恋人よ
僕と君は
不確かな
連続性に恐れをなして
足の指先まで震えているのだ
髪の柔らかい幼子が
高い峠から降りてきて
彼の足元に
夕日の影が
せせら笑う
ビルの切れ端に
....
手のひらにあなたを
降りしきる雪を
言葉を 悲しみを
受け止められるなら
時間が過ぎて
見失うものも
惜しくないとさえ
思えるんだ
行方は誰にも分からぬ夜の旅路で
本当に愛し ....
四葉のクローバーを見付けて
一枚葉をひき千切った
するとどうだろう
さっきまで幸せの幸福の四葉のクローバーだったけど
今はそこら辺にいる普通のクローバーになっていた
気味 ....
ひとりよりもきっと
ふたりきりのほうがいい
ふたりきりよりもきっと
ふたりの間を結んで
黄色いはなうたを
空に奏でる
小さい、小さい
手のひらがあるといい
騒めいた光に沈んだ私
綿菓子の甘い匂いも
水風船の弾ける音も
静かな商店街に溶けてった
狭い世界の金魚が裏返る
冷たい、冷たい風鈴の音がした
あけましておめでとうございます
ワタシタチの眠る透明な棺の前で
あけましておめでとうございます
生まれそこないの世界は明るいから
輪郭が壊れてるほうがすきです
キミにO2残量ゼロ ....
草をふむと匂いがした
風をすうとからだが裏返った
等身大の道には
大義名分なんていらなかった
いまを生きている
碧いそらに届くことはなかった
石ころにころばされてみようか
好きなことがえ ....
真っ白なスタート
とにかく背中を押されて
頭から突っ込むでんぐり返しのような
これまでと違い
目覚めるのも自然にまかせて
自分の意思で起き上がることができる
毎日に変わった
....
冥王星から始まって
シリウス、シリウスBへ
カノープスが続く
アケルナルはエリダヌスで
はくちょうにはデネブ
落ちてこないのは ことのベガ
冬のオリオンにリゲル
北極星を見つ ....
世界に風が吹いて
あなたが生まれた1日が
どこか知らないところへ運ばれてゆく
水没したカレンダー
燃やされた泣き声
どこを見渡しても
見たことのないような景色ばかりだった
....
かかと
かかとはかか、と、なのか
か、かと、なのか
かかと、水戸黄門笑いして
かかぁと、奥さんだかおっかさんだかと
いつも二人連れ
かぁかぁと、カラスが鳴く道
単花果と多花果と十 ....
風走る
まるで今を失うかのような
心配をして 風走る
真ん中に
穴のあいたような私のからだの
真ん中をびゅうと風走る
大地をゆさぶるようなこの風に
踏ん張りながら 一気に過去が蘇 ....
彼は模試で学年4位を取ったらしかった。彼は誰にも話さなかった。定期テストでクラス1位の女子が興味ないという風に友達とはしゃぎながら横目で彼の用紙を見る。彼女は25位だった。
「先 ....
日頃の不摂生で
年の瀬に熱を出し
病院で点滴をした三日目
今日、初めて気づいた
点滴を吊るした棒の台車に
歩きやすいよう
掴まる取っ手がついてたことに
昨日、僕は点 ....
ほれたはれたは うきよのつねで
ちょことかたれば すぐわする
ほれたはれたは うきよのことよ
わすれてさけでも のめりゃいいい
ほれたはれたは いつものことで
まくらかえれば ....
朝の10時頃、カルカッタに着きました。ジャーナリストと一緒に街を出ると、そこは泥臭いバラナシとは打って変わった都会でした。
地面は土ではなくコンクリート。道路には黄色いタクシーが大量に走り、牛の落し ....
もう
おしまいにしよっか なんて
言わなくてもいいことは
空へ 空へ
さみしさは
出来の悪いコピー機みたいに
あやふやなものが
伝達されない
寒いね
寒さだけが本物だ
....
傾き歪んだ棚に並べられた手帳を眺めながら
{ルビ目眩=めくるめ}く年月を想えば
こんなにも{ルビ歪=いびつ}な階段をよくも登ったもんだと
自画自賛をしたくもなった
書斎の{ルビ黴=かび}た ....
見知らぬ地名をナビに入れてみる
一時間四十五分
見知らぬ地名が時間に変わる
こうやってこころを動かしておく
これで今日はもうこころが動かない
黄ばんだ冬の青空を見つめてい ....
活けられた
あしも茎も
垂線のむこう
まなざしに分かたれ
きめ細かで
しべも口もまだ
ざらついていた
肌に
注がれ
開かれてゆくところ
注がれては
省みることを忘れた
めも鼻も ....
やはり一般の駐車場などで突然にタンゴを踊りだす行為は悪なのか。野島公園にほど近いバーミヤンの開けた駐車場はおよそ十台の車を停めることが可能である。私は毎回二台分のスペースいっぱいに駐車して逃げるよう ....
扁桃腺が腫れて、高熱が出て
水もろくに飲みこめなかったので
仕事を休んで総合病院に行った
耳鼻咽喉科の待合室で
中年の美しい女が頭を抑え
看護婦さんに背をさすられながら
洗 ....
「おやすみタイマー」の時間が切れて
はぁ〜・・・っと暖房は息を吐き出し
お役御免、の佇まいで
部屋を静寂が、支配する。
その割り切り具合に何故か
好感を持つ、夜のひと時。
....
握りしめられて手のひらで溶ける
それはとても幸せな時間
春が雪を溶かすとしても
それまで雪でいる必要なんてない
たとえ一瞬でもいい
あなたの手のひらに触れて溶けていきたい
だから幸 ....
らり?
らりるれろ
らりるれろ
らりるれろ
りんごの少年らりるれろ
がぎぐげご
だぢづでど
凍った田んぼが歌いだす
らりるれろ
らりるれろ
星になったよカエルの轍
がぎぐげごがぎぐげご
らりるれろ ....
いづこの上空で生まれ ここ
つつじが丘にやってきたのかい
としつみづきのきぢれぐもよ
急がずじっくり眺めておくれ
このおれがぼんやりと落としている
ひねくれたシルエットを
庭の裸木はおまえ ....
横浜の赤レンガの倉庫街で行われた朗読会の帰りに
ふとタクシーのなかから六本木ヒルズを見ると
点いている電気が文字のかたちになっていて
「認めてほしい」と書いてあった
俺はヒルズになぜ認 ....
星は知らないという
星にひとが名づけた名前があること
ではひとは知っているのだろうか
星にひとが名づけた名前があること
星に名前がついているわけ
幾通りもの答えがあっていい
たとえ ....
視神経が悲鳴を上げる
肺が酸性に降参する
皮膚の断面がずれてくる
もうピントが合わない背骨
ここからが始まりだとは
勝ち目のない戦争のような
この場所から始めるとは
どのような自殺行 ....
きみと
きみと話していると
いろんなことを思い出し
いろんなことを忘れられる
もっと伝えたいことがあって
もっと知りたいことがある
それを友情と呼んでみる
それを
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333