いつだって {ルビ別離=わかれ}た後に 視る夢は
遠すぎる過去 触れぬ思い出
思い出の 箱に封じた ただひとつ
「言えばよかった 声の限りに」
前田屋というそば屋で
四人でそばを食べた
あれが最後だったと思う
ほんとうは
生まれたばかりの息子と
奥さんのそばに
いなければならなかったのに
遠いところから
会 ....
奥さまの名前は
ナオミ
そして
だんな様の名前は鬼六
ごく普通の鬼六は
ごく普通のナオミに
ごく普通に亀甲縛りをし
ごく普通に三角木馬に跨らせ
ごく普通に乳首にロウをたらし
....
小さな手のひらで
ふたつ
シワシワのウズラの卵
サワサワして
少年は今までにない
感覚を知ることになる
パパがママにしてもらってたのを
偶然見てしまってから
ついつい
自分でや ....
萩原朔太郎著
ウォーソン夫人の黒猫
再読
これはポー系統の猫だから
けど
朔太郎本来の猫だって
案外
おわああ
ここの家の主人も
病気です
お ....
転校をした
おかんが皆に渡せってシャーペンをくれて
終わりの会で配った
袋をあけたら裸の男の子の絵と
ちんちんぶらぶらソーセージって書いてあって
めちゃめちゃ恥ずかしくて
ばいばいも言わん ....
からっぽな心身にはなんでも入る
八杯目の焼酎も
ヒーリングミュージックも
ノイズも
精液も
入ったはしから空になる
ただ身体を通り過ぎてゆく
栄養にならない黒いかけら
歯も
....
希望があるから絶望があるんである
絶望したくなかったら
希望なんぞ持たぬがよろし
数独を解くのに飽きたわたくしは
今日七杯目の焼酎をつぎながら
わたくしの幸運なる結婚生活について
(た ....
今目の前にあるのは
中身がからっぽな
ガラス製の
僕の肉体をコピーした像
足元には
僕の外見や内臓などを
小さく砕いたパズルのピース
今から僕は
改めて僕を完成させてみる
....
きみのせいで夏が終わらない
扇風機がかきまわす生温い空気のなかで
今日六杯目の焼酎を呑む
ツクツクホウシが鳴き出して
もうとっくに朝だということは自覚している
ついこのあいだまで
わた ....
満ち引きの窓越しの海眺めつつそろそろだなと想うこの頃
カブトムシが止まる網戸を見ている
離陸した飛行機は
無事 着陸しなければ
大事故になってしまう
あたしという飛行機は
もう 離陸して
大空の上
目指す 大陸へ
今は 太平洋上
乱気流
乱気流
機体は ....
100831
クリスタルの庭園に
カットグラスの彫像を納める
納入予定日は1ヶ月後
手慣れた職人さんは熱中症で入院中
そのお弟子は ....
室外機、の
吐き出す蒸気
粘っこい舌で
べろりとやられる
そんなウンザリに
似てる
八月の終わりのこと
ブッとんだヴァイブが欲しくて
歓迎されない扉をくぐる ....
素直に君を連れ去った
何時までも握る手に
永遠強くなる絆を覚えた
折れる 程
握ると白い指先の爪
痛いと言われて
ハッと息を 呑む
肩で息を
しばらくは止まない連鎖の銅板
動 ....
安らぎの意味も忘れるほど
孤独を噛み締める夜
走り去っていく
あなたの夢が
繰り返し浮かんでは
消えていく
幸せな夢を見られないなら
眠る意味って
ないのかな
朝日が街の ....
花はどこへ行った
なんて問い続けるよりも大切なものが私たちにはあった
それが今の生活であることは否定できないし
ひとの望むものなんて目に見えるものに他ならないのだから
ありふれた結婚生 ....
うつむいた肉体労務者流す汗アスファルトで陽炎となる
まわり疲れました
いい加減にして下さい
もうこれで最後です
後ろの正面が
誰かなんて
分かるわけないじゃないですか
だって
あなたを中心にして
150人がまわってるんですよ
....
1
その大いなる人々は
歌声と一緒にやってくる。
峰峰に雪を戴いた白い山並を越え
覆い隠すような人数で
その歌声と一緒にやってくる。
誰かのために歌う訳でも無く
止むことのないその韻 ....
町には、
都会の路傍の実を摘み
ジャムを作る女もいるのです。
黒く指をそめながら、
けして与えられるものでも
買うものでもなく
何かを知るために。
立ち枯れる花たちが、
夏色を ....
ギラッギラの
ココ受けなかったら又数年交通整備の日雇いに逆戻り
....
夏の終わりの空たかくに死者の小骨のようなヒコーキが白くいとしく飛んでいる
ホテルのプールに浮かんでそれを見てたらあたりまえのことに気づいたんだ
耳は水につかってて水の流れの音がした
なん ....
ねぇ
神様
そこにいるんでしょ?
聞きたいことがあるんだ
そこに行ってもいいかなぁ
あふれる
光のした
探し疲れた答えを
片手のひらにのせて
そこに立っているんでしょ?
会ってみたいなぁ ....
君いない ベッドなら床と同じだわ
私は今夜も 床で夜すごす
暑い夜に 肌に貼りつく髪の毛も
いとしくかわるよ 君の指なら
いるならば 今すぐ乱して欲しいのに
....
いってらっしゃい、には
いってきます、だろう
でも
おまえからのそれには
いっております、になってしまう
ただいま、は
たんなる帰宅のことばではない
ふたりを日常にからめとってゆく
魔 ....
彼女の結婚ばなしを口に手をあてたまま聞いていた
彼女の逡巡や覚悟を聞いていた
その訓練は五年間積んできたはずだ
身動きもとれずに聞いていた
あなたが傷つかない相手なんて、あのひとしかいないよ、 ....
砂浜から間抜けた様子で眺めていました
流されないように飲まれれば良いよ
と貴方は仰いましたね
空の上から耳を打たれた人人は
履歴書を埋める作業が大好物で
細細と癖のある字で書き込みま ....
歩いてきたね、もう10年。
いつも一緒の歩幅で歩いてきたね。
いっつも一緒。
君と同じ足取りで。
失敗しては泣いてるお母さんの私だけど
君はいっつもだぁいすき。
ど ....
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