日は速度を落として沈む
変わらない日なんてない
日記は二日で書かなくなり
アルバムは途中から白紙のまま
....
季語忘れ比喩も忘れてエレファント
俳句など必要ないと吐き捨てる
指を切り投稿したら血を舐める
本当は理解してない現代詩
名を望む空があった 写真家の名前だった
写真に収めることを 刹那主義の私だからしない
思い出は極秘の扉の鍵だけで いい 浸らない視線は 名を望む空へ
癒されざる動機に支障をもたらす 生贄 ....
がたたん
ごととん
外は
いつのまにか暗く
ここまでは来たことがある
という駅を通り過ぎて
全く
知らない場所
予想通りの
小さな駅
どこで降りても
スーパーがあって
コン ....
サイキックもなく
ルナティックもない
優しさに融ける強みを整えて歩く
ちょうちんの暖かさでスーっと佇む 永遠の秘密の入り口
蛍を探したくなる心得が呼び覚ます 凛月
草花が耳 ....
星降る夜に
ノクターンを
あなたと並んで
聴いている
深い漆黒の風
灯りは湖の漣だけの
ショパンが
似合いすぎる時間
千回目のメールの後に
やっと会えた二人
だから ....
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