今 ここに生きる
朧月

風走る
まるで今を失うかのような
心配をして 風走る

真ん中に
穴のあいたような私のからだの
真ん中をびゅうと風走る

大地をゆさぶるようなこの風に
踏ん張りながら 一気に過去が蘇る

あの春も あの夏も あの秋の日も
風にふかれた 風にまかせた
この冬の強い風はそんな私の
想いをかえすと さけんでるようで

真ん中にあいた穴をこすってゆくような
風の痛みに 息もとまりそうになって

ふとみれば いつもの木は揺れていながら
その足元は しっかと根付く
そうなのだ ゆらぐことはあったとしても
動かない気持ちで 

今 ここに生きる



自由詩 今 ここに生きる Copyright 朧月 2009-12-31 23:38:24
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