一つの愛に終止符を打った君よ
愛の破局を迎え 失恋をした君よ
自分を責めないでおくれ 苦しめないでおくれ
君に背を向けた男は 他の女の子宮を虎視眈眈と狂っていることを知るがよい
....
・
夕暮れの遠くに霞む
四台のクレーン車は
輪を描くように向かい合って
なんだか
太古の昔に滅んだ恐竜の
弔いをしているように見える
・
朝に洗濯物を干す母親は
太陽に両腕を広げ ....
大切なことは目に見えないんだって
王子様におしえてもらったの
それを失うことでしか
気づくことができないから
人は罪深いのよね
大切なものは目に見えないんだっ ....
真実は二次会にある
アンパンマンとばいきんまんも
水戸黄門と悪代官も
きっと誰も知らない所で
「お疲れちゃーん!」とか言って乾杯しているに違いない
演技だからとかじゃなくてマジで。
黄門は ....
忘れないでいようよ
片目をつぶった偽善の素晴らしさ
ひとつだけ飛び抜けて長い小指の爪が
あなたの肌に食い込まないように
小指を丸めてあの手の平を握った
もう夜のことを
やわ ....
手紙には
雪が入っていた
罫を
さいごに
ひらいていた
手元
静かに
遠回りして
指さえ
透けそう
心、きれそうな
ひとつっきり
....
月に侵食されて私たち
どこへ向かうというのか
森は遠く雪は深く
車道の雪は歩みを遅め
靴に沁み込む水が
僕を
惨めな気分にさせるんだ
凍りついた雪が
シ ....
私の想いは届かない
どんなに胸を焦がしても
あなたは私に気付かない
あなたの前を行ったり来たり
私は哀れな{ルビ自動人形=オートマタ}
涙さえも流せずに
くるくる踊る道化者
....
奴隷らの金歯くすます誕生の飛沫
茶したたる階下を泳いで出ていく
土踏む葉に涙し たかが宿命など
足を損い渡せぬ絵画に群れなす御魂
山よりもクレーン高い場所から息
逆流に佇 ....
灯油の匂いは嫌いじゃない
あの日からまだそれほど
時が過ぎていないと
気付かせてくれる
あの曲は嫌いじゃないさ
癖のある声を思い出す
そしたらちくりとまた心臓に針一本
穴だらけで ....
脱ぎ捨てた靴下のように
二人分の日常が床に転がったまま
今にも歩き出しそうなのは
きっと逃げ始めた体温のせい
鏡越しに いつのまにか
髪が伸びたあいつに舌を出す
時間なんて残酷で
最後の ....
水素原子と酸素原子だけが
一定の割合で結びついてできた水は
確かに純粋な水であろう
綺麗な水なのかもしれない
では美味しいのか
答えは否であろう
純粋な水ほど美味しくない
ならば ....
自分が肉の一片に成ってしまう夢など
誰が望んでみるものですか
(けれど毎夜、私はふつりふつりと千切れていく)
私以外の誰かが望んでいるとしか思えませんね
この体たらく この ....
恋をしなさい
理性抜きの
それは七色に輝く不思議なタマゴ
何が生まれてくるかは分からない
もしも天使が生まれたとしても
育て方を間違えたなら
悪魔の心が宿るかもしれない
もしも悪魔が生まれたとしても ....
選挙戦海の向こうの子供らの運命握るネクタイの色
絶望も希望もぜんぶ受け入れて爆発しながら鼓動する国
武器を売るために育てたフセインを育ちすぎたと殺すアメリカ
テロよりも犠牲者増えた戦 ....
宝石を散りばめたような闇
この世で一番大きい水溜り
そこには彼らがいることが
絶対であって
世界の暗黙の了解であった
でも
時にはその場から消えたい
と
訴えているのを
私は ....
1.我求む 君の自由と
君の愛 君を狭めて 我を止どめて
2.夜明けまえ コートとブーツで
駆け出して また始まったよ 君を思う日
3.対話から すべて ....
戦士が魔法を使えないのは
拳に力を注いだからで
肉弾戦における破壊力は
他の者の追随を許さない
魔法使いの力が弱いのは
勉強に時間を費やしたからで
防御力の高い魔物も
強力な呪文で一 ....
有名になったヤエモンを
無理矢理走らせて
耐用年数超過した
鉄橋から突き落とす
お人形の
機関士と機関助手は
可哀想に殉職し
みんなの涙を絞り取る
橋のたもとには小さな碑をつくり
花 ....
友達ってほどじゃない
それくらいの知り合いの
彼氏と知り合いになってしまった
彼女を知り合いだと
言いそびれた
ヤバイと思ったのは
見た目がタイプだったから
小柄な体のバンドマンで
ギ ....
改札口の向こうで
ピアノに蟻が集っている
きっと甘いんだろう
ハモニカを忘れてきた駅員が
時刻表に小さな落書をする
間もなく秋が来るのに
量が足りてないのだ
まだ君と僕とが出 ....
時に逆らって
時計を上下逆さにしてみた
秒針の動きは変わらないので
結局
今日の予定が頭の中を過ぎてゆく
時に逆らって
時計を裏返してみた
時を見ることはできないので
結局
次の ....
合掌をしていただきます
生きるために
その命をいただきます
博愛主義でも
食べなければならないのです
わたしの肉じゃがは
一年前とはくらべものにならないくらいに
旨くな ....
毎週土曜日に
公園のベンチに座って
いつも本を読んでいるあの娘
しなやかに伸びる黒髪
透き通るような白い肌
どこか寂しげな横顔
時々となりのベンチに座って
本を読んでみた ....
幼い頃に広かった幼稚園の庭。大人になって訪れると
不思議なほど狭くなっていた。密かに憧れていた保母
さんは、ふたりめの赤ちゃんをだっこして。お腹の太
ったおばちゃんになっていた。
年を重 ....
見知らねど行き着く場所はここにある
夢見て君を連れた北国
いつのまにか眠った僕の携帯に
隣の君から夕陽の小樽
真綿色の雪があまたの恋に染み
冷たい北の印 ....
僕は簡単に逃げ出す性格だ。
そして薬を飲んで
簡単に死んでしまったみたい。
気が付けば
真っ白な雲の上だった。
あらら。
マジで死んじゃった。
頭をポリポリかいてると
....
「修行」
午後には温かくなる体
ベビーピンク の爪の肌
血が通いましたよ 私
今日も祈るように手を合わせ
指先に軽く接吻する
上瞼は慈悲深く閉じられて
朝靄の消え行く間に ....
ねえ、まだ起きてる?
くたくたに疲れたよ
朝から晩まで働いて
晩から夜中まで働いて
もう限界
目が見えないよ
耳が鳴るよ
腕が震えるよ
足もがたがただよ
何もいら ....
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