『縷々継がれ往くサマ』
Leaf

傾き歪んだ棚に並べられた手帳を眺めながら
目眩めくるめく年月を想えば
こんなにもいびつな階段をよくも登ったもんだと
自画自賛をしたくもなった

書斎のかびた匂いに畳のささくれが染み
足元を見ずには居られなくなったとしても
お爺ちゃんのしわがれた手を握りしめ
田圃たんぼの畦道を歩いた温もりが懐かしくて
埃被った手帳を申し訳なくそっと祓うのだ

いとおしくひらひらと散り逝くサマが
眼の奥から沸き起こった安堵の気持ちを駆り立て
胸締め付けられた

もう二度と会うことはないと

そう分かっているだろうこと
現在が一頁の過去に成り変わる度に
歴々と書き連ねる、老いたその筆致は
我ながら切なくいたたまれない罅割れた皺のよう

記憶が記録に次々と変換されていくだけ
二度と捲ることのないページを
見当たらぬドッグイアの折り目を

全ては畳んだまま歪んだ棚に収まってある



自由詩 『縷々継がれ往くサマ』 Copyright Leaf 2009-12-31 16:47:05
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