なぁ
おまえは
誰も知らなくても
自身さえわからなくても
あいつには初めから
勝っているんだぜ
テストでいい点を取ることや
かけっこで一足分秀でることを
嫌ってたって
その類のこ ....
あなたが紡ぐ
ありきたりな言葉が嫌い
もっと特別な文法で
誰にもわからない表現で
存在しない擬音語で
わたしをがんじがらめにして
二人だけの秘密になるから
大切に育てていこうよ
ひっそ ....
雨にとけて流され残ったのは、ちぃっちゃい欠片
ウチがウチであるための、ちぃっちゃいちぃっちゃいウチ
たぶん、もう傘はいらん と思う
羽虫がきのうの夜中
だいたい3時くらい
飛んでいったってよ 君のとこに
電線をつたって
たまに自販機に魅せられて
羽虫がきょうの朝
だいたい6時くらい
とうとう着いたってよ ....
すべてを
告白することは
祈りと一緒なんですね
死者の
煌めき
空が沢山の命で満ちているので
海はこんなにも静かで
綱がある
それは共同宿舎の壁に空いた穴から
霧の中へと消えている
自転車が一台
きしんだ音を振るわせて
綱の上を走っている
欠伸と溜息ばかりの酸欠美人
憂鬱な一輪挿しに蒼い微笑
死語とエゴの齟齬で過ごす
午後の惨さ
相違ありませんか
花鳥風月と課長風下劣
おやめ下さいその菓子は
名刺の角で指を切り
....
深い森の真っ暗闇に
一人の男が佇んでいる
男の視線は何処かをさ迷い
落ち着きの無い様子だった
なんにもなんにもまったくない
ないないことすらないような
....
朝の心の空に
温暖前線がやってきて
晴れて
温かくなった
さっきまで雨が降っていたのに
雲も遠くへいってしまった
公園に散歩に行って
寒椿の花をながめる
午後
嫌なことを思いだし ....
きっとどこかに
月や星や雪が闇に影をつくっていることを
もう失われてしまった
地球の独り言のように感じていた
なのに
ここには闇などなかった
どこもかしこも
....
平然と響く
アナウンス
「一番線を 列車が 通過します
ご注意ください」
急流の中に
取り残されてある中洲のように
ホームは心細い
トンネルの出口のように
はずれに開ける ....
いつか
あなたと
行けるだろうか
青い空と
青い丘
夢のような色で
包まれた
わたしたちは
青い色になるだろうか
天国のような場所で
歩く
わたしたちは
救われ ....
そのひとは俯くことをせず
まっすぐに前をみていた
履いているジーンズはうす汚れ
家路をいそぐ人々が乗る電車の中
ぽっかりとあいた空間
....
雨や風にさらされて
月日が過ぎて
崩れては消えてゆく
光と影の浮き沈みで私に語りかけ
三味線を鳴らし唄うのは石の像
笑っているのか
哀しんでいるのか
なんだろう
くすくすとささ ....
残酷な怠惰の中、識別出来ない羅列が羽虫の様に群がっては這い回り、必要の無い軌跡ばかりが脳髄に刻まれていく、高速回転の無意味、転送されていく空虚…根の緩んだ奥歯の揺らめきは危うくなった自己の ....
秋のほんの少し気取った風に公園のコスモスが淡く揺れる。
黄昏時に語らう恋人たちは私にささやかな幸せを運んでくれる。
感情の昂りを抑えるために訪れたこの公園の静けさはちょうど良い。
私の嗅覚は ....
人生ってね
曲がり角がいくつあるのかな
いつも
間違えている気がするけれど
曲がった方が私の道になる
今日も分岐点
知らないうちに選んでる
普通のさようならをして
二度とあ ....
なんかうまく行かないなあと
あがき続けるぐらいがちょうどいいよ
アンバランスな一歩がバランスを取り戻そうとして
俺たちはまいにち歩いて行くんだから
コストダウンというと倹約 ....
むかしから廃れていた街だった
それでよかった 気にもとめなかった
隣にいるべき人が この景色には居たのは
あたりまえ
故郷とは そういう場所だった
潮風が吹いていると言われても な ....
支柱にありがとう、と言った
夏のあいだじゅう
あなたが支えてくれたおかげで
私は安心して背を伸ばし
太陽に近づき
あおい葉を繁らせ
たくさんのこどもを生むことができた
赤い血がしたた ....
ぶくぶくと見た目に多幸なカモを育てます
トウモロコシなどです
運動はさせません痩せてしまいますから
エサ代も安くありませんしね
なぜ、ですか
私共はフォアグラを作っているんですよ ....
秋の夕暮れ
夕暮れに白き根を噛み青き菜も
紅い水コップにつぎて砂糖足す
聖霊のたすけをかりて聖書読む
玄米のかゆを食みおり鮭そえて
賛美歌を歌う秋の日こころ富む
造 ....
にわか雨の後に風を読み
電線に止まった鳥がきれい、
だというならば
ガードレールの影がのびてゆき
おどろいた猫の目がきれい、
だというならば
たくさんの小さな色が花びらに
とけ込んでゆく ....
「将来の夢はお嫁さん」とおじさん
おばあちゃんは栗をむく
背中を丸めて栗をむく
かたいかたい栗をむく
息子にも
娘にも
孫にも食べさせたい
むいたほうが食べやすい
ただそれだけで
もくもくと
真剣に
一 ....
私は何も持ちません
私は何も知りません
何にも期待をしなければ
誰かに期待されるを望みません
鮮やかな生活も
充足に値する為事も
一切の余分を欲しません
たった一つだけ
嘘はつかず、ご ....
たわんだガラス窓をひたすらに登ろうとしている羽蟻を見ていた。
同じ動作を飽きもせず繰り返している。
彼はなぜその小さな背に生えている羽を使わないのだろう。
よく見るとその羽は見る影もなく疲れ ....
捨てる物が無いとは気楽なものだ
捨てる物がないから強きでいられる
ずーっとずーっといつだって捨て身な私だった
何も持たずに居いたらよい
あるのは本とペンとノートだけ
庵に籠もれば何もいらない ....
僕は期待を裏切るために生まれてきた
運動の得意な子であるという期待 素直でいい子であるという期待
誰にでも優しいという期待 いろいろな人に好かれ自分から進んで周りと交流するという期待
重苦しい期 ....
始まりと終わりはどこまでも流れ落ちていくので
現在の幅に射し込む水の光だけで流れていく渓流
岩は感情のように水の流れを変え
木の葉は矜持のように水の面を彩る
僕はその川の方向のよう ....
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