死神
海月

君が見せた優しさの中に狂気を見つけた
君の横顔に幼い面影が垣間見えた

温もりばかり求めて飛び出した部屋
寒空の下で落とした涙は凍りついた
凍えそうな身体を震わす
君が差し伸べた手は綺麗だった

輝き眩しさを解き放つ
何処かの聖地にいる気分で
仮に此処が天国ならば受け入れただろう

薄汚れた手を君の手に絡ませた
生温かい、独特の感じがした

時間の流れに何かに落とす
迷路の入り口からパン屑を落とし
帰り道を見失わない様に
思い出の端の方はもう見えない

旅人気取りの旅は何処かで終着点を迎える
現実の冷たさと厳しさを肌に感じて
瑕疵だらけの心に安らぎの花束を添えて

君が僕に見せる安堵の地
その胸を抱けば堕ちていける

心亡き僕に蘇生を捧げてくれるのならば…

現実を受け入れずに一縷の希望に縋り付いた
その対価は闇に落とされた
何も見えず、何も思えず。

君の足音が静かに遠ざかった


自由詩 死神 Copyright 海月 2007-03-14 23:50:17
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